2002/03/29 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆★☆ TEN's magazine 第11号 ☆★☆
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http://www.office-ten.net
こんにちは!天川 彩です。
「精魂使い果たしたため、暫くの間、充電してきます」
事務所近くのお店に、こんな張り紙がしてありました。
精魂を使い果たした…って、いったい何をどうしたのでしょうね。でも、暫く
の間、充電しにどこへ行ったのか、ちょっと気になりました。私は、精魂使い
果たしたという訳ではありませんが、やっぱり少し充電をしたくて、先週天河
へ行って来ました。
今回のコラムには、そのあたりのことを書いています。
それから、明日に迫った上映会。
先日、新聞に小さく紹介された上映告知記事を見た方から電話が来ました。
その方は震災の後、神戸を中心に上映された、映画「光りの島」のことをニュ
ースで知り、7年間観たいと思い続けてこられたそうです。
やっと観ることができると喜んでくださる声を聞いて、この方にちゃんと情報
が届いてよかったと心底思いました。
それにしても、大重監督とお会いするのって何年振りでしょう…。
来週は、バックステージで、そのあたりのこと書けるかな??
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◇◇今日の目次◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇
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1・連載======= 「神戸からの祈り」(11)
2・直前イベント=== 映画「沖縄久高島 原郷ニライカナイへ」他
3・コラム・風の文様= 「魂の同郷人たち
」
4・案内情報===== 天河太々神楽講2002
5・おすすめの旅=== 屋久島ツアー
6・編集後記 ==== ひとりごと
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【1】◆◇連載◆◇
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■ 「神戸からの祈り」(11)
私は子供の頃から祭り好きだった。
しかし、祭りの意味などについて、考えたこともなかった。
このイベントに関わるようになって、祭りとは何かと自問自答し始めるように
なった。
そして当たり前のことなのだろうが、祭りとは古来から目に見えないところに
何かの祈りを捧げる為、祀り奉りて、歌い踊り魂を共に震わせるものなのでは
ないかということに気づいた。
五穀豊穣、商売繁盛…人が生きていく上で、とても大切なものを神仏に謙虚な
気持ちで祈る時、祭りとなって多くの人の心が一つになる。
「祈り」の気持ちこそが「祭り」の原点なのではないだろうか。
私はこのイベントを伝える段になって、多くの人が「祈り」や「愛」「平和」
などという言葉に過敏に反応し、恐怖心すら抱いていることを知った。
それは、オウムのサリン事件以来、間違った方向性すら気づかずに、教祖を中
心として盲目的に他を排除してカルト崇拝していくことと、謙虚な気持ちで神
仏に信仰心を寄せるものとを、多くの人が混同してしまっているからなのだろ
うか。私に置き換えても、かつてはそうだった。どこかで心の目が開かない限
り、受け入れてしまうことが怖く、頑なに拒否反応が出てしまっていたように
思う。
素直に、世の平和を祈る。
それは、誰の為でもなく、全ての為に。
この単で純なことに、多くの人が恐怖心を覚える。
この頃、マインドコントロールという言葉がしきりと使われ、洗脳という表現
もマスコミが毎日のように使っていた。マインドをコントロールされないよう
洗脳されないようにと呪文をかけられ、人々の信仰心を奪い、祈る心を封印さ
せようとする、何か相反する力が働いているように思うのは、私だけなのだろ
うか。
「世界平和と鎮魂の祭り」これこそが「神戸からの祈り」のテーマだった。
6月の終わり近くになって、私はチラシやポスターのコピー文を書いた。この
時、ようやくこのイベントで唯一私ができる表現の出口を見つけ、自らを呪縛
する思いを断ち切ることができたのかもしれない。書き上げた後は、日々忙し
さを増す事務局の業務をこなすことに専念した。
7月に入り、具体的なイベント準備はかなり進んだ。
しかし、8月8日夜明けと同時に行う予定の、震源地での祈りの場が、後1ヶ
月を切った時点でもまだ決まっていなかった。実行委員代表の鎌田東二さんを
はじめ、関係者の人々のもとにも様々な情報が集まってきたのだが、結局ここ
といった場所が見つからないまま、日にちだけが過ぎていく。7月も中旬に入
り、タイムリミットがいよいよ近づいてきた時、私達関係者は「震源地の祈り
の場」を探す為、淡路島へ行くことにした。
そして、それは天河神社・奥の院がある弥山(ミセン)を登拝をした後にしよ
うということになった。
天河神社奥の院は、役ノ行者が1300年前に大峰山系を開いていった折に、
弁天様をご勧業され、奥の院に鎮座させた弥山山頂にある。
その頃、私は奥の院も弥山も役ノ行者も何もかもよくわからなかったが、とに
かく何かが強く繋がっているという感覚だけは確かだった。
弥山は、降雨量日本一の大台ケ原のすぐ近くにある。だからなのかはわからな
いが、地形的に雨が降りやすい場所なのだろう。実にこのあたりは、よく雨が
降る。例外にもれず、この日も雨の登山となった。
先頭は神社の宮司さんと禰宜さん、最後尾には強力(ごうりき)さんがついて
全員無事に登れるように配慮してくれる。私の前を登っていたのは、高野山の
お坊さんだった。小さな声でお経をあげている。
皆、まるで禊をしているかのようにずぶ濡れになりながら、山小屋に着いた頃
には、すっかり体も冷え切っていたが、達成感と清清しさで、どの人も喜びに
満ちた顔をしている。
山頂の奥の院は、雨に煙る幻想的な雰囲気の中にあった。
近寄りがたい神々しさも感じるのだが、御鎮座されている弁天様のお顔は、小
さくてなんとも愛らしく、心を和ませてくれた。
私たちは、山小屋で一夜を明かしたのだが、神社の人々は夜明けまで御神事を
していたようだ。
翌朝は、すっかり雨もあがり空気が澄んでいた。
天然記念物のオオヤマレンゲが可憐な花を咲かせている姿も目にしながら、ゆ
っくり山を降りてくると、宵宮の準備が始まっていた。
そして、その翌日、私達は天河から淡路島に向かう為、電車に飛び乗った。
つづく…
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【2】◆◇直前イベント!◆◇
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いよいよ明日上映会!
<沖縄の神々と魂の根源に触れる映像>
大重潤一郎監督作品 2本一挙上映
『光りの島』
『沖縄久高島・原郷ニライカナイヘ〜比嘉康夫の魂〜』
★大重潤一郎監督×天川 彩 ミニ対談あり★
2002年3月30日(土) 開場13:30 上映14:00
文京シビック 2階小ホール
(営団地下鉄「後楽園」駅、都営地下鉄「春日」駅すぐ)
当日2,500円
当日券は、午後1時より販売いたします。
■『光りの島』
沖縄の無人島・新城島を舞台として、大自然の中の眩しく輝く光りと風を通し
て、
言葉にならないメッセージを響かせる…
「私は、生命(いのち)の未来を見つめていた」
幼い時に母を亡くした主人公は、 母が生前ふともらしたという
「人間死んだ
らなんにならん、つまらんものね」 の一言を抱いて旅を続ける。
そしてようやく 亜熱帯の珊瑚礁の無人島と出会う。
その島の磁力にひきよせ
られるように、 魂の道草を始める。
やがて見えないものに目を向けはじめた主人公に、島の自然は応え、語り始め
る。
■『沖縄久高島・原郷ニライカナイへ〜比嘉康夫の魂〜』
神の島と呼ばれている久高島では、12年に一度「イザイホー」と呼ばれる島
の女性が新しく神女になる儀式が執り行われる。厳しい条件や枷と引き換えに
最も尊敬される神女となるのだが、前回の1990年には該当者が立たずイザ
イホーは執り行われなかった。
2002年の今年も前回同様、イザイホーを行うには難しい状況にあるが、島
の神女たちは、今も幾度も厳粛な祭祀を執り行っている。
写真家の比嘉康夫は、沖縄久高島に惹かれ、神々と暮す女性たちを撮りつづけ
てきた。
この作品は、彼が突然の末期ガン宣告を受けてから、わずか1ヶ月でこの世を
去るまでに魂の元郷ニライカナイを自ら見つける過程を綴ったドキュメンタリ
ー映像である。
そして、比嘉自身が「人間とは何か、自分とは何か」を求め続け、久高島の祭
祀を通して、改めて神々と人間との世界を見出すまでを語った、人類にとって
貴重な記録映像だ。
イザイホーの年回りである今、この貴重な比嘉氏の最期の語りを知りことは
何か目に見えないイニシエからの強いメッセージを感じる。
http://home.att.ne.jp/alpha/ten/eiga-oosige.htm
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【3】◆◇コラム・風の文様◆◇
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■「魂の同郷人たち」
先週、天河へ行ってきた。
天川 彩という名になってから幾度、ここを訪れただろう。
目に見えない不思議なご縁に導かれ、天河(てんかわ)を知らずして天川(て
んかわ)という名を名乗ることになった私だが、気付けばもう何十回この場を
訪れたかわからない。
天河は、太古の昔より聖地として知られ、空海をはじめ、様々な先人たちがこ
の場で内なる己と対話する為にやって来ている。
そんな場なので、通常一人で行くことが多いのだが、時よっては誰かを天河へ
案内しがてら行くこともある。
今回は、天河のことをこれまで全く知らなかったという新たなスタッフ二人を
案内するかたちで行くことにした。
「天河は、日本の中のチベット」だと以前宮司さんが言っていたことがある。
確かに、チベットのラマ僧たちも多くやって来るし、古来から多くの覚者達が
数え切れないほどやって来るという場であることには違いないが、そんなこと
よりも、きっととても行き難い場、陸の孤島的な感覚でそう言っていたのだと
思う。
東京駅から新幹線に乗り、京都で下車し近鉄に乗り換えて、橿原神宮で更に電
車を乗り換え、下市口駅で下車。
ここまでで、順調に行っておよそ5時間。そこから天川村までタクシーで約4
5分。
最近はバスが増便になって、1日3本走るようになったので、とても行きやす
くなった。とはいえ、確かに普通の感覚でいくと、少し遠いのかもしれない。
しかし、どんなに時間がかかろうとも、縁が繋がり呼ばれた人は向かうように
なっているようだ。
「天河は、呼ばれなければ行けない」とよく言われている。
人によっては、5年10年天河に行きたいと思い続けながらも行けない人もい
るらしい。
「天河に呼ばれる人は、それぞれ役割を持って呼ばれて来る。だから、そこで
の出会った関係は大切にしなければいけない」という人がいたが、確かに天河
に行くと、思いもしない出会いが多くあるように思う。
今回もそうだった。
宿で夕食を食べていた時、たまたまある青年が話し掛けてきた。その青年は、
お客というより宿のおばちゃんの親戚といった風だった。聞くと、大阪から出
てきて、今は修験道の宿がある洞川温泉(天河神社からおよそ10キロ近く離
れた場)の宿で働いているという。冬の寒さで水道管が破裂してしまい、おば
ちゃんのところで、時々もらい湯をしているそうだ。彼は帰り際「よかったら
明日コーヒーでも飲みに僕の家に来てくださいよ。仕事は休みだから家にいま
すから」と誘ってくれた。
何の予定も決めていなかった私達は、翌日、彼の言葉に甘えて、伺った。
丁寧に自分でリフォームした平屋の建物の真ん中に、家の主であるかのような
囲炉裏がある。整頓された部屋の中に、アンティーク家具やインテリア、趣味
で集めているという水晶などがさり気なく置かれ、間接照明と布で軟らかな空
間を演出した彼の部屋は、とても居心地いい。
民族楽器の音楽を流しながら、達磨ストーブに薪をくべるその姿もとてもお洒
落だ。
彼は、インド哲学などを学んだ後、様々なことに触れ、今は天川村のおばあち
ゃん達から生活の知恵を学んでいるという。
天河には日本はもとより世界中から、深い精神を持った人々が来るので、素敵
な出会いが多々あるそうだ。豊かな生活とは、彼の生活のようなものをいうの
だろうか。
私達が、彼の話に誘発されて、洞川へ行ってみようと彼の家を出ようと思った
時、彼の友人夫妻が尋ねてきた。
ご主人の職業は画家。彼もまた長年インドやヨーロッパを巡った経歴を持つ。
昨年末、天河のことなど全く知らずに、たまたま通りかかった天川村にその日
のうちに移り住むことになったという。
なんと、不思議なことにその日まで住んでいた人が、翌日からインドに行くの
で、家財道具は全て置いていくから、住んだらどうかと言われ、大屋さんの家
に連れて行ってくれたそうだ。
「ここで今日会ったのも、何かの縁だから、ぜひ今晩遊びに来てください」と
いう言葉に私達は、夜、彼らの家に伺うことになった。
彼らの家も、平屋の一軒家だった。
壁一面に、様々な絵が飾ってある。サイケデリックな龍や曼荼羅図など、まる
でコンピュータグラフィックスのような繊細な絵画なのだが、よく観ると全て
油絵で描かれている。大きさにもよるそうだが、一枚の絵を仕上げるのに、1
ヶ月以上はかかるという。どれも根気のいる作品ばかりなのだが、なかなか人
に知ってもらう機会がないそうだ。
一畳分もありそうな薬師如来様を観ていた時、「僕たち、薬師如来に導かれて
いるんです」とご主人が言った。
「天河のお薬師様に参りましたか?」と私が問うと、話には聞いたことはある
が、実際の場所はわからないという。
私は、この二人を薬師堂に案内しなければいけないと直感的に思った。
夜もかなり更けてはいたのだが、急遽、神社の裏手にある薬師堂へと向かった。
夫妻は、ほんとうに長い間、薬師如来に手をあわせて祈っている。
「僕たちも、きっと何か意味があって天河に呼ばれて来たんですね」
帰り際、スタッフの一人が「きっと、みんな魂が同郷に戻って、こうやって会
っているのかもしれませんね」と言った。
まさに、そうなのかもしれない。
数年前、アリゾナ洲にあるhopi族(平和の民と呼ばれている人々)の村に
行った時にも、私はそう感じた。
チベット、hopi、天河…みな同じ魂の同郷人たち、平和の民たちなのかも
しれない。
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【4】◆◇案内情報◆◇
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天河太々神楽講2002
≪天の川に祈る≫
8月14日〜8月16日
〜本年の旧暦七夕は8月15日です〜
2泊3日
36、000円(宿泊代・食事代・ワーク代込)
30名限定
太古からの聖地、天河。
奈良県吉野の山奥に、ひっそりと佇む天河神社は、芸能の神としても大変有名
で、国内外から多くのアーティスト達が訪れていますが、一方では縁が繋がら
ないと行けない場所ともいわれています。
神気が満ちる天河で、静寂な祈りの時をご一緒いたしませんか?
講元 天川 彩
<太々神楽講とは…>
太々神楽とは神人合一の境地に至ることを指します。講とは集まりのことです。
人間は、その奥底で神と繋がっていますが、そのことに、体験的、実践的に気
付く為に古代から様々な修行法や浄化法が生み出されてきました。神楽とは本
来「神あそび」の意で、感性の深いところで神を味わい楽しむという意味です。
太々神楽講では、難しい修行はしませんが、天河の自然の中で「神氣」を楽し
みます。
詳しくは
http://home.att.ne.jp/alpha/ten/tatakagura2002.htm
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【5】◆◇おすすめの旅◆◇
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天と大地に感謝する旅・Walk6
『屋久島ツアー2002』
〜もののけ姫の森を尋ねて〜
ただ今募集中です!!
2002年7月11日(木)〜7月14日(日)
3泊4日
東京発着 128、000円
定員33名
*募集人員に達し次第、締め切らせていただきます。
*白神山地ツアーのキャンセル待ちも受け付けています
今回のこのツアーでは、映画「もののけ姫」制作時、宮崎駿監督はじめ、スタ
ッフ達を舞台となった苔森に幾度も案内した方に、映画に使われた場所を案内
していただくことになりました。
今年、屋久島が呼んでいると思われる方、是非ご一緒しましょう。
詳しくは…
http://home.att.ne.jp/alpha/ten/yaku2002.htm
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【6】◆◇編集後記◆◇
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友人の長男は、いわゆるドラえもんに出てくるジャイアンのような少年。
気は優しいけれど、どうも力が有り余ってしまうのか、いつも問題を起してし
まい、友人夫妻はご近所や学校に謝ってばかりいたようです。
悩みに悩んだ末、数ヶ月前、通わせていた国立大學附属の小学校を辞めさせて
山村留学をさせることに。
先日、久しぶりに彼に会うと、見違えるように逞しい少年になっていました。
これからは、急激に価値観が変わる時代になりますが、そんな中で問われるの
は、どれだけ逞しい精神力を持っているかなのかもしれませんね。
彼は、もう一年山村留学をすることにしたいと、自らの意志で決めたそうです。
aya
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発行者 天川 彩
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