2002/07/19 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     ☆★☆   TEN's magazine 第27号   ☆★☆    
  
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.office-ten.net

 こんにちは!天川 彩です。

先週は屋久島ツアーに行って来ました。
一日出発が早かったら、台風6号の影響で飛行機が欠航していたし、
一日帰りが遅かったら、台風7号の影響でこれまた飛行機が欠航という
台風と台風の間に挟まった奇跡のような4日間でした。
本当に神様に感謝〜!という気持ちで一杯です。

屋久島は、もう何度目なのか、自分でもわからなくてきましたが、
戻って来たばかりだというのに、また屋久島へ行きたくなる屋久島病に、
またもやかかって困っています(笑)。

さてさて、今週のメルマガですが、久しぶりにコラム「風の文様」を書
きました。

それから得点がいっぱい(ホントです!)のTEN’sメイトですが、
第一期は今月の末で締め切りです。天河太々神楽講2002 「天の川
に祈る」も今月末が締め切りです。

迷っている方は、お早めにどうぞ、お申込みください。

……………………………………………………………………………………

◇◇今日の目次◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇
……………………………………………………………………………………

1・連載========= 「天の河に橋かけて」(4)
2・TEN’メイト ====  会員募集 今月末締め切りです
3・コラム「風の文様」== 「達人たち」@森と山の達人
4・天河太々神楽講==== 天の川に祈る 参加者募集
5・童話詩の世界 ==== 「大地の物語〜大地の匂い〜」
6・編集後記======= ひとりごと
……………………………………………………………………………………
【1】◆◇連載◆◇
……………………………………………………………………………………
■ 「天の河に橋かけて」(4)

□失われた感覚

大手音楽プロモーション会社を辞めたのは、とてもくだらない理由から
だった。

上司と後輩の不倫騒動に巻き込まれてしまったのだ。自分自身のことな
らいざ知らず…何故、上司と後輩の不倫騒動で、私があれほどまでに打
ち込んでいた仕事が出来なくなるのだろう…。あまりにくだらなくて悔
しかった。まだ若過ぎた私は、居直る図太さも持ち合わせず悩んだ末に、
辞表を提出した。

その後、縁あって関西の企画会社に移り、更に縁あって結婚した。

その頃には、社会生活をうまく渡り歩く術を覚え始めていた。
そして、それと引き換えるように、純粋に持っていたあの「感覚」は必
要ではなくなっていったのかもしれない。
目に見える世界だけがこの世の全てであり、科学で証明されていること
だけが真実であるという思い込み。そして「幸せ」は、他者からの評価
や社会的な地位、財産、世間体ということによって満たされると、私は
信じて疑わなかった。

仕事はトコトン面白かった。
ファッションショーや様々なイベントの企画、構成、演出のイロハを教
わった。そしてSP(セールスプロモーション)の企画にも携わってい
るうち、もっとマーケティングの勉強をしたいと思うようになり、慶応
大学の経済学部に通信入学した。主婦業と仕事と勉強…。どれも楽しか
ったが無理が祟ったのか、その時期、切迫流産を繰り返ししてしまった。
せっかく自分の中で芽生えた「いのち」が死んでしまう悲しさを幾度も
経験した。
4度目の妊娠で、ミジンコのように小さな心臓が超音波で動いているの
を見た瞬間、私は仕事も勉強も一切やめる決心をする。

月日が流れ、いつしか私は3人の子の母となった。

幼い子どもの手を取り、近くの公園を散歩しながら、野に咲く花や、流
れる雲を見つめていた頃、今思っても至福の時を過していたのだと思う。

しかし…
いつしか幼い子供と接しているだけの自分に焦りを感じ始めていた。や
がて長女が幼稚園に通い出した頃から、自分では気がつかないうちに、
急速に物質的な価値観に著しく比重を置くようになってしまった。その
頃、金銭的にそこそこ恵まれていた生活を送っていたことも要因の一つ
だったのかもしれないが、刹那的な教育論や競争心理を煽るお受験産業
に何の疑問も持たなくなってしまった。高級マンションに住み、左ハン
ドルの高級車に乗り、有名フランス料理店やイタリヤ料理店でのランチ
タイムや、有名私立幼稚園と複数通わせていたお稽古に往復する日々が
「幸せな生活」だと思い込んで過していた。 

だが、どこまで贅沢をしても、ランチタイムのお喋りを繰り返しても、
私の心が満たされることはなかった。まったく無意識ではあるが本来の
「自分」が必死で何かに抵抗しているかのようだった。
そして、気がつくと「私」という存在がほとんど消えかかり「世間」と
いう大波に飲み込まれそうになっていた。

私は自分の中で悲鳴をあげていた「私」を取り戻す為に、少しずつ動き
始めることにした。

イベント台本を書き始めた頃から、ずっと学びたかったシナリオ学校に
通い始めたり、仲間と様々な企画を遂行したりもしのも、その頃だった。

やがて某新聞社系列の地域情報紙を発行している会社が記者を募集して
いたので、何気なく応募してみた。すると思いがけずパート採用となっ
た。それがやがて会社員となり、数年後、記者としてだけではなく企画
部のチーフに抜擢された。給料も徐々に上がり、会社主催でイベントを
次々と催すことも出来るようになったので、心底、仕事が面白いと思っ
た。それと同時に、3人の子供達がお世話になっていた国立付属小学校の
PTA役員も引き受け、仕事の合間に、役員の仕事もこなしていた。

そして、念願だった脚本家としても連続ラジオドラマでデビューを果し
ていた。

ウィークデーの日中は会社で働き、夕方家事をこなして子供を寝かせつ
かせてから、夜中まで、時には明け方までシナリオを書く。ドラマの収
録は、私の都合で土曜日にしてもらっていたので、土曜日には放送局で
のラジオドラマ収録に立ち会うという日々が続いていた。

それはまさに充実の時だった。


しかし、阪神大震災に遭って意識は大きく変ってはいたが、あの「感覚
」は、この時点ではまだ、蘇ってはいなかった。だから、相変わらず目
に見える世界だけがこの世の全てであり、科学で証明されていることだ
けが真実であると思い込み、「幸せ」は、他者からの評価や社会的な地
位、財産、世間体ということによって満たされると、まだ信じていた。

そう、あの日までは…。

つづく…

……………………………………………………………………………………
【2】◆◇【TEN'sメイト】 ◆◇
……………………………………………………………………………………
《TEN’メイト》会員募集のお知らせ

*第一期 申込み締め切りは7月31日までです。

『命』の尊厳や太古から脈々と続く叡智の伝承、そして魂の根源に触れ
るようなテーマを、様々な角度から誰もが親しめるエンターティンメン
トとしてお届けしているオフィスTEN。
弊社では、ただ今、特典がいっぱいのTEN’sメイト会員を募集中で
す。

メイトだけにお届する季刊紙(とてもアナログチックなものをお届けす
る予定です)や、メイトだけにお届けするプチイベントも企画する予定
です。

ピン!ときた方は、どうぞお申込みください。

≪TEN’sメイト会員特典≫

● 季刊紙「TENからのお便り」が郵送で届きます
● 弊社主催のイベント前売りチケットが全て10%OFF
● 弊社オリジナル商品 全て10%OFF
● スペシャルイベントへのご優待
● オフィスTEN×TEN’sメイトの懇親会
● その他、TEN’メイトだけの特典が多数…

入会金  1000円  年会費  2000円

FAX・E-mailでお申し込みの上、郵便振替で入会金+年会費を
お振り込みください。後日、会員証を郵送させていただきます。

郵便振替  00110−4−567778  オフィスTEN

ten@office-ten.net   fax 03−3828−5070

……………………………………………………………………………………
【3】◆◇コラム・風の文様◆◇
……………………………………………………………………………………
■『達人たち』@屋久島の森と山の達人


屋久島に行く度、森や山の案内を頼んでいる人がいる。
その人の名は藤村さん。
屋久島生まれの屋久島育ち。屋久島の山や森のことならほとんど知り尽
くしている達人だ。
山で遭難した人が出ると、救助隊の一員になって幾日も山に入ることも
あるという。
お孫さんが6人もいるとは思えない、がっちりと日焼けした体つきでと
ても若々しい。

藤村さんとは、偶然の出会いだった。
以前、一人で縄文杉に登った時に、偶然、縄文杉の前で一人の画家の方
と出会った。
その方は、一年に4〜5回、屋久島に来ては10日くらい山小屋に泊まっ
て絵を書いている人だった。
その人は、たった一人で縄文杉のところまで登ってきた私に驚きながら
「きっと縄文杉から素敵なプレゼントが君に届くと思うよ」と言ってく
れて、雨でずぶ濡れになりながら住所交換をしたら、後日ハガキが送ら
れてきた。
以後、季節の挨拶状を出し合うようになったのだが、私がツアーを企画
することになって、山を案内してもらうのに適任の人はいないか、その
画家の方に聞きに行った。

「それなら○○さんがいいよ。屋久島のエコガイドとしてはメジャーに
目立ってはいないけれど、間違いなく山の名人だから」

その時、紹介してもらった人を、縄文杉登山のガイドとして依頼した。

ところが、登山の当日ガイドとしてやって来たのは、その方ではなかっ
た。私は内心ガッカリした。

聞くと、山で遭難事故があり、その方は急遽捜索しに行ったらしい。
その方から絶大なる信頼を受けて、急遽私達のツアーのガイドとして入
ってくれたのが、藤村さんだった。

その年、縄文杉登山の途中、私は足を軽く捻挫してしまい、ウィルソン
株という巨大な樹の切り株の中で、3時間過ごしていた。

実はそこでとても不思議なことが起こったので、恐る恐る、藤村さんに
話してみた。
すると、藤村さんは目の色が変り「あなたには、わかるのですね」と言
って、
ご自身が体験された屋久島の山での不思議な体験や話をいくつかしてく
れた。
屋久島に住む人々は、昔から神々と共に暮らしているらしく、信仰深い
島なのだそうだ。
そんな体験話をしているうちに、急速に親しくなっていった。

そんな藤村さんに、今年、映画「もののけ姫」のモデルとして使われた
場所に、案内してもらった。映画「もののけ姫」制作時、幾度も宮崎監
督はじめスタジオ・ジブリのスタッフの方々を幾度も案内したという。

「この岩は、シシガミが眼下に広がる里を眺めた場所だよ」
「ここは、神秘の湖のモデルに使われた場所だよ」
私自身、幾度も通った白谷雲水峡の苔森が違う表情で見えてきた。

「この9月からNHK朝の連ドラ『まんてん』のロケ地に屋久島が選ば
れたんだけど、
この前も浅野温子さんに森を案内してあげたんだよ」とか、
「そうそう…野口 健も幾度か屋久島の山を案内したなぁ」とか、藤村
さんはサラッと言う。
ミーハーな私は「え〜凄い…」なんてすぐに反応してしまうのだが、そ
れにしても、みんなどこで藤村さん情報を仕入れるのだろうか…。
屋久島ガイドとしては、メジャーに雑誌などには登場していないのに…。

「天川さん、君はまだ屋久島の山を見ていない。今度は山をちゃんと教
えてあげなければ…と思っているんだよ。屋久島の山の奥には、もっと
多くの神々がいるんだよ」

山の達人に連れられて、屋久島の奥岳を登った時、何を感じることが出
来るのか、今から楽しみだ。


……………………………………………………………………………………
【4】◆◇天河太々神楽講◆◇
……………………………………………………………………………………
《参加者募集のお知らせ》

天河太々神楽講2002
万物の「いのち」尊ぶ・旧暦七夕祭

***【天の川に祈る】***    講元 天川 彩

天河神社の幽玄な七夕祭ご神事のお手伝いをさせていただく
特別なワークショップです。

<内容及び募集要項>

★ 天河神社特別正式参拝(当ワーク参加者対象)
★言の葉ひろい(講師:天川 彩)★笹の葉飾り及び準備参加
★七夕祭参加★天河周辺散策
★講話:天河の歴史と神社作法(講師:柿坂匡孝禰宜予定)
★講話:七夕伝説と天河(講氏:柿坂神酒之裕 天河神社宮司予定)
★天の川掃除 ★まとめ:天川 彩 

会   場: 大峯本宮天河大辨財天社と周辺  
日   程: 8月14日(午後3時)〜8月16日(正午)
      地集合現地解散参加料金 : 3万6千円(2泊6食付)宿
代+ワーク参加費

*別途正式参拝料として一万円以上を各自のし袋に入れてご持参くださ
い。

申込方法: 必ず電話もしくはFAX・Eメールでお申込みの上、下記

座まで参加費をお振り込み下さい。後日資料をお送りいたします。
郵便振替口座 00110−4−567778  オフィスTEN
    締 切 り:7月31日
但し、定員(30名)に達した場合は事前に〆切らせて頂きます。

*ご希望の方は早めにお申込みください。
   
申込み先:オフィスTEN
TEL03−3828−5070 FAX03−3828−5090

太古からの聖地、天河において自然界そして大宇宙の中で生かされてい
る命に感謝をしながら、先祖に思いを馳せ天の川に祈り捧げる3日間で
す。七夕祭ご神事、仏式による万霊の御霊供養、天の川に於いての灯篭
流し
…。幽玄な天河での旧暦七夕は、深く私達の祈る心を呼び覚ましてくれ
るこ
とでしょう。今回この集いでは、特別にご神事そのものを神社の方々の
ご指導のもと笹飾りから翌日の天の川お掃除まで参加させて頂き、天河
の七夕祭を存分に体感させていただくことになりました。聖地での祈り
の時を是非、ご一緒いたしましょう。

詳しくはhttp://www.office-ten.net 
……………………………………………………………………………………
【5】◆◇童話詩の世界◆◇

『大地の物語・ 〜大地の匂い〜』
                           天川 彩


「さっき、大きな虹を見たよ。
大地から青い空に向かって、真っ直ぐ縦に登る虹。
よいことがある知らせさ」
昔、お爺さんが、とうもろこし畑で
そんな話しをしてくれた。

僕は今、灰色に覆われた空の下で生きている。
毎日毎日小さなマッチ箱のような電車に揺られ、
天まで聳えるビルの中。
どこまで経っても行き着くことの無い時計の中を、
グルグル必死で歩いている。
東から吹いた風の匂いも、
西に沈む夕陽の色も、
みんなみんな忘れてしまった。

「昨日、あの砦の上で笛を吹いたら、
つぐみが一羽飛んできた。
あれは、伝説に出てくる鳥なんだ」
昔、父さんが、地平線に続く道で、
そんな話しをしてくれた。

僕は今、灰色に覆われたコンクリートの上を歩く。
ひび割れから、蟻が出てきて僕に問う。
「君の大地はどこにある?」
どこまでも敷き詰められている、
アスファルトが僕の大地か。
雨に湿った草の匂いも、
谷間に舞う土埃の色も、
みんなみんな忘れてしまった。


「夕べ、雲の合間から満月が顔を出した時、
あの岩山を金色に染めていていたよ。
今年も、豊作になるね」
昔、母さんが、石焼釜の前で、
そんな話しをしてくれた。

僕は今、車の騒音と排気ガズが舞いあがる、
高速道路を一生懸命走っている。
スピード上げて生きている。
僕が争い向う先、
一体何が待っていたのか。
渓谷を一緒に走った馬の瞳も
草原を友と駆けた夕暮れ時も
みんな、みんな忘れてしまった。

僕が欲しかったものは、何だったんだろう。
僕が聞きたかったのは、何だったんだろう。
僕が見たかったのは、何だったんだろう。

ふと、僕の大地の匂いがした。
あの懐かしい、風の谷。
僕を誘う、大地の匂い。



……………………………………………………………………………………

……………………………………………………………………………………
【6】◆◇編集後記◆◇
……………………………………………………………………………………
屋久島の海でスノーケリングをした。
目の前に広がる別世界。
海はなんと神秘的なのだろうと感激していると、インストラクターの先
生が、素潜りで大きなタコをモリで突いて、捕まえてきた。
その姿に驚いていると「屋久島の男は、みんな海でも山でも食料は、自
分で確保できるんだよ」と藤村さんが笑いながら言う。
ここには狩猟民族だった縄文人の血が多く残っているのかも…格好いい
なぁと思った。

昼食にそのタコをさっと茹でて食べたりしていたら…あっとい間に、日
焼けをしてしまったらしい。
今は、私自身が茹でタコのように真っ赤になってしまっている。

「ギャー、シミになってしまう〜」
なんて騒いでも、もう遅いか…ズスン。。。
                  aya
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

発行者   天川 彩

Copyright 2001 OFFICE-TEN All rights reserved.
掲載内容の無断複製・転載はご遠慮ください。
他でお使いになりたい場合にはご相談下さい。
お知り合いへの個人的な転送は歓迎です。

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オフィスTEN
Email:ten@office-ten.net
URL:http://www.office-ten.net
Tel:03-3828-5070 FAX:03-3828-5090
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 こんにちは!天川 彩です。

先週は屋久島ツアーに行って来ました。
一日出発が早かったら、台風6号の影響で飛行機が欠航していたし、
一日帰りが遅かったら、台風7号の影響でこれまた飛行機が欠航という
台風と台風の間に挟まった奇跡のような4日間でした。
本当に神様に感謝〜!という気持ちで一杯です。

屋久島は、もう何度目なのか、自分でもわからなくてきましたが、
戻って来たばかりだというのに、また屋久島へ行きたくなる屋久島病に、
またもやかかって困っています(笑)。

さてさて、今週のメルマガですが、久しぶりにコラム「風の文様」を書
きました。
それから得点がいっぱい(ホントです!)のTEN’sメイトですが、
第一期は今月の末で締め切りです。天河太々神楽講2002 「天の川
に祈る」も今月末が締め切りですので、お迷いの方は、お早めにどうぞ。

……………………………………………………………………………………

◇◇今日の目次◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇
……………………………………………………………………………………

1・連載========= 「天の河に橋かけて」(4)
2・TEN’メイト ====  会員募集 今月末締め切りです
3・コラム「風の文様」== 「達人たち」@森と山の達人
4・天河太々神楽講==== 天の川に祈る 参加者募集
5・童話詩の世界 ==== 「妖精の散歩道」
6・編集後記======= ひとりごと
……………………………………………………………………………………
【1】◆◇連載◆◇
……………………………………………………………………………………
■ 「天の河に橋かけて」(4)

□失われた感覚

大手音楽プロモーション会社を辞めたのは、とてもくだらない理由から
だった。

上司と後輩の不倫騒動に巻き込まれてしまったのだ。自分自身のことな
らいざ知らず…何故、上司と後輩の不倫騒動で、私があれほどまでに打
ち込んでいた仕事が出来なくなるのだろう…。あまりにくだらなくて悔
しかった。まだ若過ぎた私は、居直る図太さも持ち合わせず悩んだ末に、
辞表を提出した。

その後、縁あって関西の企画会社に移り、更に縁あって結婚した。

その頃には、社会生活をうまく渡り歩く術を覚え始めていた。
そして、それと引き換えるように、純粋に持っていたあの「感覚」は必
要ではなくなっていったのかもしれない。
目に見える世界だけがこの世の全てであり、科学で証明されていること
だけが真実であるという思い込み。そして「幸せ」は、他者からの評価
や社会的な地位、財産、世間体ということによって満たされると、私は
信じて疑わなかった。

仕事はトコトン面白かった。
ファッションショーや様々なイベントの企画、構成、演出のイロハを教
わった。そしてSP(セールスプロモーション)の企画にも携わってい
るうち、もっとマーケティングの勉強をしたいと思うようになり、慶応
大学の経済学部に通信入学した。主婦業と仕事と勉強…。どれも楽しか
ったが無理が祟ったのか、その時期、切迫流産を繰り返ししてしまった。
せっかく自分の中で芽生えた「いのち」が死んでしまう悲しさを幾度も
経験した。
4度目の妊娠で、ミジンコのように小さな心臓が超音波で動いているの
を見た瞬間、私は仕事も勉強も一切やめる決心をする。

月日が流れ、いつしか私は3人の子の母となった。
幼い子どもの手を取り、近くの公園を散歩しながら、野に咲く花や、流
れる雲を見つめていた頃、今思っても至福の時を過していたのだと思う。
しかし…
いつしか幼い子供と接しているだけの自分に焦りを感じ始めていた。や
がて長女が幼稚園に通い出した頃から、自分では気がつかないうちに、
急速に物質的な価値観に著しく比重を置くようになってしまった。その
頃、金銭的にそこそこ恵まれていた生活を送っていたことも要因の一つ
だったのかもしれないが、刹那的な教育論や競争心理を煽るお受験産業
に何の疑問も持たなくなってしまった。高級マンションに住み、左ハン
ドルの高級車に乗り、有名フランス料理店やイタリヤ料理店でのランチ
タイムや、有名私立幼稚園と複数通わせていたお稽古に往復する日々が
「幸せな生活」だと思い込んで過していた。 

だが、どこまで贅沢をしても、ランチタイムのお喋りを繰り返しても、
私の心が満たされることはなかった。まったく無意識ではあるが本来の
「自分」が必死で何かに抵抗しているかのようだった。
そして、気がつくと「私」という存在がほとんど消えかかり「世間」と
いう大波に飲み込まれそうになっていた。

私は自分の中で悲鳴をあげていた「私」を取り戻す為に、少しずつ動き
始めることにした。

イベント台本を書き始めた頃から、ずっと学びたかったシナリオ学校に
通い始めたり、仲間と様々な企画を遂行したりもしのも、その頃だった。

やがて某新聞社系列の地域情報紙を発行している会社が記者を募集して
いたので、何気なく応募してみた。すると思いがけずパート採用となっ
た。それがやがて会社員となり、数年後、記者としてだけではなく企画
部のチーフに抜擢された。給料も徐々に上がり、会社主催でイベントを
次々と催すことも出来るようになったので、心底、仕事が面白いと思っ
た。そして、3人の子供達がお世話になっていた国立付属小学校のPT
A役員も引き受け、仕事の合間に、役員の仕事もこなしていた。

それと同時に、念願だった脚本家としても連続ラジオドラマでデビュー
を果していた。

ウィークデーの日中は会社で働き、夕方家事をこなして子供を寝かせつ
かせてから、夜中まで、時には明け方までシナリオを書く。ドラマの収
録は、私の都合で土曜日にしてもらっていたので、土曜日には放送局で
のラジオドラマ収録に立ち会うという日々が続いていた。

それはまさに充実の時だった。

しかし、阪神大震災に遭って意識は大きく変ってはいたが、あの「感覚
」は、この時点ではまだ、蘇ってはいなかった。だから、相変わらず目
に見える世界だけがこの世の全てであり、科学で証明されていることだ
けが真実であると思い込み、「幸せ」は、他者からの評価や社会的な地
位、財産、世間体ということによって満たされると、まだ信じていた。

そう、あの日までは…。

つづく…

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【2】◆◇【TEN'sメイト】 ◆◇
……………………………………………………………………………………
《TEN’メイト》会員募集のお知らせ

*第一期 申込み締め切りは7月31日までです。

『命』の尊厳や太古から脈々と続く叡智の伝承、そして魂の根源に触れ
るようなテーマを、様々な角度から誰もが親しめるエンターティンメン
トとしてお届けしているオフィスTEN。
弊社では、ただ今、特典がいっぱいのTEN’sメイト会員を募集中で
す。

メイトだけにお届する季刊紙(とてもアナログチックなものをお届けす
る予定です)
や、メイトだけにお届けするプチイベントも企画する予定です。

ピン!ときた方は、どうぞご利用下さい。

≪TEN’sメイト会員特典≫

● 季刊紙「TENからのお便り」が郵送で届きます
● 弊社主催のイベント前売りチケットが全て10%OFF
● 弊社オリジナル商品 全て10%OFF
● スペシャルイベントへのご優待
● オフィスTEN×TEN’sメイトの懇親会
● その他、TEN’メイトだけの特典が多数…

入会金  1000円  年会費  2000円

FAX・E-mailでお申し込みの上、郵便振替で入会金+年会費を
お振り込みください。後日、会員証を郵送させていただきます。

郵便振替  00110−4−567778  オフィスTEN

ten@office-ten.net   fax 03−3828−5070

……………………………………………………………………………………
【3】◆◇コラム・風の文様◆◇
……………………………………………………………………………………
■ 『達人たち』
@屋久島の森と山の達人


屋久島に行く度、森や山の案内を頼んでいる人がいる。
その人の名は藤村さん。
屋久島生まれの屋久島育ち。屋久島の山や森のことならほとんど知り尽
くしている達人だ。
山で遭難した人が出ると、救助隊の一員になって幾日も山に入ることも
あるという。
お孫さんが6人もいるとは思えない、がっちりと日焼けした体つきでと
ても若々しい。

藤村さんとは、偶然の出会いだった。
以前、一人で縄文杉に登った時に、偶然、縄文杉の前で一人の画家の方
と出会った。
その方は、一年に4〜5回、屋久島に来ては10日くらい山小屋に泊まっ
て絵を書いている人だった。
その人は、たった一人で縄文杉のところまで登ってきた私に驚きながら
「きっと縄文杉から素敵なプレゼントが君に届くと思うよ」と言ってく
れて、雨でずぶ濡れになりながら住所交換をしたら、後日ハガキが送ら
れてきた。
以後、季節の挨拶状を出し合うようになったのだが、私がツアーを企画
することになって、
山を案内してもらうのに適任の人はいないか、その画家の方に聞きに行
った。
「それなら○○さんがいいよ。屋久島のエコガイドとしてはメジャーに
目立ってはいないけれど、間違いなく山の名人だから」

その時、紹介してもらった人を、その時のツアーのガイドとして依頼し
ていた。
ところが、縄文杉登山の当日、ガイドとしてやって来たのはその方では
なく、藤村さんだったのだ。
私は内心ガッカリした。
聞くと、山で遭難事故があり、その方は急遽捜索しに行ったらしい。
その方から絶大なる信頼を受けて、急遽私達のツアーのガイドとして入
ってくれたらしい。

その年、縄文杉登山の途中、私は足を軽く捻挫してしまい、ウィルソン
株という巨大な樹の切り株の中で、3時間過ごしていた。

実はそこでとても不思議なことが起こったので、恐る恐る、藤村さんに
話してみた。
すると、藤村さんは目の色が変り「あなたには、わかるのですね」と言
って、
ご自身が体験された屋久島の山での不思議な体験や話をいくつかしてく
れた。
屋久島に住む人々は、昔から神々と共に暮らしているらしく、信仰深い
島なのだそうだ。
そんな体験話をしているうちに、急速に親しくなっていった。

そんな藤村さんに、今年、映画「もののけ姫」のモデルとして使われた
場所に、案内してもらった。映画「もののけ姫」制作時、幾度も宮崎監
督はじめスタジオ・ジブリのスタッフの方々を幾度も案内したという。

「この岩は、シシガミが眼下に広がる里を眺めた場所だよ」
「ここは、神秘の湖のモデルに使われた場所だよ」
私自身、幾度も通った白谷雲水峡の苔森が違う表情で見えてきた。

「この9月からNHK朝の連ドラ『まんてん』のロケ地に屋久島が選ば
れたんだけど、
この前も浅野温子さんに森を案内してあげたんだよ」とか、
「そうそう…野口 健も幾度か屋久島の山を案内したなぁ」とか、藤村
さんはサラッと言う。
ミーハーな私は「え〜凄い…」なんてすぐに反応してしまうのだが、そ
れにしても、みんなどこで藤村さん情報を仕入れるのだろうか…。
屋久島ガイドとしては、メジャーに雑誌などには登場していないのに…。

「天川さん、君はまだ屋久島の山を見ていない。今度は山をちゃんと教
えてあげなければ…と思っているんだよ。屋久島の山の奥には、もっと
多くの神々がいるんだよ」

山の達人に連れられて、屋久島の奥岳を登った時、何を感じることが出
来るのか、今から楽しみだ。
……………………………………………………………………………………
【4】◆◇天河太々神楽講◆◇
……………………………………………………………………………………
《参加者募集のお知らせ》

天河太々神楽講2002
万物の「いのち」尊ぶ・旧暦七夕祭

***【天の川に祈る】***    講元 天川 彩

天河神社の幽玄な七夕祭ご神事のお手伝いをさせていただく
特別なワークショップです。

<内容及び募集要項>

★ 天河神社特別正式参拝(当ワーク参加者対象)
★言の葉ひろい(講師:天川 彩)★笹の葉飾り及び準備参加
★七夕祭参加★天河周辺散策
★講話:天河の歴史と神社作法(講師:柿坂匡孝禰宜予定)
★講話:七夕伝説と天河(講氏:柿坂神酒之裕 天河神社宮司予定)
★天の川掃除 ★まとめ:天川 彩 

会   場: 大峯本宮天河大辨財天社と周辺  
日   程: 8月14日(午後3時)〜8月16日(正午)
      地集合現地解散参加料金 : 3万6千円(2泊6食付)宿
代+ワーク参加費

*別途正式参拝料として一万円以上を各自のし袋に入れてご持参くださ
い。

申込方法: 必ず電話もしくはFAX・Eメールでお申込みの上、下記

座まで参加費をお振り込み下さい。後日資料をお送りいたします。
郵便振替口座 00110−4−567778  オフィスTEN
    締 切 り:7月31日
但し、定員(30名)に達した場合は事前に〆切らせて頂きます。

*ご希望の方は早めにお申込みください。
   
申込み先:オフィスTEN
TEL03−3828−5070 FAX03−3828−5090

太古からの聖地、天河において自然界そして大宇宙の中で生かされてい
る命に感謝をしながら、先祖に思いを馳せ天の川に祈り捧げる3日間で
す。七夕祭ご神事、仏式による万霊の御霊供養、天の川に於いての灯篭
流し
…。幽玄な天河での旧暦七夕は、深く私達の祈る心を呼び覚ましてくれ
るこ
とでしょう。今回この集いでは、特別にご神事そのものを神社の方々の
ご指導のもと笹飾りから翌日の天の川お掃除まで参加させて頂き、天河
の七夕祭を存分に体感させていただくことになりました。聖地での祈り
の時を是非、ご一緒いたしましょう。

詳しくはhttp://www.office-ten.net 
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【5】◆◇童話詩の世界◆◇
大地の物語・ 〜大地の匂い〜
                              天川
 彩


「さっき、大きな虹を見たよ。
大地から青い空に向かって、真っ直ぐ縦に登る虹。
よいことがある知らせさ」
昔、お爺さんが、とうもろこし畑で
そんな話しをしてくれた。

僕は今、灰色に覆われた空の下で生きている。
毎日毎日小さなマッチ箱のような電車に揺られ、
天まで聳えるビルの中。
どこまで経っても行き着くことの無い時計の中を、
グルグル必死で歩いている。
東から吹いた風の匂いも、
西に沈む夕陽の色も、
みんなみんな忘れてしまった。

「昨日、あの砦の上で笛を吹いたら、
つぐみが一羽飛んできた。
あれは、伝説に出てくる鳥なんだ」
昔、父さんが、地平線に続く道で、
そんな話しをしてくれた。

僕は今、灰色に覆われたコンクリートの上を歩く。
ひび割れから、蟻が出てきて僕に問う。
「君の大地はどこにある?」
どこまでも敷き詰められている、
アスファルトが僕の大地か。
雨に湿った草の匂いも、
谷間に舞う土埃の色も、
みんなみんな忘れてしまった。


「夕べ、雲の合間から満月が顔を出した時、
あの岩山を金色に染めていていたよ。
今年も、豊作になるね」
昔、母さんが、石焼釜の前で、
そんな話しをしてくれた。

僕は今、車の騒音と排気ガズが舞いあがる、
高速道路を一生懸命走っている。
スピード上げて生きている。
僕が争い向う先、
一体何が待っていたのか。
渓谷を一緒に走った馬の瞳も
草原を友と駆けた夕暮れ時も
みんな、みんな忘れてしまった。

僕が欲しかったものは、何だったんだろう。
僕が聞きたかったのは、何だったんだろう。
僕が見たかったのは、何だったんだろう。

ふと、僕の大地の匂いがした。
あの懐かしい、風の谷。
僕を誘う、大地の匂い。



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【6】◆◇編集後記◆◇
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屋久島の海でスノーケリングをした。
目の前に広がる別世界。
海はなんと神秘的なのだろうと感激していると、インストラクターの先
生が、素潜りで大きなタコをモリで突いて、捕まえてきた。
その姿に驚いていると「屋久島の男は、みんな海でも山でも食料は、自
分で確保できるんだよ」と藤村さんが笑いながら言う。
ここには狩猟民族だった縄文人の血が多く残っているのかも…格好いい
なぁと思った。

昼食にそのタコをさっと茹でて食べたりしていたら…あっとい間に、日
焼けをしてしまったらしい。
今は、私自身が茹でタコのように真っ赤になって、皮がむけ始めている。

「ギャー、シミになってしまう〜」
なんて騒いでも、もう遅いか…ズスン。。。
                  aya
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発行者   天川 彩

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