2002/04/05 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆★☆ TEN's magazine 第12号 ☆★☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.office-ten.net
こんにちは!天川 彩です。
春爛漫。あっという間に4月ですね。
皆さんは「青春18きっぷ」という切符をご存知ですか?
春休み、夏休み、冬休みの期間限定発売されるJRの特別きっぷのことで、
特急券や急行券を必要としない列車なら、全国どこまでもその日のうちなら
自由に乗り降りできるという超お得な切符です。
料金は5回使用できて11500円。
なんだか、JRの宣伝のようになってしまいましたが、とにかく、この切符は
本当に格安なんてものではありません。以前、関西に住んでいた頃、朝一番の
電車に乗って、どこまで行けるか時刻表で調べて行くと、なんと北は青森、南
は熊本まで行けてしまうことがわかりました。1回2300円でですよ。実際
には、1日中電車に乗っているのは、かなりハードですけれど…。
この春休み、我が家の13歳と15歳の娘たちは、18きっぷと時刻表を片手
に神戸まで旅をしてきました。
片道、およそ9時間。新幹線の3倍の時間を要しますが、貴重な体験ができた
ようです。
「お母さんは、いつも新幹線で移動しているのにずる〜い」と言われましたが
私は、時間の制限無く旅ができる、彼女たちの方が羨ましい。
夏休みには、私も久しぶりに「青春18きっぷ」を使って青森あたりまで行っ
てみようかなぁ。
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◇◇今日の目次◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇
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1・連載======= 「神戸からの祈り」(12)
2・ご一緒しませんか= 天河太々神楽講2002 天の川に祈る
3・バックステージ== 大重監督編「久高島からのメッセージ」
4・おすすめの旅=== 屋久島ツアー2002
6・編集後記 ==== ひとりごと
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【1】◆◇連載◆◇
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■ 「神戸からの祈り」(12)
奈良の山奥、天河から淡路島に着いた頃には、夕方になっていた。
震源地の祈りの場所を探しにやって来たメンバーは、天河の弥山登拝から一緒
に移動した鎌田さん、鳥飼さん、岡野さん、そして淡路島から合流した城内さ
んと萩原さんとの総勢6人。鎌田東二さん意外は、全員が女性だ。
私たちはまず、バスに乗って島をまわってみることにした。
祈りのセレモニーは、夜明けと同時、日の出の時に震源地から近い場所で行う
予定にしていたので、朝日が見える島の東側でなければいけない。
路線バスだというのに、私たちの貸切のような状態だ。やや走ったところで、
鎌田さんが「あの場所はどうだろう!」と叫んだ。私たちはすぐさま、身を乗
り出して探したが、バスは容赦なく前に進むので、その時はどこの場所を指し
ていたのかわからない。その後、これといった目ぼしい場所が見当たらないま
ま、バスは島の西側に差し掛かった。
すると、突然、夕陽がバスの中に差し込んできて、空気までをもオレンジ色に
染めた。誰ひとり口をきくこともなく、一斉に手を合わせて、沈み行く太陽を
拝む。
宿について、天河での3日間、ほとんど寝ていないのだから、しっかり寝よう
と言っていたのに、結局、この日も明け方まで話し込んでしまった。
翌日、バスでは移動に限りがあるということで、レンタカーを借りることにな
った。
当初、6人で乗れるワゴンを借りる予定だった。が…甘かった。
島の田舎町、事務所兼自宅のような小さなレンタカー会社があっただけで良か
ったと思わなければいけないのだが、そこには小型乗用車が2台あるだけだっ
た。皆が一斉に私を見る。
前日、レンタカーで動こうということになって話し合っていた時、免許を持っ
ているのは、2人であることが判明。一人は萩原さん、そしてもう一人が私。
萩原さんは運転は得意だというので、ならばワゴンを借りて、彼女が運転する
という段取りになっていたのだ。
私は自慢じゃないが、運転が大の苦手である。
子供が小さかった頃には、幼稚園の送り迎えの他に、やれ塾だお稽古だ(恥ず
かしながら、かつての私は教育ママだったのだ)と、毎日車の運転をしていた
が、元来、運転は性分にあわない。
仕方なく運転しても「万が一、事故を起してしまったら」と考えるだけで気が
重く、無事に戻って車庫に車を止める度、ホッと胸をなでおろしているような
奴なのだ。正直な話、免許は身分証明の為に持っていたいと考えているような
ドライバーには、限りなく不向きな奴なのだ。そんな私が、レンタカーなどと
いう、使ったこともない車を運転するなんて…そりゃ、無茶というものだ。
しかし、いくら駄々をこねても、皆とりあってくれなかった。仕方が無く、私
も渋々運転することになった。
ただし、高速は使わないという約束で…。
淡路島は、古事記や日本書紀などにも登場する、国生み神話の島だ。人間が生
まれるはるか昔、神様が天上界の高天原(たかまがはら)にいらした頃、男神
のイザナギと女神のイザナミに、国生みの命令が下り、二人の神様は、天と地
を結ぶ天の浮橋(あめのうきはし)から沼矛(ぬぼこ)で、下界をかきまわし
て、沼矛から最初にこぼれ落ちた雫が、おのころ島つまり淡路島になったとい
われている。
私たちは、この祭りを行うにあたり、伊弉諾(イザナギ)神社に関係者全員で
お祭前日に正式参拝をするべきだと考えていた。そこで、この日はまず伊弉諾
神社に向った。すると禰宜さんが快く出迎えてくれて、8月7日の夕刻より、
祈願の為の正式参拝をしてくれることになった。
その後、本格的な祈りの場探しとなった。
私の運転する車の助手席には鎌田さんが、後部席には岡野さんが座わった。最
初、運転嫌いの私は、肩に力が入った状態で運転していたのだが、鎌田さんの
オヤジギャク連発を聞いているうちに、自然と運転が楽になってきた。
一緒に笑っていた岡野さんが、疲れからか眠り始めた頃、鎌田さんがしみじみ
と、イベントへの思いや今までの経緯を語り始めてくれた。この平和イベント
に関わり始めておよそ半年。この時、初めてゆっくりと鎌田さんと話しをした
ような気がした。
場所探しは、意外と時間がかかった。
前もって人から聞いていた場所や、野島断層など、あちこち動き、祈りの場を
探し続けたが、なかなかこれといった場所が見つからない。やはり、島は広い。
あっという間に夕方になってしまった。
私たちは、前日、鎌田さんがバスの中から見ていた場所に向かうことにした。
その時、急に鎌田さんが「彩ちゃん、時間が無いからやっぱり高速使おう!」
と言い出した。実は、私は運転の中でも高速が最も嫌いなのだ。
余談になるが、昔、渋滞している高速道路で、何時間もノロノロ運転が続いた
時、あまりにも疲れている相手が気の毒になり運転を変わったことがある。
ところが、私がハンドルを握った途端、どういう訳か渋滞が解消して、思いっ
きり進み出したのだ。あっという間に、凄いスピードで車が動き出して…私は
大騒ぎしながらアクセルを踏むしかなかった。何時間もの渋滞から開放された
車は、皆、猛スピードを上げてくる。私はあぶら汗をかきながら、どうにか次
のパーキングエリアまで走ったのだが、死ぬ思いだった。
だから、高速は使わないという約束だったのに…。
「絶対、それだけは嫌だ」
「いや、大丈夫。今こそ殻を破らなきゃ」
「何と言われようと、嫌なものは嫌だ」
「高速の運転なんて、下の道より安全じゃないか。行け〜!」
「運転しない人に、偉そうに言われたくない!」
「彩ちゃん、進化だ!進化するんだ!」
「進化なんかしなくていい!」
などと鎌田さんとやり取りしているうちに、高速の入り口近くまで来てしまっ
た。夕闇が迫り、迷っている時間はない。私は思い切って高速の入り口方向に
ウインカーを出した。
清水の舞台から飛び降りる気持ちで乗った高速道路だったが、全く他の車は走
っていなかった…。
高速道路を使うと、あっという間に目的地のインターに着いたので、鎌田さん
が一瞬バスの車窓から見えたという場所に向かってみることにした。
目印にしていた、体育館と工事現場の細い路地を通りぬると、そこは忽然と現
れた。
淡路島から神戸にかかる、強大な明石海峡大橋が夕刻の空にイルミネーション
されて、浮かび上がって真正面に見える。
淡路島の野島断層を震源地として、対岸沿いに見えるあの神戸が大きく揺れた
のだ。
国生みの島から、神が戸を叩き、大きな揺れとなって、人類に警鐘を鳴らした
大震災。
震源地の祈りは、この場所だ。
私たちは、朝陽がこの場から昇ることを確認する為に、夜明け前に、もう一度
その場に行ってみることにした。
つづく…
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【2】◆◇ご一緒しませんか? ◆◇
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太古からの聖地、天河。
奈良県吉野の山奥に、ひっそりと佇む天河神社は、芸能の神としても大変有名
で、国内外から多くのアーティスト達が訪れていますが、一方では縁が繋がら
ないと行けない場所ともいわれています。
神気が満ちる天河で、静寂な祈りの時をご一緒いたしませんか?
天河太々神楽講2002
≪天の川に祈る≫
8月14日〜8月16日
〜本年の旧暦七夕は8月15日です〜
2泊3日
36、000円(宿泊代・食事代・ワーク代込)
講元 天川 彩
*定員に達し次第、締め切らせていただきます
詳しい情報は
http://www.office-ten.net
<太々神楽講とは…>
太々神楽とは神人合一の境地に至ることを指します。講とは集まりのことです。
人間は、その奥底で神と繋がっていますが、そのことに、体験的、実践的に気
付く為に古代から様々な修行法や浄化法が生み出されてきました。神楽とは本
来「神あそび」の意で、感性の深いところで神を味わい楽しむという意味です。
太々神楽講では、難しい修行はしませんが、天河の自然の中で「神氣」を楽し
みます。
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【3】◆◇バックステージ◆◇
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■大重潤一郎監督 前編
「久高島からのメッセージ」
3月の終わり「沖縄の神々と魂の根源に触れる」というテーマで、大重監督の
「久高島・原郷ニライカナイへ〜比嘉康夫の魂〜」「光りの島」の2本立映画
上映会を催した。
「光りの島」は4年前に2度観た。沖縄の無人島、新城島を舞台に、ただ自然
が静かに語りかけてくる映画だ。以前にも書いたが、私は急にこの映画が再び
観たくなり、上映会を企画した。
そして、その時、もう1本は「光りの島」の姉妹映画ともいえる「風の島」と
いう映画を上映する予定だった。
「風の島」は新城島から発見された土器を元に、幻のパナリ焼きを再現した人
々の姿を追ったドキュメンタリー映画だ。
ところが、上映会を決めてから、監督が2000年に「久高島・原郷ニライカ
ナイへ〜比嘉康夫の魂〜」を撮っていたことを知った。
今年1月に呼ばれるようにして久高島に行き、比嘉さんがとった久高島の写真
集をたまたま船着場で入手していた私にすると、この映画との出会いは、シン
クロそのものだった。
監督に相談すると、大切な比嘉さんのメッセージが込められているから、是非
そちらを上映して欲しいということになった。
私やスタッフは、全くといっていいほど知名度が無いこの映画を、ひとりでも
多くの人に知らせたくて、上映の告知を様々なところに働きかけた。
そして、当日ビデオ映像の担当をしてくれる大江さんの紹介で、NHKの深夜
の衛星放送番組に告知依頼を繋いでくれた。
監督に連絡して急遽、ニライカナイへのビデオテープをNHKに送ってもらっ
たのだが、私も対談の前に、しっかり観ておいた方がいいと思い、事務所宛に
後日、もう1本ビデオを送ってもらうことにした。
上映会の2日前ビデオが届いた。
ドキドキしながら、ビデオを観る。
私の頭の中では、久高島に暮す神女と呼ばれる女性たちの姿と、イザイホーな
どの秘められた祭祀が映画の中に織り込まれながら、写真家の比嘉康夫氏が語
っているものとばかり思っていた。
ところが…である。
画面に映るのは、8割方、亡くなる直前の比嘉康夫氏が椅子に座って真正面の
カメラに向かって語っている映像ばかりなのだ。
私の頭は混乱した。比嘉さんの話もいいけれど、久高島のこと、久高島の女性
たちのことをもっと知りたい!この思いがどんどん強くなり…私は頭を抱えて
しまった。どうしよう…。
思い悩んでいても仕方が無い。私は覚悟を決めて監督に電話した。
「あの…映画観たんですが、正直なところ、比嘉さんの話だけだと…少し映画
を観るという観点からいうと厳しいものがあるかなぁと…。どこかで、比嘉さ
んのイザイホーを撮った写真なんかをもっと挟み込めないものかと…」と恐る
恐る言ってみた。受話器を持つ手がどんどん汗ばんでくる。
映画監督にこんな失礼なことを言うのは私ぐらいのものかもしれない。
すると、監督は優しい声で「素人というのは、大胆な発想をするね。僕なら絶
対言えないことを、さらっと言うんだから。でも、君の提案に賛成するよ。ど
うしたらいいか一緒に考えよう」と言ってくれたのだ。
監督は、なんと肝が据わった格好いい人なのだろう。
結局、監督は考えた末、映画そのものを3分の1くらいの大きさにして、スク
リーンの他の部分に、比嘉さんの撮った写真をスライドショー的に流そうかと
提案してくれた。
比嘉さんの写真の使用権は、監督が遺族から全面依頼されているそうなので、
問題はないと言う。
上映会前日夜、PC操作に長けているアメさんを呼び出して手伝ってもらい、
夜中まで比嘉康夫氏の写真をスキャナーで一枚一枚読み取り、私がデジカメで
撮影した久高島の風景とをビデオ映像担当の大江さんのアドレスに添付ファイ
ルで送る作業をした。
そして、全ての準備を終え、私はもう一度「久高島・原郷ニライカナイへ〜比
嘉康夫の魂〜」のビデオをじっくり自宅で観た。
私はこの時、初めてこの映画の凄さに触れたような気がした。
何十年と、久高島に通い、この島の神女たちから深く信頼を寄せられた比嘉康
夫氏が、そこで自分が感じてきたこと、そして観てきたことを、未来への遺言
として語っている記録映画なのだ。
末期癌を宣告され、撮影直前まで起き上がることも、コップに半分しか水も飲
めなかったできなかった比嘉康夫氏が、カメラに向かって語る一言ひとことは
久高島のメッセージそのものと言っても過言ではない。
私は、最初に観た時、自分の強い思い込みが先にあり、映像を通して語ってい
る、比嘉康夫氏の言葉ひとつひとつを、きちんと受けとめていなかった自分を
恥じた。
そして、映画はそのままの状態で上映し、トークショーの時に、スライド映像
を使うことを決めた。
結局、NHKの衛星放送でも告知はしてもらえなかったようだし、夜中までか
かってスキャナーに取り込んだ写真は、全て写りがイマイチということで、上
映会直前に、ビデオ映像チームの人々が、本からいとも簡単にデジタルビデオ
で撮影して使用することになったが、そんなことはどうでもよかった。
上映会直前、楽屋で監督が満面の笑顔で話し掛けてきてくれた。
「あのよ〜彩ちゃん。俺、久高島に来月から2年間かけて映画撮りに行こうと
思っているのよ。比嘉さんが、死ぬ直前に俺に託してくれた気持ちとかさ、そ
こでいろんなことがあって…俺は映画屋だから、今度は、動く映像で久高島と
、そこに全国から不登校で集まってきている子供たちの成長を撮りたいと思っ
ているのよ。また、今年はイザイホーの年まわりだろ。今年、島の神女たちが
、どうしていくのかも、映像に収めていきたいと思ってね。比嘉さんが結んで
くれた縁だからね。また、金にならない映画を作ってしまうけれど、それは俺
がしなきゃいけない映画だからさ」
私は、この話を聞いて感動した。
そして、映画の撮影日記をオフィスTENのホームページの中に公開してもら
うことにした。
映画が完成した折には、当然上映会を催す予定だ。
「久高島」
やはり、このキーワードに確実に何かが繋がっているようだ。
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【4】◆◇おすすめの旅◆◇
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天と大地に感謝する旅・Walk6
『屋久島ツアー2002』
〜もののけ姫の森を尋ねて〜
2002年7月11日(木)〜7月14日(日)
3泊4日
東京発着 128、000円
定員33名
*募集人員に達し次第、締め切らせていただきます。
かなり座席が埋まってきました。
(白神山地ツアーのキャンセル待ちも受け付けています)
今年、屋久島が呼んでいると思われる方、是非ご一緒しましょう。
詳しくは…
http://home.att.ne.jp/alpha/ten/yaku2002.htm
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【5】◆◇編集後記◆◇
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一気に春がやってきて、今まで冬眠状態だった私もウカウカしていられなく
なりました。
今月は、いっぱい出かけよう♪なぜか、そんな気分になり友人のコンサートや
パーティにいくつも顔を出すことにしました。
この数ヶ月、ほとんど出不精になっていた私に、喝!!
aya
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発行者 天川 彩
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お知り合いへの個人的な転送は歓迎です。
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