2002/03/15 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆★☆ TEN's magazine 第9号 ☆★☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.office-ten.net
こんにちは!天川 彩です。
最近、すっかり春めいてきましたね。
街を歩くと、白やパステルカラーの服装の人々が急に多くなってきました。重
いコートを脱いだだけで、気持ちまで軽やかになるようです。
冬場はほとんど締め切っていた事務所の窓を、ここのところ開けていると、や
わらかな風と共に、鳥のさえずりや、イヌやネコの声が聞こえてきます。
みんな、春の陽気を喜んでいるんですね。
さて、先日大阪の友人からメールが届きました。
突然、なぜか久高島に行きたくなり、4月に行く手配を済ませてから、インタ
ーネットで久高島やイザイホーのことを調べていたたら、たまたま友人である
私のサイトにヒット。3月の終わりに久高島の映画をすると知り、あまりのシ
ンクロにびっくりしてメールを送ってくれたそうです。
今年に入って、幾人もの人から「久高島というキーワードがここのところ出て
くる」とメールや電話があります。
本当に、どうしてなのでしょうね。
神々の島は、私たちに今、何を伝えようとしているのでしょうか。
今月30日(土)に上映する『沖縄久高島・原郷ニライカナイへ〜比嘉康夫の
魂〜』は、私もまだ観ていません。久高島に惹かれそこに住む神女たちの祭祀
を撮り続けてきた、比嘉さんが亡くなる直前に残したメッセージとは一体、ど
んなことだったのでしょう。今回は、大重監督にも会場へお越し頂き、一緒に
お話しをしたいと思っています。
よろしければ、この映像をヒントに、神々の島は何を伝えたいのか、一緒に考
えてみませんか?
それから、今回のコラム・風の文様は、ひょんなことからホストクラブに潜入
したことを書いてみました。知らない世界を覗くと、新しい発見があるなぁ。
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◇◇今日の目次◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇
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1・連載======= 「神戸からの祈り」(9)
2・おすすめイベント= 映画「沖縄久高島 原郷ニライカナイへ」他
3・コラム・風の文様= 「虚構の中の男と女」
4・おすすめの旅=== 天と大地に感謝する旅「屋久島2002」
5・編集後記 ==== ひとりごと
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【1】◆◇連載◆◇
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■ 「神戸からの祈り」(9)
5月中旬、東京実行委員会の人々が中心となり早稲田大學で『ガイアシンフォ
ニー』1〜3番までの連続上映会が催された。その日の打ち上げ会場で、ひと
際声が大きくて大柄なおじさんを紹介された。「大重です」そう言って差し出
された手はとても暖かい。メガネの奥でキューピー人形のような大きな目がニ
コニコと笑っていた。「僕もね、神戸だから一緒にイベント手伝うよ」それが
大重監督と私の最初の出会いだった。
5月21日、22日と連続して神戸実行委員会が行われた。約束どおり、大重
監督も来ていた。この2日間は、私にとって忘れられない日となった。
5月21日は、かなりの人数が集まってのスタッフミーティングだった。
ミーティングの最大の争点は、募金集めについてだった。神戸メリケンパーク
で8月8日の催す「満月祭」は、その規模からいっても莫大な費用がかかるこ
とは、容易にわかる。費用をどう捻出するかを話し合っているうちに、何の為
にこの催しをするのか、その原点を皆で共有していないことに気がついた。
根本がずれていては、祈りのイベントなど出来るはずもない。
私は、幾度か原点を皆でもう一度話し合おうと提案したが、皆一応に興奮した
状態で、どうやってお金を集めるかを話し合うことの方が先決だと却下され、
誰も私の声など聞き入れてくれなかった。私は孤独感を味わっていた。
結局、その日遅くまで話し合ったが結論が出ないままとなってしまった。
そして翌日、参加できる人たちだけで、午前中六甲山や半焼した銀杏の木(連
載(8)参照)にお参りしたりしながら、震災後の神戸を歩いた。
その日の午後、今度は出演者との最初のミーティングが行われた。
そこに集まった何人かのかの出演者達は、どういうわけか全員が男性だった。
ある団体で事務局長をしている男性と私の二人でスタッフ側として、進行等の
話し合いに臨んだがのだが、どうやらディレクター的な役割を女がすることに
、違和感を覚える人がいた。「君は女なんだから、指示なんか出さなくていい
んだよ。進行は男がするもので、女は出された指示に沿って仕事をするものな
んだから」と言う。
私は幸いにしてというべきなのか、男女差別の類は今まで一度も受けずに生き
てきた。だから、この日驚くべき男尊女卑的な考えにただただ、びっくりした。
更に、そこに居合わせた男性全員がその人の意見に賛成してしまった。
その場で「君は口出さなくていいから」と釘をさされて、私は以後、進行には
一切何も言えない立場になってしまった。
私はひどく悔しいと思った。そして前日から様々なことが重なって、かなりナ
ーバスになっていた私は、早々に家路に向かい、近所の八幡神社の中で泣いた。
泣きつかれて涙も枯れた頃、このイベントには関わるのを辞めようと思ってい、
家に戻ろうとした時だった。今まで木の陰で全く見えていなかった神社の奥に
続く細い道が、私を呼ぶように風に吹かれて現れた。私はその道をゆっくり歩
いてみた。そして角を曲がった瞬間だった。道開きの神様、サルタヒコの祠が
目に飛び込んできた。今まで全く知らなかったのだが、なぜか家の真向かいに
小さいながらも、サルタヒコが祀られていたのだ。
私は、このイベントはサルタヒコのエネルギーが導いているように感じていた
ので、あまりのことに暫し呆然としてしまった。私はこのイベントの渦の中に
いることをはっきりと自覚した。そして事務局長としての仕事をやり遂げるこ
とを、サルタヒコの神様に誓った。
家に帰ると、私宛に長いFAXが届いていた。
送り主は、原さんという人物で、前日のスタッフ会議に出席していた一人だっ
た。長い文面には、前日の会議で私が一人で主張していたことに全く賛成する
という内容のものが書かれており、会議の折には、あまりにも人数が多くてそ
の旨を発言すらできなかったことが詫びてあった。
「何の為にするのか」を全員が共有できたら必ず道は開けるので、諦めずに共
に頑張ろうと書かれていたのを読んだ時、私は初めて同志と出会えたような喜
びを感じた。
そして、原さんは普段編集の仕事をしている関係から、募金集めの方法として
、祈りの文集をつくることを提案してくれた。これは、一口500円以上の募
金の際にメッセージを寄せてもらい、それを文集として発行しようというもの
だった。
この原さんの提案は次の実行委員会で全員一致の賛成を得て、早速それは動き
出した。
5月も終わりに近づいた頃『神戸からの祈り』は、実行委員会代表に鎌田東二
さん、神戸実行委員長に大重潤一郎監督、東京実行委員長に早稲田大学の池田
雅之教授が決まった。そして、その頃には賛同者も鎌田氏の声がけで芸能人か
ら政治家まで著名な人々が多く名を連ねている。
6月1日には、神戸市役所で記者会見をする運びになった頃、私の家では大パ
ニックが起っていた。とにかく事務局を自宅に置くことに猛反対されていたの
だ。考えてみれば当然のことだった。
そして悩んだ末、家の近所の不動産屋に飛び込み、急遽小さな事務所を借りる
契約をした。5月27日のことだった。
そこは、洋館の2階の小さな部屋。出窓が3つある可愛らしい場所だった。
私は、このここを『オフィスTEN』と名付けた。
つづく…
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【2】◆◇おすすめイベント!◆◇
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<沖縄の神々と魂の根源に触れる映像>
大重潤一郎監督作品 2本一挙上映
『光りの島』
『沖縄久高島・原郷ニライカナイヘ〜比嘉康夫の魂〜』
2002年3月30日(土) 開場13:30 上映14:00
文京シビック 小ホール
(営団地下鉄「後楽園」駅、都営地下鉄「春日」駅すぐ)
前売2,000円 当日2,500円
*今回の上映会は小ホールになりますので、小人数での上映会になります。
■『光りの島』
沖縄の無人島・新城島を舞台として、大自然の中の眩しく輝く光りと風を通し
て、
言葉にならないメッセージを響かせる…
「私は、生命(いのち)の未来を見つめていた」
幼い時に母を亡くした主人公は、 母が生前ふともらしたという 「人間死んだ
らなんにならん、つまらんものね」 の一言を抱いて旅を続ける。
そしてようやく 亜熱帯の珊瑚礁の無人島と出会う。 その島の磁力にひきよせ
られるように、 魂の道草を始める。
やがて見えないものに目を向けはじめた主人公に、島の自然は応え、語り始め
る。
■『沖縄久高島・原郷ニライカナイへ〜比嘉康夫の魂〜』
神の島と呼ばれている久高島では、12年に一度「イザイホー」と呼ばれる島
の女性が新しく神女になる儀式が執り行われる。厳しい条件や枷と引き換えに
、最も尊敬される神女となるのだが、前回の1990年には該当者が立たず、
イザイホーは執り行われなかった。
2002年の今年も前回同様、イザイホーを行うには難しい状況にあるが、島
の神女たちは、今も幾度も厳粛な祭祀を執り行っている。
写真家の比嘉康夫は、沖縄久高島に惹かれ、神々と暮す女性たちを撮りつづけ
てきた。
この作品は、突然の末期ガン宣告を受けてから、わずか1ヶ月でこの世を去る
までに魂の元郷ニライカナイを自ら見つけるまでを綴ったドキュメンタリー映
像である。
そして、比嘉自身が「人間とは何か、自分とは何か」を求め続け、久高島の祭
祀を通して、改めて神々と人間との世界を見出すまでの、人類にとって貴重な
記録映像だ。
イザイホーの年回りである今、この貴重な映像を観れることは、何か目に見え
ないイニシエからの強いメッセージを感じる。
映画及び上映会に関する詳しい情報とお申込は…
http://home.att.ne.jp/alpha/ten/eiga-oosige.htm
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【3】◆◇コラム・風の文様◆◇
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■虚構の中の男と女
先日、ホストクラブに突然潜入することになった。
数日前、シナリオ学校時代の友人で、関西在住の放送作家の友人から電話がか
かってきた。関西の某番組であるホストの密着取材をしている最中なのだが、
接客シーンを撮りたいので、サクラとして行ってもらえないかと言う。関西の
バラエティ番組を数多く手掛ける彼女だが、東京には知り合いがいないらしく
電話口で困っていた。聞くところによると、取材しているのは日本一のホスト
王だという。
好奇心旺盛な私は、自腹では絶対に行かない(行けない?)であろう、ホスト
クラブにお客役として行ってみることにした。しかし、一人では心細い。友人
と一緒でも構わないということだったので、Oさんを誘った。普段、Oさんは
気功や神仏の研究をしている人なので、とても付き合ってはくれないだろうと
思っていたのだが、意外にも「面白そうね」という返事で、一緒に行ってくれ
るという。
考えてみると、ホストやホステスは究極の接客業。増して日本一のホスト王に
なるなど、並大抵ではないはずだ。どんなに話術に長けているのか、興味津々
だった。
言われた時間まで少しあったので、喫茶店を探そうと歌舞伎町を歩いると、偶
然これから向かうホストクラブの大きな看板が目に入った。
「No1て書いてあるあの人かな?」「いや、あの王冠がついているあの人じ
ゃない?」などと言いながら、二人で看板を指差していると、大学生風の男の
子たちが、私たちを見て笑っている。どうやら、これからホストクラブに行く
おばさん二人組みが、品定めをしているように見えたらしい。
そのホストクラブは、歌舞伎町の真ん中にあった。
一歩中に入った途端、そこはあまりにも現実離れした世界だった。
鏡張りの壁とズラーっと並んだホストの写真。豪華?シャンデリアが幾つも垂
れ下がり、金メッキのライオン像が柱から覗いている。
キンキンキラキラ…今時、流行らない時代錯誤のようなインテリア。
通された席に座っても、落ち着かない。
しばらくして、密着取材を受けているホストの男性がやって来た。
目の前にいる男性は、50代後半で真っ黒に日焼け(日焼けサロンに通ってい
る?)して、ギラギラとしている。どう見ても事前に外の看板で見た、No1
の男性でも、王冠がついていた男性でもなかった。
どうやら、日本一のホスト王ではなく、日本で一番有名なホストクラブで一番
永く務めているホストの人らしいかった。きっと「ほんもの」のホスト王なら
どんなに短時間でTV用に仕込まれたお客役であろうが、瞬時にして楽しませ
る話術を持っているように思う。
正直なところ、このホストの男性は、会話のテンポも内容も悪く、とても退屈
だった。多分、私たちはお金を落とす客には、どう見ても見えなかったので、
相手にしても無駄だと判断して手を抜いたのだろうか。おもむろに、つまらな
いという態度を取っている。
「お金を使ってくれる人が、僕タイプなんです。やっぱり、いくら貢いでくれ
るかが大切ですよ」と真顔でこのホストの人は言う。
聞くところによるとホストクラブに通うお客さんは、一晩で40〜50万円使
う人もザラらしい。
ホストクラブには、大金持ちの女性から普通の主婦やOLまで幅広く来るそう
だが、中でもとりわけ多いのが風俗に務める女性だそうだ。
どこかで割り切りながら、性的な奉仕活動をすることで、多額のお金を得る。
しかし、今度は奉仕して欲しくなりお金と引き換えに奉仕してくれる男性を買
う。
ホストの人にしても、風俗嬢にしても、一番信用できるのは、お金なのだろう
か。そのお金を使って互いに割り切りながら癒しを求めていても、乾いた心が
完全に潤うことはあるのだろうか。
また、風俗に務めていなくても、家庭内別居や離婚、パートナーの不倫などで
、どこか現実の生活の中に癒されない男女関係があった時、お金で尽くしてく
れる異性を欲して、満たされるとはなかなか思えない。
しばらく待たされていた時、見習の青年がお茶を入れてくれながらポツンと言
った言葉が胸に残る。
「この新宿には、約3000人のホストが働いているんですよ。でも、その中
で心から愛する人と出会い、真剣に恋愛して結婚できるのは、1000人に1
人くらいなんだそうですよ。不幸のかたちは人様々。みんな違うかたちの不幸
を背負って、でも、ここで生きていくしかないんですよ」
ガラス張りの壁と幾つも吊り下がったシャンデリア、そして金メッキの飾り物
で飾られた店の中で、今日も男と女が騙し騙され触れ合っていることだろう。
どうかあの見習青年が、1000人の中の1人となって、真実の愛とであえま
すように。
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【4】◆◇おすすめの旅◆◇
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毎年、大人気のツアーです。
天と大地に感謝する旅・Walk6
『屋久島ツアー2002』
〜もののけ姫の森を尋ねて〜
2002年7月11日(木)〜7月14日(日)
3泊4日・全行程食事つき
東京発着 128、000円
定員33名
募集人員に達し次第、締め切らせていただきます。
屋久島は、世界自然遺産に登録されている大自然の島。
2日目には幻想的な苔森、白谷雲水峡をゆったり1日かけて歩きます。
3日目はフリータイム。
オプションで縄文杉登山や、カヌーを選ぶのもよし、
永田浜でゆっくり海水浴を楽しむのもよし。
悠久の時をあなた自身が体感しませんか?
詳しくは…
http://home.att.ne.jp/alpha/ten/yaku2002.htm
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【6】◆◇編集後記◆◇
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オフィスTENに新しいスタッフがやってきました。一つの大いなる意思の
もと、映画「ロード・オブ・ザ・リング」のように、何人かの仲間が集まっ
てきているみたいです。
そんな仲間と、来週後半、天河へ行ってきます。
どんなことが待っているのか、今から楽しみです。
aya
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発行者 天川 彩
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