2002/03/22 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ☆★☆   TEN's magazine 第10号   ☆★☆ 
      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.office-ten.net

 こんにちは!天川 彩です。

先日、ポカポカ陽気に誘われて、上野公園までゆっくりお散歩しました。
桜の開花宣言が先週されたばかりなのに、もう五部咲き。この来週には満開に
なりそうです。例年より、2週間も早い開花だそうですが皆さんのまわりはい
かがですか?

さて、いよいよ来週は、沖縄の神々と魂の根源に触れる上映会です。
今回『沖縄久高島・原郷ニナイカナイへ』は東京での一般初上映になりますの
で大重監督にも神戸からお越し頂き、上映後は魂の根源をテーマにミニ対談を
することにしました。

どんな話が飛び出すやら…
お楽しみに!


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◇◇今日の目次◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇
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1・連載======= 「神戸からの祈り」(10)
2・一押しイベント=  映画「沖縄久高島 原郷ニライカナイへ」他
3・コラム・風の文様=  「ミルミレ」
4・おすすめ情報===  天河太々神楽講2002
5・編集後記 ====  ひとりごと

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【1】◆◇連載◆◇
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■ 「神戸からの祈り」(10)

事務局の場所として『オフィスTEN』を家の近くに構えてから生活は一変した。

記者会見が終わり、事務局はオフィシャルなスペースとなると、日々増える問
い合わせの電話応対や、協力団体への依頼、後援、協賛の依頼など、体がいく
つあっても足りないような状態だった。朝から晩までほとんど事務所で過ごし
ていたと言っても過言ではない。私は苦手な事務に追われる日々を送っていた。

イベントまで残り2ヶ月となったある日、神戸実行委員長の大重監督と新聞社
へ行った帰り、一杯飲むことになった。考えると、出会ってからあっという間
に一緒に動き回り、ゆっくり話したこともなかったのだ。

新聞各社同時後援という快挙を成し遂げた私たちは、晴れ晴れとした気持ちに
なり、少し精神的に余裕が出てきたのかもしれない。縄暖簾が私たちを呼んで
いるように感じて、まだ外は明るかったのだが、居酒屋に立ち寄ることにした
のだ。ほどよくお酒がまわったころ、大重監督が「君は天川 彩なんだよ」と
しきりに幾度も言い始める。私は、監督は酔っ払って、意味不明の言動を発し
ているのだと笑っていたが、よく聞いてみると真意は違った。

「君はね天から全てを見守って、その大きな流れを彩っていく役割なんだよ。
だからさ、このイベントも、大きな本流から物事を見る為に、事務局になっ
たんだよ。嫌かもしれないけれど、今回はその役割に徹して頑張ってくれよ」
と言う。事務局は面白くないなぁという思いと、持ち上げられた照れも手伝
って、その時は曖昧な返事しかしなかったと思うが、実は今でもその言葉が心
に深く残っている。

この頃にはスタッフ同士の縁が繋がり『神戸からの祈り』に関わる人の数は加
速して膨れ上がっていた。そして、その一人ひとりが、この平和イベントに並
々ならぬ想いを抱き、関わっていたように思う。

サッチャンもそんな中の一人だ。


彼女の職業は、看護婦さん。私の次女と彼女の長女が同じ幼稚園に入園という
縁で出会い、数年間は普通の仲の良いお母さん友達だった。しかし、彼女も震
災を経験。気がついたら、互いに大切なことを話し合える友になっており、こ
のイベントも手伝ってくれることになった。当初、サッチャンは、現役看護婦
という職業を生かして救護班を取りまとめる役だった。しかしイベント当日、
彼女は救護班の他に、韓国舞踊の踊り手としても出演したのだ。

『神戸からの祈り』は、宗教、民族、国境を超えて、鎮魂と平和の祈りの祭り
だ。神戸メリケンパークでの満月祭コンサートには、沖縄の喜納さんやアイヌ
のレラさんをはじめ、中国獅子舞やインド舞踊など次々と出演者が決まってい
く。しかし、在日韓国人の団体は、なかなか決まらなかった。

神戸には数多くの在日韓国人が住んでいる。この催しの趣旨を考えると、在日
韓国人の団体は必要不可欠だったので、私は在日2世のサッチャンに相談して
みた。彼女は快く幾つかの団体にあたってくれたのだが、チャンゴ(韓国太鼓)
のグループは、夏祭りなどと重なっていて、どの団体も都合がつかなかった。
そこで、彼女は韓国舞踊の団体を紹介してもらい出演を依頼。すると代表の人
から「あなたが一緒に踊るのなら、出演しましょう」ということになったのだ。
彼女はもともとバレエダンサーだったので、自らの中に流れる民族の踊りとい
うことで祈りを表すことは、必然だったのかもしれない。

気がつくと、かなり多くのスタッフがそれぞれの自己表現する場を持って、こ
のイベントに関わっていた。正直なところ、私はそんな人々を羨ましいと思っ
た。当たり前だが、ミュージシャンは音楽を奏で歌い、舞踏家は踊る。イラス
トレーターはTシャツのデザインをして、陶芸家や写真家の人はアート展やチ
ャリティ会を催すことにした。編集者は小冊子をつくり、野外活動を得意とす
る人は、フリーマーケットや屋台を仕切ることになった。学者はシンポジウム
のパネリストとなり、気功家は気功教室を行い、舞台製作者は進行台本を書く
。数え上げればキリがないほどだ。スタッフとして関わりながら、その人自身
の、確固たる自分表現方法を皆見つけ出していたのだ。

私は、どうして一番苦手とすることで、この平和イベントに関わることになっ
たのだろう…。
幾度も幾度もこの疑問が私の中を駆け巡る。

この時点での私は、あるがままに流れを受け入れるということが、まだ出来な
くて、もがき苦しむばかりだった。
                             つづく…
                                  
         
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【2】◆◇一押しイベント!◆◇
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    『沖縄久高島・原郷ニナイカナイへ〜比嘉康夫の魂〜』は
       東京での一般上映は初めての機会となります!

           どうぞ、お見逃しなく!

      
     ★大重潤一郎監督×天川 彩 ミニ対談あり★
       
     <沖縄の神々と魂の根源に触れる映像>
 
       大重潤一郎監督作品 2本一挙上映

            『光りの島』
   『沖縄久高島・原郷ニライカナイヘ〜比嘉康夫の魂〜』


2002年3月30日(土) 開場13:30 上映14:00
      文京シビック 小ホール
(営団地下鉄「後楽園」駅、都営地下鉄「春日」駅すぐ)
 
        前売2,000円 当日2,500円

*今回の上映会は小ホールになりますので、小人数での上映会です。


■『光りの島』

沖縄の無人島・新城島を舞台として、大自然の中の眩しく輝く光りと風を通し
て、
言葉にならないメッセージを響かせる…

「私は、生命(いのち)の未来を見つめていた」

幼い時に母を亡くした主人公は、 母が生前ふともらしたという 「人間死んだ
らなんにならん、つまらんものね」 の一言を抱いて旅を続ける。
そしてようやく 亜熱帯の珊瑚礁の無人島と出会う。 その島の磁力にひきよせ
られるように、 魂の道草を始める。
やがて見えないものに目を向けはじめた主人公に、島の自然は応え、語り始め
る。


■『沖縄久高島・原郷ニライカナイへ〜比嘉康夫の魂〜』

神の島と呼ばれている久高島では、12年に一度「イザイホー」と呼ばれる島
の女性が新しく神女になる儀式が執り行われる。厳しい条件や枷と引き換えに
、最も尊敬される神女となるのだが、前回の1990年には該当者が立たず、
イザイホーは執り行われなかった。
2002年の今年も前回同様、イザイホーを行うには難しい状況にあるが、島
の神女たちは、今も幾度も厳粛な祭祀を執り行っている。

写真家の比嘉康夫は、沖縄久高島に惹かれ、神々と暮す女性たちを撮りつづけ
てきた。
この作品は、突然の末期ガン宣告を受けてから、わずか1ヶ月でこの世を去る
までに魂の元郷ニライカナイを自ら見つけるまでを綴ったドキュメンタリー映
像である。
そして、比嘉自身が「人間とは何か、自分とは何か」を求め続け、久高島の祭
祀を通して、改めて神々と人間との世界を見出すまでの、人類にとって貴重な
記録映像だ。

イザイホーの年回りである今、この貴重な映像を観れることは、何か目に見え
ないイニシエからの強いメッセージを感じる。



映画及び上映会に関する詳しい情報とお申込は…

http://home.att.ne.jp/alpha/ten/eiga-oosige.htm


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【3】◆◇コラム・風の文様◆◇
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■「ミルミレ」

ミルミレとは、ネパール語で夜明けを意味するそうだ。

事務所の近くに、ネパール・ヒマラヤ料理の店「ミルミレ」がある。

様々な豆と多種のスパイスを使った料理は、どれもスパイシーだが強く自己主
張をするでもなく、素材そのものを生かして優しく調和しているようで、まる
で、この店の主人シャルマさんそのもののような気がする。

シャルマさんは、カトマンズの隣町生まれ。
もともと、日本語が好きで母国でも勉強していたそうだが、ネパールに留学し
てきた谷中のお寺の住職とお友達になって、日本に来ることに。しばらく谷中
のお寺に居候していたそうだが、彼は仏教徒ではなくヒンズー教徒だ。

かつて、日本のテレビ番組の通訳として、ネパールの奥地まで同行し、カイラ
ス山の近くまで行ったことがあるそうだが、チベット仏教の聖地、カイラスは
同時にヒンズー教にとっても聖地なのだそう。ネパールでは、同じ一つの寺院
を仏教徒、ヒンズー教徒それぞれが個々のそれにみたてお参りするというから
、何とおおらかなものかと感心してしまう。
更に、奥様が妊娠中には水天宮でお参りし、根津神社でお宮参りをしたという
から驚きだ。

先日、娘の卒業式でのこと。
「君達の未来は、厳しいものが待ち受けているかもしれない。9月11日以降
、私たちは理解しあわないということの悲痛さを目の当たりに知った。だから
こそ、互いに違う宗教、違う文化を理解しあうことが、どれほど大切なことか
、今こそ考えなければいけない。次世代を担う君達が互いに他を認め合い、共
存していくことこそが、21世紀を生きる確かな道であり、未来を輝かしいも
のにしていくのだ」と教育委員会の方が祝辞の中で話していた。
15歳の彼らがこの言葉をどれほど理解したかはわからない。が、ありきたり
の祝辞ではなく、このような話をしてくれたことが私は嬉しかった。

シャルマンさんは、日本語が流暢に話せるだけでなく、読み書きも出来るので
日本の新聞も読めるそうだ。よほど難しい漢字意外なら、ほぼ書けるらしい。
「その国の文化に触れるなら、とことん触れなきゃね。深く知って理解するほ
うが面白いから」と、さらっとそう言う彼は、自分と違う宗教も文化も楽しみ
ながら受け入れてしまう達人なのかもしれない。

「ミルミレは、夜明けという意味の他に、全ての新しい始まりという意味もあ
るんですよ。」スパイスがほどよく効いた紅茶を入れてくれながらシャルマさ
んは言った。

今、個人レベルから国レベルに至るまで、世界中がガサガサとしている。

攻撃しあい傷つけあって自己主張を繰り返している人々の意識が、互いに理解
しあい受け入れあうという意識に変わった時、新たなミルミレがやってくるの
かしれない。

世界の夜明けは…遠いのか?



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【4】◆◇おすすめ情報◆◇
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          天河太々神楽講2002
       
           ≪天の川に祈る≫

           8月14日〜8月16日
        〜本年の旧暦七夕は8月15日です〜
             2泊3日 

           36、000円(宿泊代・食事代・ワーク代込)
           
             30名限定

太古からの聖地、天河。
奈良県吉野の山奥に、ひっそりと佇む天河神社は、芸能の神としても大変有名
で、国内外から多くのアーティスト達が訪れていますが、一方では縁が繋がら
ないと行けない場所ともいわれています。

今年、皆様にご案内する天河太々神楽講2002では、天の川での言の葉拾い
や、心と体を開放する呼吸などのワークを楽しみながら、天河神社のご神事の
中でも特に幻想的な七夕祭に準備段階から参加いたします。

神気が満ちる天河で、静寂な祈りの時をご一緒いたしませんか?

                     講元  天川 彩
詳しくは
http://home.att.ne.jp/alpha/ten/tatakagura2002.htm

 
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【5】◆◇おすすめの旅◆◇
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       天と大地に感謝する旅・Walk6
 
         『屋久島ツアー2002』
        〜もののけ姫の森を尋ねて〜

           ただ今募集中です!!

    2002年7月11日(木)〜7月14日(日)
            3泊4日

       東京発着 128、000円

            定員33名

 *募集人員に達し次第、締め切らせていただきます。


屋久島は、世界自然遺産に登録されている大自然の島。
神々が住むその島は、不思議な物語も沢山あります。

もののけ姫も…デイタラボッチも…コダマたちも…
みんなみんなこの島には住んでいるようです。

今回のこのツアーでは、映画「もののけ姫」制作時、宮崎駿監督はじめ、スタ
ッフたちを舞台となった苔森に幾度も案内した方に、この幻想的な森をゆっくり
案内していただくことになりました。
また、3日目はフリータイム。天然海中温泉につかるもよし、オプショナルで
縄文杉登山やリバーカヤック、漁船で向かう口永良島でのスノーケリングツア
ーなどに参加するもよし。

今年、屋久島が呼んでいると思われる方、是非ご一緒しましょう。

詳しくは…
http://home.att.ne.jp/alpha/ten/yaku2002.htm

   
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【6】◆◇編集後記◆◇
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最近、アルゼンチンで『島唄』が大ヒットしているというニュースを知りまし
た。現地のアーティストが、日本語でそのまま歌っているのですが、なんとワ
ールドカップのアルゼンチンチームの応援キャンペーンソングにも選ばれてい
るそう。なんだか沖縄の風が地球の裏側にも届いているみたいで、嬉しくなり
ました。
                     aya   
        
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発行者   天川 彩

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