2009/06/12━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   ☆★☆ TEN's magazine 第373号  ☆★☆ 
  
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.office-ten.net

こんにちは、天川 彩です。

今週は、若干二十歳の天才ピアニスト、辻井伸行さんが「ヴァン・クラ
イバーン国際ピアノ・コンクール」で日本人初の優勝!という嬉しいニ
ュースが飛び込んできましたね。
暗いニュースが続く中、辻井さんの透き通るような演奏と天真爛漫な姿
が画面から流れるたび、幸せな気持ちになるので不思議です。彼の類稀
なる才能を開花させたのも、天真爛漫な人柄も、ご両親の深い愛情あっ
てのことのようですね。

私は、常々人が幸せに生きていく為には、最良の人間関係の中で生きる
ことと、その人らしさが充分に発揮できる環境にいることではないかと
考えています。人間関係の原点が家庭にあるとするなら、やはり愛で結
ばれた男女のパートナーシップが核であり要。辻井さんのお母様がご主
人の深い愛に支えられたと感謝されていましたが、家庭の中において男
女の愛が確立されていたならば、家庭内に愛が広がり、平和な空気の中
で人は心健やかに育っていくのだと改めて思いました。

一人でも多くの方に幸せな人生を歩んでもらいたいと、微力ながらに今
までにも、恋愛講座やコミュニケーション講座を不定期的ながら行って
きました。ただ、遠方の方や忙しい方には、なかなか参加してもらいに
くく、遠方からわざわざお越しいただいたりと、不便をおかけすること
も多かったのですが…。
このたび、新たにTENの通信講座を行うことにしました。
とはいっても、まだ準備途中の段階です。今はテキストやシステムを作
っているところですので、準備が整い次第、皆様に真っ先にお知らせい
たしますネ。時期も場所も選びませんし、恥ずかしがり屋の方でも通信
講座なら大丈夫。今しばらくお待ちください。

それから…。
今年も七夕が近づいてきました。私はこの名前ですので特別な思いがあ
るのですが、2年ぶりに「七夕童話詩ライブ」を行うことにしました。
普段の私とは全く違う、アーティストとしての天川 彩で皆様をお迎え
いたします。七夕らしい、まったりとした和の空間で寛ぎながら楽しん
でいただきたいと思います。それから、旧暦の七夕も例年通り、天河神
社での七夕祭のお手伝いワーク「天の川に祈る」を行います。詳細は本
文をお読み下さいネ。

さてさて。明日から明後日にかけては「南アルプス・大人の遠足ツアー
」にご案内してまいります。旬のさくらんぼ。皆さんと一緒にめいっぱ
い美味しくいただいてきま〜す。

今週は4週間ぶりに、連載小説の続きを書きました。相変わらず暗〜い
シーンが続いております。。。どうぞお許し下さい。

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◇◇今日の目次◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇
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1・コラム風の文様==============「心の目・心の耳」
2・TEN占い===========今週は「タロットカード」占い
3・最新・七夕情報==========「七夕童話詩ライブ」ほか
4・旅情報===「アメリカ先住民の教えと母なる大地ツアー」募集中
5・上映会============映画「マザー・テレサ」in市川
6・連載小説=================「雨弓のとき」66
7・編集後記===================「ひとりごと」
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【1】◆◇コラム・風の文様 ◆◇
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□「心の目・心の耳」

先日、凱旋帰国したピアニストの辻井伸行さん。生まれながらにして視
覚障害がある彼に対して、記者が「もし、目が見えたなら何が見たいで
すか?」というナンセンスな質問があった。
辻井さんは、まず「両親の顔や山や海や花火…」などと言った後、「で
も、心の目で全て見えているので、満足しています」とニッコリ笑顔を
向けて返答していた。

私は彼の音楽の素晴らしさの原点は、そこにあるのではないかと思った。

人が通常、外界を認識するために必要とされる五感(視覚・聴覚・臭覚
・味覚・触覚)。しかし、仮にその全てが完全な状態で備わっていなく
とも、人は充分に幸せに生きていくことが出来るのだということを、様
々な人たちが教えてくれている。

その五感にもう一つ。「心覚」といえるような意識や心持をあわせたも
のを仏教用語では六根という。般若心経の中で無眼耳鼻舌身意(むげん
にびぜっしんい)と唱える、あれである。

昨年の夏、TENの旅企画で富士登拝をした。登山ではなく登拝。
菅傘に金剛杖そして白衣を身にまとい、「懺悔懺悔 六根清浄(ざんげ
ざんげ ろっこんしょうじょう)と唱えながら全員で富士山頂まで登っ
た。

この言葉は、山岳信仰の人々が峯入りの際に今も唱えるもので、かつて
は富士山に登る折にも、盛んに唱えられていたのだという。私たちは、
古来の人々を習ってその通りにしたまでなのだが、実に清々しく登るこ
とが出来た。

「六根清浄」というのは、文字通り我の六根を清めることを指す。簡単
にいえば、日常の中で知らず知らずのうちに、清らかではないものを見
たり聞いたり、嗅いでみたり。体に悪いものを食べたり、触れることも
ある。更には、良からぬ思いを抱くことも時にはあるのだから、神聖な
るお山の神仏にひれ伏しながら、自分の罪穢れを悔い改め、心身全てが
清まるようにと願う言葉が「懺悔懺悔 六根清浄」となるのである。

ただ、やはりどの器官からどのような情報が入ろうとも、最終的には
「心」というフィルターを通すのだから、最も肝心なものは、心の汚れ
を落とすことだと私は思う。

心の目をしっかり見開き、心の耳を澄ませ、心の鼻で嗅ぎ分ける。
心の舌で味わい、心の肌で感じることが出来たならは、どれほど豊かに
人生を過ごせることだろうか。そして何より、心の中で汚い思いを一切
浮かべないようになれたなら、どれほど素晴らしいかわからない。

ちなみに、疲れた時につい口から出る「どっこいしょ」。この言葉の語
源は「六根清浄」だという。今の時代、随分と意味合いが変っているよ
うにも思えるが…「どっこいしょ」には自分を叱咤激励するニュアンス
は若干残っているようにも思える。重い腰を上げて「どっこいしょ」。
自分なりに頑張ったから「どっこいしょ」。

私の人生これからも「懺悔懺悔 六根清浄」「どっこいしょ」。

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【2】◇◆TEN占い◆◇
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所詮、天川 彩が占っているものですので、あまり深刻にとらえず、気
楽にお遊びとして楽しんでくださいね。
                          
今週は[タロットカード]で運勢を占ってみました。

2009年6月13日(土)〜6月19日(金)あなたの運勢

〈1月生まれ〉 
心の重荷から解放される時期がやってきました。今までの経験を糧にし
て、しっかりと次に向かって下さいね。 

〈2月生まれ〉 
待ち望んでいる知らせはまだ少し先になりそうです。今週は、いままで
以上に計画性を大事にしてね。 

〈3月生まれ〉 
頭の中であれこれ考えすぎて、実行する事を忘れてはいませんか。現実
逃避をしている時間はないはずですよ。 

〈4月生まれ〉 
あなたの利益を優先しすぎて全体のバランスで見ることを忘れてはいま
せんか。今週はできるだけ大きな視野で物事を見てね。 

〈5月生まれ〉 
いつもよりもスピーディに解決策が見つけられそうです。また、計算や
事務能力も冴えているので、お金に携わることは今週集中して動いてみ
ましょう。 

〈6月生まれ〉 
今までの計画が綿密になされていたならば、もうすぐ実を結びそうです。
成功の扉はあなた自身で開いてね。 

〈7月生まれ〉 
今の状況は、ぬるま湯のような状態ではありませんか。あなた自身のた
めに面倒くさがる気持ちは手放しましょう。 

〈8月生まれ〉 
今までの努力が着実に実を結んでいます。自信を持って、未来への展望
をもってください。きっと良い成果が現れるはずです。 

〈9月生まれ〉 
安定感のある一週間となりそうです。周囲の人に分かち合うことで、あ
なた自身も豊かに還元されるはずですよ。 

〈10月生まれ〉 
フットワークが軽くなる一週間となりそうです。今まで知りたかった情
報も、今なら入手できそうですよ。ただし、必要以上に求めないよう注
意してね。 

〈11月生まれ〉 
ムードメーカーとなる一週間となりそうです。面倒見をよくすると思わ
ぬところで評価が上がりそうですよ。 

〈12月生まれ〉 
あれこれ欲張ってはいませんか。今週は等身大のあなたを思い出しまし
ょう。視野を広げてみると本当に必要なものが見えてくるはずですよ。
 

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【3】◆◇最新・七夕情報!◆◇  
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:*:・'゜☆。.:*:・'゜.:*:・'゜☆。.:*:・'゜.:*:・'゜☆。.:*:・'゜


 
┌┌┏┏┏  天の川に祈りを込めて★七夕特別企画
┌┏┏┏   
┏┏┏     『天川 彩 :*: 七夕童話詩ライブ』
┏┏

      日程:2009年7月7日(火)
      時間:開場 午後7時  スタート午後7時半
      会場:文京ふれあい館 4階 和室
         (アクセス:千代田線 根津駅 下車3分)
      料金:前売り1500円  当日2000円
       
     ☆ライブ終了後ささやかながらですが…
      お茶とお菓子で和みながら、七夕祭を行います☆
        (全プログラム終了予定 午後9時半)

     http://www.office-ten.net/douwasi/tanabata/top.htm
     天の川をイメージしたとても綺麗なページです


7月7日。
年に一度の七夕の夜。

この日は、夜空に浮かぶ天の川に
そっと祈りを込めながら
丁寧に紡いだ童話詩たちを、
あなたの心にお届けします。

そして…
柔らかな気持ちになったなら…

ささやかながらの七夕祭。
みんなで短冊に願い事を書き
笹の葉に飾り、お菓子をいただきながら
祝いましょう。

短冊は、旧暦七夕祭の日
地上に流れる天の川まで
私たちが責任を持って連れて行き、
願い事が叶うよう、静かに流して参ります。


新旧の七夕の夜を繋ぐ
スペシャルプログラムをどうぞお楽しみください。

夏の夜に心地よい音楽と共に、童話詩の世界に浸り入り
お願い事を天に託す…
日々の雑多な流れとは異なる
ゆったりした時間をどうぞお過ごしください。

:*:・'゜☆。.:*:・'゜.:*:・'゜☆。.:*:・'゜.:*:・'゜☆。.:*:・'゜


*今年の旧暦七夕は8月26日(水)です。

天河太々神楽講『天の川に祈る』2009 
★七夕祭お手伝いワーク★
2009年8月25日(火)〜8月27日(木)2泊3日 

来週のメルマガで詳しくご案内しますが、HP上では受付開始しました。

詳しくは…

http://www.office-ten.net/tatakagura/2009.htm

:*:・'゜☆。.:*:・'゜.:*:・'゜☆。.:*:・'゜.:*:・'゜☆。.:*:・'゜



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【4】◆◇募集中◆◇
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     天と大地に感謝する旅 スペシャル2009

     「アメリカ先住民の教えと母なる大地ツアー」
       〜ホピとナバホの祈りの大地を巡る旅〜
 
   ★グランドキャニオン★モニュメントバレー★セドナ★
    
     2009年7月25日(土)〜7月31日(金) 7日間
    
      ツアー代金 288、000円(税込み)
    
     <空港諸税は別途お支払いとなります>
     
   
         募集人員   15名
         最低施行人員  8名
     
     15名に達しましたら、締め切らせていただきます。
     参加希望の方はお早めにお申し込みください。
     
    詳細 http://www.office-ten.net/hopi/2009/top.htm

   
アメリカ国立公園の中でも圧倒的なスケールを誇り
ホピ族の大切な聖地でもあるグランドキャニオン。
ナバホ族の人々の居留地でもあるモニュメントバレー。
そして、平和の民・ホピ族が守る大地メサ。

壮大な大自然…
祈りの地に吹く風…
先住の民とのふれあい…

貴方が何ものにもとらわれずニュートラルな状態ならば
きっと魂の奥に深くしっかりと、大切なメッセージを
受け取ることができるでしょう。

そして、それらをしっかりキャッチした後は
真逆な先端の街、ロサンゼルスに移動して
映画の都、ハリウッドで最後の一日を過ごしてください。

太古からの風と、最先端の風。
世界の「今」を肌で受け取ってください。


■ツアー代金に含まれるもの

成田⇔ロサンゼルス 国際線 航空運賃
米国国内線 フェニックス空港までの航空運賃
アメリカ横断鉄道アムトラック夜行列車運賃(コーチシート)
アメリカ大陸 移動中の車(バス)チャーター代 
ホテル宿泊代 
(宿泊予定地:セドナ1泊 モニュメントバレイ近郊1泊 ホピ居留地内
又は近郊1泊 ハリウッド1泊)
自由行動日以外の全朝夕食代
 
■ツアー代金に含まれないもの
空港諸税 保険料 昼食代 自由行動日の交通費及び食事代


TEN’sトラベルメンバーの為の旅企画
企画 オフィスTEN
手配 ワールドエキスプレス大阪 
   株)ワールドエクキプレス 兵庫県知事登録旅行業第2-250


ネイティブの大地が呼んでいると思う方、是非ご一緒しましょう。


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【5】◆◇上映会◆◇
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     この上映会でこの映画の自主上映は最終回となります。
      
   <<<映画『マザー・テレサ 〜母なることの由来〜』>>>
            
  日  時: 2009年6月27日(土)(11:00/15:00/19:00)
       *19:00の回のチケットが少なくなっております。

  会  場: 市川市文化会館 第5会議室
         総武線『本八幡駅』・都営新宿線『本八幡駅』
         京成線『八幡駅』より徒歩10分 
             
  チケット: 前売り 1500円/ 当日 1800円
            ※前売りで満席となった場合当日券販売なし
               各回 60席限り         

  映画内容:
       マザー・テレサの活動を5年に渡って追い続けた映画 
       「マザー・テレサ:母なることの由来」は、その生い
       立ちから"偉大なる聖女"と呼ばれ、世界中の尊敬を集
       めるまでの経過を、克明に描いた珠玉のドキュメンタ
       リー作品(デジタル復刻版)です。

  申し込み:http://www.office-ten.net/mother/index.htm


一般自主上映の配給が、配給もとの事情により6月の末で終了するそう
で、市川のこの上映会で自主上映は、最終回。

会場の市川市文化会館がある、本八幡駅は、新宿駅からおよそ30分。
東京駅からなら20分程度で電車で来ることが出来ます。千葉といって
も、東京に隣接しています。

マザーの言葉は、今の時代だからこそ、深く多くの人の魂を揺さぶって
くれることと思います。

お一人で心静かに、また大切な方と一緒に
マザーテレサの深い愛に是非触れにいらしてください。

心よりお待ちいたしております。                 
  

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【6】◆◇連載小説◆◇
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<今までのあらすじ>

両親の不仲が原因で自分は不幸だと思い続けてきた祥子。しかし大学2
年の秋アルバイト先で知り合ったアパレルメーカー勤務の良一との出会
いで少しずつ考え方が変わり、母親敏子との関係も修復されていく。
大学卒業後は、マスコミで働くことを夢見ていた祥子だったが、娘、真
由子の妊娠で大学を中退し、良一と結婚する。心が揺れながらも良一に
支えられ、それなりの幸せを見つけようとしていた祥子だったが、不慣
れな子育てや、マスコミ業界で働き出した親友への嫉妬、そこに追い討
ちをかけるような夫の不倫疑惑が重なり、パニック状態になった祥子は
娘を手にかけようとして我にかえる。祥子は自らの命を絶とうと、薬箱
を出した時、奥に仕舞いこんでいたパスポートが一緒に落ちてくる。
同じ死ぬのなら、かつて良一と行くはずだったアイルランドに向うこと
にした祥子だったが…


『雨弓のとき』 (66)
                天川 彩


突発的に荷物をまとめ、成田空港行きの電車に乗ったまでは良かったが、
そこから先どうしたらいいのか祥子は検討もつかなかった。国際線はお
ろか、国内線にだって一人で乗ったことなど無いのだ。
電車に乗った後で、成田空港は二つのターミナルに分かれていて、駅も
二つあることがわかった。どっちで降りたほうがいいのか。いや、そも
そも、何処の航空会社の飛行機に乗ればアイルランドに行けるのかすら
全く調べてもいなかった祥子は、とりあえず終点の成田空港駅で降りる
ことにした。

改札を出た途端だった。警官のような制服を着た警備員に「パスポート
か身分証明を出してください」と言われて祥子は慌てた。バッグの中を
急いで探り、まだ全く使ったこともないパスポートを出して手渡すと、
警備員は中身をチラッと見ただけで「ありがとうございます」と返して
きた。何も悪いことなどしてはいないし、咎められたわけでもないが、
祥子の心臓はしばらくバクバクしていた。

空港ビルの中は、大きなキャスター付きのバッグを楽しそうに押してい
る中年の女性グループや、早足で歩くスーツ姿のビジネスマン。大きな
リュックとサンダル履きの青年や、外国人の家族連れなどが、旅なれた
雰囲気を漂わせて行きかっていた。全てが初めての祥子は、すっかり気
後れしてしまい、とりあえずベンチに座った。目の前を幾人もの人たち
が通り過ぎて行く。その姿をただぼんやりと眺めていただけで、祥子は
どっと疲れてきた。ふと時計を見ると、夕刻の四時をまわている。空港
に着いてから一時間以上も同じ場所に座り続けていたらしい。祥子は、
大きく息を吸い込むと、重い腰をあげて案内板を見て書店に向った。
アイルランドのガイドブックは予想外に簡単に見つかった。パラパラと
めくってみると、アイルランドの様々な観光案内のほかに、空港での両
替の仕方や日本からの出国についての情報も詳しく載っている。

祥子は、とりあえず空港近くの宿に泊まり、この本をまずは読むことに
した。そう決めた途端、祥子の全身の緊張がほぐれたのか、急に体が軽
くなったように感じた。

空港のカウンターで教えてもらったホテルは、空港からほど近いところ
にあった。案内された部屋は、一人で使うには広すぎるほどの広々と綺
麗な部屋だった。

ーこんな所なら、今度は良一さんと来たいなー

そう思った途端、祥子は少し可笑しくそして強く悲しくなった。
アイルランドで命を絶つために、ここにいる。だから今度はない…のだ。
祥子は、バッグの中からマナーモードにしていた携帯を取り出してみた。
何度も良一から、そして母の敏子からの着信履歴がある。待ちうけ画面
には、最愛の娘・真由子の笑顔。祥子は、その娘の顔をまじまじと見て
そして画面の上から指で撫でた。

「ごめんね。ママを許してね」祥子はそう呟くと、携帯の電源を切り
ベッドの上に突っ伏して、枕で声を消しながら大声で泣いた。

                          つづく…

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【7】◆◇編集後記◆◇
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現在、地球一周・世界石巡礼の旅に出ている写真家の須田郡司さん。
彼のことについては、幾度となくメルマガでもご紹介し、3月には出発
記念イベントも催したので、今さら説明することもないと思いますが、
彼の石巡礼ブログがかなり素敵なので紹介します。
韓国から中国、ベトナムやインドを抜けて今はトルコにいるそうですよ。
http://voiceofstone.blogspot.com/
奥さんのひとみさんの食べ物ブログも、それぞれの国の食事事情が異な
っていて面白いです。夫婦で世界を巡れるなんて、ちょっぴり、いや、
かなり羨ましいです。
                       aya