2008/09/05 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  
   ☆★☆   TEN's magazine 第334号   ☆★☆      

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こんにちは、天川 彩です。

早いもので、もう九月。
子どもたちは二学期が始まり、大人も何かと変動する季節ですね。
変動といえば、またもや首相の辞任。国のリーダーの求心力不足がと
ても気になります。

江戸時代の国学者、本居宣長は「政(まつりごと)」と「祭事(まつ
りごと)」は、「奉仕事」として共に同意語であるといいました。
その社会に暮す人々の生活を、清々しく健やかに向上させる為に動く
人が、真のリーダーだと思うのですが…。

24時間テレビで、エド・はるみさんが113キロマラソンを完走し
た姿に、私は素直に感動しました。オリンピックの時も、アスリート
達の姿に胸が熱くなりましたが、政治の世界にも、夢や希望を与え、
それを実現化できる人がそろそろ現れて欲しいものだと願います。

さーて、皆様 お待たせいたしました!

先週、予告させていただきましたが…
「高野山・熊野」ツアーをこの秋、行います。熊野にご案内するのは
一年振りですが、高野山はなんと四年ぶりになります。

今回はこの日本の二大聖地を十二分に感じていただこうと、それぞれ、
私たちオフィスTENと何らかのご縁がある社寺の宿坊に宿をとり、
濃くて深い、大人の旅にご案内することにしました。

空海が高野山を開く前、天河で修行していたことは有名な話ですが、
そのような関係で今も天河神社と高野山は深い繋がりがあります。
高野山で泊まるお寺は、かつて天河神社の宮司様にご紹介していただ
いた、空海がこよなく愛したお寺です。個人的にも大変お世話になっ
ているお寺でもあるので、今回、奥様のご配慮により、本山・金剛峯
寺のお坊様が、特別にご案内してくださることになりました。
また、熊野でも宮司様にお話をしていただけることになりましたヨ。

神々しい大自然と恵み、そして、いにしえから続く祈りの世界。
いつかは、行ってみたいと思われていた方も、今まで行ってみたこと
がある人も、これぞ「真髄!」と思っていただける、そんな旅です。
今、高野山や熊野が呼んでいる、と感じる方。是非、ご一緒いたしま
しょう!

それから…男性の読者の皆様のみにお知らせです。
実は、男性の方からリクエストがあり…男性の為の恋愛講座を開催す
ることになりました。
今まで、恋愛講座に男性の参加者の方も若干数いらっしゃいましたが
「女性が多そうな恋愛講座には、参加しにくい」との声もあり、なら
ば、と今回企画することにしました。どうぞ勇気を持ってお越しくだ
さい。また、お知り合いの方で、男女のパートナーシップについて悩
んでいる男性の方がいらしたら、どうぞ教えてあげてください。
詳しくは、本文をどうぞ。


さてさて…
四十肩と富士山で痛めた足の爪は、まだ少し痛みが残っています。
そんな中で、私は今夜から夫に誘われ、生まれて初めて中国に出かけ
ます。パック旅行の「上海」です。未知なる世界です(笑)。
お土産物屋さんに何軒も連れていかれる団体旅行のようですが、それ
もアトラクションだと思って、夫との久しぶりの二人旅、楽しんで来
ようと思っています♪

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◇◇今日の目次◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇
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1・コラム・風の文様==============「元気ハツラツ」
2・TEN占い==========今週は「メディスンカード」占い
3・天と大地に感謝する旅=========「高野山と熊野」の旅
4・講座のお知らせ======「男性の為の究極・大人の恋愛講座」
5・連載小説================『雨弓のとき』(52)
6・編集後記===================「ひとりごと」
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【1】◆◇コラム・風の文様◆◇
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 ■「元気ハツラツ」

見ているだけで元気になる、という人が時々いる。
いつもハツラツとして、幸せそうだ。

「元気ハツラツ」というと、昔からある清涼飲料水のコマーシャルのよ
うだが、ハツラツという言葉そのものにも、元気の源が含まれているよ
うな、そんな気がずっとしていた。
しかし確かな意味を知らなかったので改めて辞書で調べると、面白いこ
とがわかった。

ハツラツは「溌剌」と書く。意味は、魚が飛び跳ね踊るさま、だそうだ。
雰囲気は掴めた。文字を見て改めて疑問が湧いた。「溌」の文字は、確
かに水しぶきが飛んでいるようで、魚が飛び跳ね踊る姿は想像できる。
しかし、問題は「剌」の文字。
「さす・とげ」という言葉からは、私はどうしても、元気の源を感じる
ことができなかった。

しかし、確かに想像できなくて当然だった。
この溌剌の「剌」という感じは、よく見ると「刺」ではなく「剌」だっ
たのだ。「刺」と「剌」とでは大違い。

「刺」の「さす・とげ」のように訓読みの言葉はないが、「剌剌(らつ
らつ)」とは、風の吹くさま、なのだとか。

「ハツラツ」とは水が飛び跳ね、風が吹くようなことだったのだ。

要するに自然体で、伸びやかに、健やかに過ごしているような姿そもの
のがハツラツという言葉にはあったのだ。

ただ私自身は「いつも、ハツラツです!」と言い切れるほど、まだ人間
はできていない。元気がなく凹む時もある。
やはり、気を元に戻せるのは自分自身でしかない、と奮起するものの、
焦れば焦るほど元気も無くなっていく。

しかし、「元気」という言葉も語源を調べていると、元気が出てきた。

そもそも、ゲンキという言葉が使われ始めたのは、平安時代に遡るらし
い。そこには、ゲンキは「減気」と記されていたようで、悪い気、病の
気が減っていく様をゲンキといったらしい。それが「験気」となり、修
験者が加持祈祷をして悪い気、病の気を快復させる様をゲンキと呼ぶよ
うになり、今のように一般的にゲンキという言葉が「元気」と記される
ようになったのは江戸末期。今のような意味で日常的に使われるように
なったのは明治に入ってからのことだという。

調子悪い状態が、少しずつ治っていくことをゲンキというならば、何だ
か気が楽になってくる。

少しずつ良くなって、やがて、水が勢い欲飛び跳ね、風が吹くように…。
そうなれたらいいのだ。ダメな時があったっていい。元気はなくとも減
気だったらいい。

元気ハツラツとした人だって、きっとその繰り返しなのだろうから。


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【2】◇◆TEN占い◆◇
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所詮、天川 彩が占っているものですので、あまり深刻にとらえず、気
楽にお遊びとして楽しんでくださいね。
                          
今週は[メディスンカード]で今週の運勢を占ってみました。

2008年9月6日(土)〜9月13日(金)あなたの運勢

〈1月生まれ〉
イライラとして怒りっぽくなってはいませんか。それは、あなたがやる
べきことを後回しにしている、あなた自身への怒りかもしれません。ま
ずは思いを形に変えましょう。

〈2月生まれ〉
喜びに満ちた一週間となりそうです。また、美しいものと縁が深まると
きでもあります。あなたの感性を周りに伝えてね。

〈3月生まれ〉
あなたが短所だと思っているところは、長所として捉えることも出来る
はずです。今週あなたに必要なことは、肯定する力です。

〈4月生まれ〉
八方美人になってはいませんか。またその気も無いのに思わせぶりな態
度をとっていると、人を傷つけることもあります。人に媚びることはや
めましょうね。

〈5月生まれ〉
人にあれこれ指図をしてはいませんか。また、余計なお節介をしてはい
ませんか。今週は、自分と他人との境界線をしっかり見てください。

〈6月生まれ〉
今週は、古いものに縁がありそうです。また、大自然から感じ取ること
もあるかもしれません。今週はいつも以上にアンテナを張っていてくだ
さい。

〈7月生まれ〉
噂話や人の言葉に影響されて、あなた自身の感性で人を見ることを忘れ
ているかもしれません。今週は、自分の感覚を信頼してね。

〈8月生まれ〉
今週は人と人を繋いだり、誰かに何かを紹介したり、繋ぎ役の一週間と
なりそうです。人の為に動いたことが、やがて自分に戻ってきそうです。

〈9月生まれ〉
今まで考えていたことや、理解していたこととは違う道があることに気
がつくかもしれません。今週あなたに必要なキーワードは、受け入れる
ことです。

〈10月生まれ〉
今まで学んできたことを、人に伝えるときがやってきています。勇気を
もって前に進んでください。

〈11月生まれ〉
インスピレーションが豊かになる一週間です。あなたの直観力を信じて
ください。頭で考え直すと正しい判断がつかなくなるかもしれませんよ。

〈12月生まれ〉
あなたの力を必要としている人が側にいます。あなたが持っているもの
の中で惜しみなく提供してあげましょう。ただし、持っていないものま
で提供しようとしないよう気をつけてね。


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【3】◇◆天と大地に感謝する旅◆◇
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      ■天と大地に感謝する旅 Walk 27■

       「高野山と熊野の旅」2008
      〜心と体が元気になる幸せ三昧の旅〜
      
      10月23日(木)〜10月26日(日)
             3泊4日
            6万8千円(税込)
          (関西空港 集合解散)
   *関空まで飛行機をご利用の方は別途計算いたします
          全行程 貸切バス(車)移動
          定員 18名(最低施行人員 8名)

    http://www.office-ten.net/kumano/2008/top.htm
         
弘法大師・空海が開いた真言密教の聖の山・高野山。
千年もの昔から、人々が目指し歩いた聖域、熊野。
日本人の魂の故郷のような、幽玄なる世界に浸ると
眠りかけていた感覚が甦ってくるようです。

今回は、そんな日本の聖域を十二分に感じていただくため
それぞれTENに縁のある社寺の宿坊に泊まることにしました。

早朝の幻想的な空海の御廟、高野山の奥の院…
熊野古道の奥に佇む、梵字が彫られ苔むした円座石…
静寂な中での朝のお勤めやご神事…
いにしえ人たちも祈った、それぞれの霊場で
心ゆくまで静かなる時をお過ごしください。

勿論、高野山や熊野の豊かな大自然や
とっておきの美味しい味覚、
そして、情緒豊かな温泉などにも
目一杯ご案内いたします。

この秋、日本の豊かな大自然と神仏の世界に抱かれながら、
心も体もリフレッシュして
魂の悦びを、ぜひ実感してください。



<今回は全行程をお知らせいたします>
*行程に書ききれないほどの魅力がまだまだあります*

◆一日目◆

関空から一路、高野山を目指します。根本大塔が立つ『壇上伽藍』や本
山『金剛峯寺』などを見学した後、空海がこよなく愛したお寺『清浄心
院』へと向います。ここは空海が入定前日に、この寺で自ら彫刻したと
いう『廿日大師』が本尊として祀られています。空海の御廟が祀られて
いる『奥の院』まで散策したり、写経をさせていただいたりまた、幾多
の碩学名僧も口にしたという高野山の仏家の『伝統的精進料理』をたっ
ぷり頂いたりと、高野山の宿坊を中心にしながら、ゆったりとした気持
ちで過ごしてください。
                      <高野山・宿坊>

◆二日目◆
早朝、静寂な空気に包まれながら奥の院を歩くのも素敵です。宿坊で、
読経と声明の響く勧行に参加した後は、熊野へと向います。熊野古道の
始発となる『滝尻王子』で、まずはご挨拶のお参りをいたします。日本
最古の温泉『湯ノ峯温泉』では、かつて熊野詣をした人々のように湯ご
りで身を清め『熊野本宮大社』でしっかりと熊野の神様にお参りをいた
しましょう。旧社地『大斎原(おおゆのはら)』で、はるか遠い昔の人
々の想いも感じてください。夕食には『熊野の郷土料理』を選びました。
この日のお宿は神社の敷地内。神様のお膝元で、貴重な一夜をお過ごし
ください。
                    <熊野本宮大社・宿坊>

◆三日目◆
朝一番の熊野本宮大社には、凛とした空気が漂っています。朝のご神事
に参列した後は、お洒落なカフェでのブレックファーストをどうぞ。気
持ちが切り替わったところで、熊野古道の中でも、ほとんど観光化され
ていない大雲取越の道をほどよく歩きます。山の中に現れるのは『円座
石(わろうだいし)』。行者の人がかつて岩に彫った梵字は苔むしてい
ますが、今も熊野の神々が座り、談笑しているといわれています。その
後、日本最古の神社『花の窟(いわや)』熊野三山の一つ、速玉大社へ
お参りし、神が降り立ったといわれる『ゴトビキ岩』まで参ったならば、
勝浦の温泉で汗を流し、この日の最終目的地、那智へと移動します。落
差日本一の『那智の滝』はやはり圧巻。この日の宿は、西国三十三霊場
の第一霊場でもある『青岸渡寺』の宿坊。上皇達も熊野詣の折に泊まっ
た宿坊で、静かな夜をお過ごしください。
                    <那智 青岸渡寺・宿坊>
 

◆四日目◆
青岸渡寺での朝のお勤めに参列した後、最後の熊野三山『那智大社』で
お参りいたします。熊野三山は、本宮大社、速玉大社、那智大社、と青
岸渡寺の三社一寺。この全てのお参りを終えたなら、熊野古道の風情が
残る『大門坂』をゆっくり下り、那智の滝を再び仰ぎ見て、この旅の最
後の目的地へと向います。熊野が生んだ世界に誇る天才、粘菌学者の『
南方熊楠』の記念館では、熊楠が残した偉業に是非触れてください。エ
コロジーという言葉を日本で最初に紹介した熊楠。実は熊野が今、世界
遺産として守られたのも、この南方熊楠の功績によるところが大きいの
です。世界遺産に指定されている高野山から熊野までの大自然と、神仏
祈りの世界と歴史。それらを存分に楽しんだ後は、一路関西空港へと向
います。

       http://www.office-ten.net/kumano/2008/top.htm

ぜひ、ご一緒いたしましょう!
           
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【4】◇◆特別講座◆◇
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     この日は男性の方だけの講座です

   ◇◆◇『男性のための 究極・恋愛講座』 ◇◆◇
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  

      女性とのパートナーシップが苦手な方
   生涯を通し愛し愛される女性と巡り逢いたいと思う方
        是非、この日 いらしてください

日  程 2008年11月1日(土)
時  間 10:30〜16:30 (昼休憩 1時間あり)
会  場 葛飾シンフォニーヒルズ別館 (京成・青砥駅下車)
     お申し込みの方に詳しい地図をお送りいたします
受講料 10、500円 テキスト代含む

講座内容 Step1 女心の真相
     Step2 パートナーシップについて
     Step3 理想の相手
     Step4 自分の魅力再発見

申し込み http://www.office-ten.net/com-kouza/love-men.htm


生涯を通して
互いに愛し慈しみあえる人に出逢いたい。
これは、男女共通の想いのはず。
でも、男性は女性以上に
不器用でシャイで強がりだから…
恋愛そのものが苦手な人も多いようです。

女心がわからない…
自分の魅力がわからない…
恋が長続きしない…

そんな悩みを人知れず持っている方。

どうぞ、勇気を出して
この日、いらしてください。

きっと、世界にたった一人
貴方に出逢いたいと願っている人が
何処かにいるはずです。

赤い糸を手繰り寄せる術を
この日、伝授いたします。




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【5】◇◆連載小説◆◇
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両親の不仲が原因で自分は不幸だと思い続けてきた祥子。しかしアルバ
イト先で知り合ったアパレルメーカー勤務の良一と付き合いだしてから
少しずつ考え方が変わってくる。大学卒業後は、マスコミ就職の希望を
持っていたが、妊娠していることがわかり、急遽良一と結婚することに。
娘の真由子を産んでから、幸せいっぱいの祥子だったのだが、良一が突
然、札幌へ長期出張に。楽しみにしていたクリスマス前、祥子は体調を
崩し…。


『雨弓のとき』 (52)                天川 彩



母の敏子が真由子を連れて出た後、祥子は良一の携帯に電話をかけた。

良一に、病気で行けなくなったことや、真由子とも離れなければなら
ないことを伝えたら、多分泣くだろうと予想していた。が、実際には
淡々と告げていた。

「そうか…。残念だけど、インフルエンザなら仕方がないし。真由子
もお義母さんが面倒見てくれるっていうんだから、この際、しっかり
寝て、早く治さないと」

良一の声が遠く小さく聞える。話しながらも祥子の節々は痛み、頭は
ぼんやりとしていた。
「もしもし…祥子、聞こえている?」
「あ、ごめん…。なんだか凄く体が熱いから、もう電話切るね」
祥子の頬に涙が伝った。

きっと、私、辛いんだ…。自分が流す涙でそう感じながらも、高熱は、
辛いとか哀しい、という感情まで封じ込めているかのようだった。
祥子は、そのまま倒れこむようにしてベッドに潜り込んだ。

目を覚ますと、外はすっかり暗くなっていた。何時間眠っていたのか
祥子自身、わからないほど長い間眠り続けていたようだ。祥子はいつ
もの癖で、ベッドの横に置いてあるベビーベッドの柵に手を入れて、
真由子の体を触ろうとした。
?…。!!。祥子は慌てて上半身を起こして電気を付けた。
真由子のベッドが空になっている!
薄ぼんやりとしながらも、パニックを起こしそうになっている頭で、
祥子は懸命に考えた。母の敏子がやって来て、インフルエンザをうつ
さないようにと、越谷の実家に連れて行ったことを思い出すのに、し
ばらく時間がかかった。

タンスの隣に張ってあるカレンダーが目に入った。赤ペンで花丸印が
ついている。嬉しそうに、その花丸印が踊っている日に、祥子は真由
子を連れて、良一がいる札幌へ行くはずだった。
喉が異様に腫れて痛い。口の中に溜った唾を飲み込みながら、自分の
現実も飲み込むしかないのだと思ったら、祥子は力が抜けていくよう
だった。

祥子は、再び良一に電話をかけてみた。が、仕事中なのか繋がらない。
良一の声が聞きたい。真由子のまだ言葉にならぬ声が聞きたい。
しかし、いつもは聞えることもない時計の針の音だけが、ただ部屋の
中で大きく響いていた。

心細さと哀しさと高熱とが入り混じった祥子の体は、ガタガタと震え
ていた。祥子は毛布を頭からすっぽりと被り擦れた声で大声で泣いた。
今まで流した涙の中で、一番熱い涙が、止め処なく流れ落ちていく。
やがて毛布の中で、涙に混じり汗も玉のように流れ出し、祥子は息苦
しくなって顔を出した。

新鮮な空気を吸い込んだからだろうか。祥子の気持ちは、不思議なほ
どスッキリとしていた。

祥子は起き上がり、新しいパジャマに着替え直すと、寝室を出てキッ
チンに向った。顔を洗い、敏子が用意してくれていたお粥をゆっくり
食べ、処方されてた薬を飲み終えた時、携帯が鳴った。
良一からだった。

「さっきは会議中で出れなくてゴメン。熱とか大丈夫?」
「ありがとう。ちょっと声が聞きたかっただけだったの。さっき、母
が作っておいてくれたお粥食べて、薬も飲んだし。早く治さなきゃね」
「そうか。よかった。具合が酷くなったんじゃないかと思って心配し
たよ。でも、少し安心した。俺、週末、そっちに戻れそうだから」
「えっ?」
「いや、さっき会議中に事情を話してお願いしてみたら、結構アッサ
リOK出してもらえてさ」
「でも、インフルエンザだし、うつしちゃったら大変だし」
「予防接種打つしさ、心配いらないから」
「…」
「もしもし、祥子?聞えている?」

祥子の頬に、再び熱い涙が伝った。

                        つづく…


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【6】◆◇編集後記◆◇
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再来週には、今年二度目となるホピツアーに出発する。
今回は今までとは全く趣が異なり、ニューメキシコにも行くことにな
ったので、それらに関連した書籍をずっとここのところ読んでいる。
アナサジ遺跡(ホピ族の祖先ともいわれ、謎の消えた人々ともいわれ
ている)最大級の遺跡、チャコキャニオンにも、せっかくなので足を
伸ばしてみようと計画中。またタオス族やアコマ族といった、ホピ以
外のプエブロの人々の暮す村にも行くので、また新たな世界が広がり
そうだ。
                       aya