2009/12/11━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   ☆★☆ TEN's magazine 第399号  ☆★☆ 
  
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.office-ten.net

こんにちは、天川 彩です。

街中では、クリスマスイルミネーションが輝き始めていますね。
私は、クリスマスの飾りつけが大好きで、子どもたちが幼かった頃は、
家の中のいたるところをクリスマスバージョンにして楽しんでいました。
ただ、ここ数年は、年末も何かとバタバタしていて、なかなかそこまで
手がまわりませんでした。

でも今年は例年より早く年内の企画は全て終了したので、何となく気持
に余裕が出て、久しぶりに今週末に飾り付けでもしようかなぁ…なんて
思っています。

今週のアイヌのレラさんのイベントで、今年は締めくくったわけですが
それにしても、縄文、弥生と交互に古代の日本の意識にずーっと向き合
ってきた不思議な一年でした。そんな中で、金田一京助先生、柳田國男
先生といった方々のことを、改めて深く知ることが出来たのも嬉しい出
来事でした。

実は来週、また急に様々な流れがやってきて、柳田家にお伺いすること
になりました。柳田先生のご長男である柳田為正さんの奥様、富美子さ
んから電話があり、お目にかかりお話をすることになったのですが、本
当に驚き…というより、かなり緊張しています。第一、私は学者でもな
く、更には勉強不足でわからないことだらけ。でも、知らず知らずのう
ちに、文化人類学的な分野や民俗学的な分野の方向に行っているようで
す。風に逆らわず、緊張しながらも伺って来ようと思っています。

さて、アイヌ刺繍のワークショップに参加出来なかった方に朗報です。

ほんの数点ですが、今回レラさん自身がアイヌ刺繍を入れた巾着袋とマ
タンプシ(アイヌのハチマキ)をTEN’sショップで販売させてもら
うことになりました。

全てミシンではなくレラさん自身の手縫いですので、風合いがとても柔
らかです。
レラさんが、祈りを込めてアイヌ文様の刺繍を入れた、魔よけにもなる
巾着とマタンプシ。現品5コ限りです♪



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◇◇今日の目次◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇
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1・コラム・風の文様===============「心の治癒力」
2・TEN占い=========今週は「メディスンカード」占い
3・TEN'sショップ======「アイヌ刺繍 巾着・マタンプシ」
4・日本を堪能する旅=======「大人のお年玉ツアー」募集中
5・天々福々===恒例「谷中七福神巡り&TENの新年会」募集中
6・連載小説================「雨弓のとき」(70)
7・編集後記===================「ひとりごと」
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【1】◆◇コラム 風の文様 ◆◇
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□「心の治癒力」

先日、ある友人が言った。

「どうしても、許せないと思う人がいて、その人を許そうと努力してみ
たけれど、無理にそう思うと苦しくなるし。私は神様じゃないんだから、
許せない人は許せないでいいんじゃないかと思うんだけど、それってど
う思う?」

苦しみは、その当事者でなければわからない。
心に受けた傷は、深ければ深いほど、傷つけた相手を許せないと思うの
は当然の感情だろう。

しかし、彼女は心の奥底では、許せない自分も嫌なのではないかと感じ
た。もし、本当に単純に「許せない」と怒りを持ち続けていたとしたら
どう思う?などと言うこともないだろう。

ものごとには、全て原因があって結果がある。

大抵の場合、その人の心が枯れているのだと思う。

枯れからくるイライラ、怒りが爆発した時、人との間にトラブルを起こ
すのではないだろうか。

暴言、暴力、意地悪、キレる、嘘をつく…。
事件や問題を起こす人も、みんな心が枯れている状態の表れではないか
と私は思う。

枯れるには枯れる要因がある。枯れた部分に潤いを与えれば、問題は簡
単に解決するが、そう簡単ではないから難しい。

ただ、自分が枯れている時、枯れているな、と自覚した瞬間、不思議と
潤ってくる。それこそが、私は心の治癒力ではないかと思う。

もしも、誰かの心が枯れていると感じて、自分が枯れていないのならば
その人が心の治癒力を発揮できるよう、ほんの少しのお手伝い出来たな
ら、もっと世の中平和になっていくのではないだとうか。


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【2】◇◆TEN占い◆◇
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所詮、天川 彩が占っているものですので、あまり深刻にとらえず、気
楽にお遊びとして楽しんでくださいね。
                          
今週は[メディスンカード]で運勢を占ってみました。

2009年12月12日(土)〜12月18日(金)あなたの運勢

〈1月生まれ〉 
疲れが溜ってはいませんか?今週、無理は禁物。出来る限りゆっくり
して、あなたのリズムを回復してね。

〈2月生まれ〉 
何もかも、頑張って引き受けようとはしていませんか?時には、人を頼
ったり手放すことも大事ですよ。

〈3月生まれ〉 
何となく自信を失ってはいませんか?今週、あなたに必要なことは、あ
なた自身の力を思い出すことです。

〈4月生まれ〉 
古い習慣を手放すときです。新しいあなたに生まれ変わるチャンスがや
ってきていますよ。

〈5月生まれ〉 
自分独りだけで動こうとはしていませんか。周りの人と協力する大切さ
を思い出してね。

〈6月生まれ〉 
エネルギーが散乱しているかもしれません。今週はあれこれ手を出さず、
一つずつ片付けていってね。

〈7月生まれ〉 
目先のことに追われて気持に余裕がなくなっているかもしれません。今
週あなたに必要なことは、おおらかさです。

〈8月生まれ〉 
周りの影響を強く受けているかもしれません。あなた自身を取り戻すた
めにも一人の時間を大切にしてね。

〈9月生まれ〉 
あなたの知恵が発揮される一週間となりそうです。周囲の人々の為に、
今週はおおいに貢献してね。

〈10月生まれ〉 
焦りばかりが先行してはいませんか。今週は一度足を止めて気持を整え
直してみましょう。きっと焦りが消えていますよ。

〈11月生まれ〉 
頭の中だけであれこれ考えて、現実とのギャップが出ているかもしれま
せん。今週は等身大の自分であることを心がけて。

〈12月生まれ〉 
あなた自身の特性を忘れかけてはいませんか。今週は今まであなたが積
み上げていたことを思い出してください。きっと自信がもどってくるは
ずですよ。

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【3】◇◆TEN’sショップ◆◇
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        アシリ・レラさんが作った
       アイヌ刺繍の巾着とマタンプシ

           現品限りです!
    
            巾着袋 3種

           マタンプシ 2種

           
            各3000円
    http://www.office-ten.net/shop/ainu/top.htm



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【4】◆◇日本を堪能する旅◆◇  
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             ●大人のお年玉●
      【 新春の富士山と極旨のお料理を楽しむ旅 】

   〜朝焼けに映る紅富士と夕暮れに輝くダイヤモンド富士〜
               そして
          割烹の宿で過ごす2日間
       
    
      2009年 1月23日(土)〜1月24日(日)

             23、800円 
             (東京・発着)
       定員12名 最低施行人員 8名

 詳細・お申し込みは http://www.office-ten.net/j/fuku2010.htm

           日本一の富士の山。
      できることなら年の初めに手を合わせ
   新しい年が良い年になるよう願掛けをしたいもの。
         それも、せっかくならば
          冬の日の朝焼けが
     雪積もる富士に染まり、紅富士が現れる時…
        富士山頂に夕日が重なり
   眩いばかりに光り輝く、ダイヤモンド富士になった時…
        行ってみたいと思いませんか?
    
        年の初めにご案内する旅は、
     そんなありがたいほどに美しい富士山を愛で
        TEN一押しの割烹の宿で
    心ゆくまで美味しい食事を味わってもらう旅です。
      勿論、富士山を真正面に見ながらの温泉も
         存分に堪能してください

    あなた自身へ幸運を運んでくれそうなお年玉の旅、
          ご一緒にいかがですか?


  <ツアー代金に含まれるもの>
  東京発着長距離交通費 宿泊代 割烹料理夕朝食代
  紅富士温泉入湯料 ツアーガイド代

  <ツアー代金に含まれないもの>
  昼食代 近距離移動バス(タクシー)代
 
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【5】◆◇天々福々 募集中開始!◆◇  
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       ■毎年恒例のTENの福企画!■

       谷中七福神巡り&TENの新年会
    例年大好評「天々福々の集い」只今、募集中です!!


「みんなみんなよっといで〜!福を呼ぶオフィスTEN恒例の新春企画
募集開始だよ〜!!」

正月に七福神を参拝すると7つの災難が除かれ,7つの幸福を授かると
いわれています。

江戸で一番古い七福神、谷中七福神は、東京下町の今や大人気スポット
となった「谷中・根津・千駄木」を中心に練り歩く、七福神巡り。
この通称「谷根千(やねせん)エリアは、私たちオフィスTENの地元。
ですから、一般的な、七福神ルートガイドなどには載っていない、
秘密の路地裏や、下町おやつを食べながらの寄り道なども、ご案内。

七福神巡りをした後は、谷中銀座でおばんざいを皆で買い、下町の和室
で新年会に突入します!
おなじみさんも、はじめましてさんも、みんな一緒がオフィスTEN!
みんなで福を迎えた後は、ワイワイ楽しく盛り上がりましょう〜!
       
 
           『天々福々の集い』

◇日 時:1月10日(日) 集合13時00分 (新年会17:30頃〜)
◇集 合:上野駅 公園改札出口(「天々福々」の看板が目印) 
◇参加費:2000円(下町おやつ付き)
     新年会のおばんざい・ドリンクは割り勘でお願いします
◇申込み:http://www.office-ten.net/tentenfukufuku/top.htm
◇定 員:20名(先着)


子どもの頃のワクワク楽しい感覚を胸に抱きながら、一つ一つの七福神
さまに、しっかりご挨拶して、新年のご利益を授かりましょう。

*七福神の詳しい御利益は、HPをご覧ください。

http://www.office-ten.net/tentenfukufuku/top.htm

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【6】◆◇連載小説◆◇
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<今までのあらすじ>

両親の不仲が原因で、幼い頃から自分は不幸だと思い続けてきた祥子。
しかし大学2年の秋。アルバイト先で知り合ったアパレルメーカー勤務
の良一と出会ったことで、祥子の考え方に変化が起る。
大学卒業後は、マスコミで働くことを夢見ていた祥子だったが、妊娠を
機に大学を中退し結婚する。夫・良一と娘・真由子との三人暮らしの中
で、幸せを見つけようと頑張るのだが、少しずつ日々の中で心の中に不
平不満や疑心暗鬼が渦巻き…遂に、我が子に手にかけようとしてしまう。
祥子は、そんな自分が許せなくなり自らの命を絶とうと、憧れていたア
イルランドへ渡る。目的地は、ケルトの民が今も多く残るアラン諸島の
イニシュモア島。宿の女主人からアランセーターにまつわる家族の命を
思う話を聞いた祥子は…。


『雨弓のとき』 (70)
                天川 彩

祥子は、曖昧な笑顔を向けて、とりあえず外に出た。妙に息苦しい。
ふらふらと足の向くまま歩いていくと、小さな海岸に出ると、海岸に伏
せてあった小さな黒い舟の横に座った。

生活を守る為、海の上で命と隣り合わせに生きる男達を、女たちが祈る。
その祈りの形が文様となったのが、アランセーターなのだ、という話し
を、かつて良一から聞いたことを思い出した。

祥子は、あの優しい良一の顔が浮かび、いたたまれない気持になった。
自分は夫、良一の為に何をしてきたのだろう…。改めて思い返してみる
と、何一つ思い当たるものはなかった。

更には、命と隣り合わせに人々が必死で生きているという、この小さな
島で、自分は命を絶とうとしている。自分の行為の身勝手さに改めて気
がついた祥子は、愕然とした。

しかし…。ここから先、自分はどうしたらいいのかも、全くわからなく
なっていた。

「良一さん…。お母さん…。真由子…。」

祥子は、一番会いたい人たち。一番愛しい人たちの名前を小さく呟いた。
頬を涙が伝った時、冷たい滴がポツリと頬にかかった。雨だった。

海の上を見る見るダークグレーの雲が覆い、あっという間に強い雨が降
って来た。祥子はずぶ濡れになりながら、涙と雨とが交じり合った瞳で
海を眺めていた。

しばらくして、ふと、船の背後に人の気配を感じて、祥子は振り向いた。
年配のお爺さんが立っていた。
「あんた、ワシの船の横で何で座っとるんじゃ?」
かなり、なまりの強い英語だったが、ゲール語ではなかったので、辛う
じて祥子に通じた。
「あ、ごめんなさい。すぐどきます」
「いや、そんなことより、こんなに濡れて。あんた、この島に何をしに
来たんじゃ?」
何も答えられず、祥子が俯いていると冷たい風も吹きつけてきた。
「まぁ、とにかく、そのままじゃ体に毒じゃ。ちょっと待っていなさい」
と言い残すと、すぐ近くに建つ家の中に入っていった。

ややしばらくして、今度はお婆さんが出てきた。
「あら。まぁまぁまぁ」
お婆さんはそういうと、祥子の腕を持ち静かに立ち上がらせて「とにか
く体もかなり冷えているし、うちの中に入って」と背中を押してきた。

祥子は、されるがままになっていた。

「とにかく、バスルームで着替えたらいいわ。私の服だから、少し大き
いかもしれないけれど、我慢してね」
洋服と共にバスタオルを手渡され、祥子は見ず知らずの外国家庭のバス
ルームまで案内された。

「ごめんなさい」
祥子がその女性に言った。すると「なぜ、謝るの?」と驚いた顔をして
聞いた後「こういう時は、ごめんなさい、じゃなくて、ありがとう、と
言うのよ」と笑った。


バスルームから出てくると、暖かいミルクティが用意されていた。
祥子は血の気が戻って来るのを感じていた。
「寒いでしょ。これ着てちょうだい」
肩にかけられたのは、アランセーターだった。祥子は、その編み目文様
をそっと触ってみた。木の葉のようなものと、二重のジグザグ模様で出
来ていた。ボコボコとした肌触りが、妙に懐かしく感じる。

「今、触っているの、何の模様かわかる?」
それは、木の芽のような文様だった。
「木の葉ですか?」
「確かにそうなんだけど、これは『生命の木』といって家系図のような
ものを表しているの。長寿と子孫繁栄の願いが込めているのよ」
祥子は、母親と娘の顔がとっさに浮かんだ。そして次に、二重にジグザ
グに編まれた文様を指差して「これは?」と質問してみた。
「それ?それは、夫婦共に歩むっていう文様。苦しい時も楽しい時もず
っと一緒にいれるように願を込めているのよ。私は、この文様が好き」

そういうと、笑顔のままずっと静かに座っていたお爺さんのシワが入っ
た黒くてごつい手の上に、白くてシワが寄った自分の細い手を重ね、更
には見つめあいながら笑った。

祥子は、無性に良一が恋しくなってきた。

                          つづく…


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【7】◆◇編集後記◆◇
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明日、マザーテレサの修道会・神の愛の宣教者会の日本教会で行われる
クリスマス会で、身寄りの無いお年寄りやホームレスの方々に向けて童
話詩を語ってきます。昨年に引き続きさせていただくのですが、私のラ
イフワークである童話詩ライブが、少しでも人様のお役に立てるなら、
本当にありがたい限りです。
                       aya


*TEN'Sチケットは2010年よりご利用内容が変更いたします。ご注意ください。