アラスカの先住民クリンギット族のボブ・サムと最初に出会ったのは
1998年10月10日、鎌倉の大仏様の前でのことだった。
その翌週には、奈良の天河神社で出会い…
そして翌年は和歌山の熊野で会った。
2000年には明治神宮で深い時間を過ごし、彼とは言葉では説明でき ないご縁が繋がっていると確信した。
21世紀に入り、私はボブの暮らす小さなアラスカの町を訪ね、彼と共 にワタリガラスの森に入った。彼はその時に拾った羽をつけて2004 年6月に、再び日本の地でワタリガラスの神話を語りに来てくれること になった。
私たちオフィスTENは、吹けば飛ぶような小さな事務所なので、
金銭的な力が全く無い。しかし、どうしても日本で神話を語ることを
実現させたい。ボブと相談した結果、ワタリガラスの森で拾った羽を
Tシャツとバッグにプリント販売して、少しでも経費の足しにしよう
ということになった。
イベント当日の朝、それは出来上がった。
しかし…当日の販売場所選択のミスや宣伝不足が重なり、
結局、ほとんど売れることがなく残ってしまった。
後日、在庫の山に溜息をついていた私の肩を、ボブが叩いた。
「僕がサインを入れたら、少しは売れるんじゃないかな?」
突然サインをしはじめてくれたボブの優しさに感謝し、サイン入りバッグの数だけは、 Tシャツとセットにして販売しようと思う。
バッグのサインは、プリントではなく一枚一枚、ボブ・サムが丁寧に直筆でサインを入れてくれたものだ。だからこそ、何処かで縁を感じる方々の手に、確実に届いて欲しいと祈っている。
天川 彩
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