「天の河に橋かけて」(10)

■[新たな道のはじまり]

私と前夫M氏は同志のような関係だった。よく喧嘩もしたが、何でも話し合い、時間をかけて理解しあおうとしたし、相手を尊重もしていた。

しかし、残念ながら男と女のパートナーという関係ではなかったようだ。M氏が頻繁に浮気を繰り返しすのは、病気だと思っていたが、今にして思えばM氏は本来のパートナーを、いつもどこかで探し続けていたからなのかもしれない。

何はともあれ、私の魂が目覚めるきっかけを与えてくれたことに、私は心から感謝している。

私からの突然の別れの言葉に、しばらく黙ったままだったM氏だったが、ある程度予測はついていたのだろう。重い口を開いた。

「君が友達だったら、僕は絶対に君を応援していたと思う。でも、僕が僕の奥さんに望むことは、もっと違うことで、残念ながら君の活動を心から応援する度量は僕には無いんだ。ごめん。だから、君は君の望むような道を歩んだらいい。そして…いつか君の役割を理解して、君の全てを受け入れ応援してくれる人と出会って、幸せになりなよ」

この時、M氏が言ってくれた言葉は、本当に有難かった。

縁あって出会い、結婚し共に様々な時間を過ごした相手なのだ。別れたからと言って、憎しみあうのではなく、互いの幸せを祈りあえる関係でいたい。

この時点では、子ども達は、私が東京での生活のペースを掴むまでは、しばらく神戸に残るということだったので、私は一人、東京での拠点を探しに行くことになった。

…つづく