トヨアシハラノナカツクニ(葦原中国)の国づくりがやっと完成した頃、天上界のアマテラスは、スサノオのいる下界の様子が気になり、息子の天忍穂耳命(アメノオシホミミノミコト)に治めさせようと地上につかわすことにしました。
しかし、アメノオシホミミノミコトが天の浮橋に立って下界を眺めると、地上はひどく騒然としているため、これでは無理だとアマテラスに報告しました。
アマテラスは八百万の神を集めて会議をして、地上にいるオオクニヌシをはじめとするクニツカミ(国ツ神)を説得して、国を譲るよう迫ることにしました。二人の神様をそれぞれ地上へ使いに降ろしましたが、二人ともオオクニヌシと仲良くなってしまい、高天原には還ってきません。
そこで、アマテラスは三度目に、タケミカヅチノカミ(健雷之男神)を天鳥船神(アメノトリフネノカミ)と共に地上へ遣わしました。
タケミカヅチは稲佐の浜でオオクニヌシに国を譲るように迫りました。オオクニヌシは返事を渋り、二人の息子と相談することにしました。上の息子ヤエコトシロヌシノカミ(八重言代主神)は、国譲りを承知し、身を隠してしまいました。しかしもうひとりの息子のタケミナカタノカミ(建御名方神)は承知しません。
勝負をしようとタケミカヅチに挑みました。しかし勝負はたちまち付いてしまい、タケミナカタは信州の諏訪へ逃げ延び、そこから一歩も出ないことを約束し、降参してしまいました。
こうしてオオクニヌシは天上界の神々(天ツ神)に国を譲ることを決め、その代わり、天に届くばかりの立派な御殿を造ってもらうことにしました。これが現在の出雲大社のもと、といわれています。
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