2008/06/20 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  
   ☆★☆   TEN's magazine 第323号   ☆★☆      

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こんにちは、天川 彩です。

私の自宅は、谷中(やなか)という場所にあり、四方がお寺に囲まれて
います。ですので、沢山の種類の植物たちが季節ごとに咲き誇っている
のですが、今は紫陽花が花盛り。中でも、大きな花びらで額のように縁
取った真ん中に、小さな花が幾つも咲く、額紫陽花が私は大好きです。
強烈な自己主張はしていないけれど、凛とした気品と美しさを感じて、
何とも愛おしくなります。
やはり、紫陽花はカーッと晴れたお天気より、しっとりと濡れた雨模様
の方が似合うようで、この季節のお花なんだなぁと思わせてくれます。

ただ、お天気が雨模様なのはいいのですが、人間の心の中が厚い雨雲に
覆われていることは、何とも歓迎しがたく…。
昨日、熊野の中辺路にある「牛馬童子」(ぎゅうばどうじ)という石造
が、心無い人の手によって首が折られて持ち去られ、横の役行者の石仏
も壊されていた、と報じられていました。
牛馬童子というのは、17歳で天皇となりながら19歳で失脚し、その
後仏門に入られ西国三十三霊場をひらかれた花山法皇のお姿といわれて
いるものです。
熊野古道の中にポツンと苔むして立つその姿は、なんとも可愛らしく、
古道を歩く人々の心を長い間和ませてくださるものでもあったのですが、
本当に残念でなりません。

どうして、ここまで日本人の心は荒んでしまったのでしょう。

給食の時間、子どもに「いただきます」と手を合わせる行為を、憲法違
反だとして教育委員会に申し出た母親がいたそうです。最初は、オーバ
ーな噂話かと思っていましたが、調べてみると、何処の県の何処の地域
で、学校名まで公表されいたので、ほぼ事実なのでしょう。
給食費を払っているのだから食べる権利があり、もらったものでもない
のに「いただきます」という言葉は不適切で、更に手を合わせる行為は
仏教的行為である、というのが理由だそうです。本当に驚きました。
結局、その地域小中学校では教育委員会の指導で食事の時には「笛」や
「太鼓」を鳴らし、合図で子ども達に食事を始めさせるそうです。
動植物の命をいただいて自分の命に繋がっている、ということも、感謝
する心ということも、家庭でも教育現場でも教えてもらわない子ども達
は、どんな未来を描いていくのでしょう。

ただ…嘆いていたり批判するばかりでも、何も変わらないですよね。
私たち一人ひとりが、大きな意思を持って、気持ちの良い世の中を取り
戻す働きをしていかなければならないと、本気で思います。


さぁ、気を取り直して…お待たせいたしました!
先週、少しだけお知らせしました「夏の富士登拝!」日程や詳細が決定
しましたよ♪まだ全貌をお知らせする前から、早々にお問い合わせも何
件かあり、皆さんの関心の高さを感じ、嬉しい限りです。

私たちにとっても、初めての富士登拝。色々考え、富士の御師(おし:
江戸時代から明治にかけて富士山の神々の話から道案内まで全てを導く
役割を持った人)の子孫でもある友人の山小屋の親父さんとも相談した
結果、せっかくの機会なので、今回のこのツアーでは、昔ながらの行衣
(白作務衣の上)や金剛杖で、富士山頂を目指していこうということに
なりました。勿論、麓では普通の服装で過ごしますが、富士山に向う時
には、気持ちも引き締まると思いますし、なんだか特別な感じがしてワ
クワクしませんか?先週も書きましたが、とにかく、普通の富士登山と
は違い山頂まで、ゆっくり登っていきますので、体力に自信の無い方で
も大丈夫。一緒に、皆でゆっくりゆっくり登りましょう。

勿論、TENのツアーですから、ただ単に富士山を登って降りるだけ、
なんてことはありません!
ツアー初日は、富士の歴史や昔の人々の富士信仰を勉強したり、夜には
日本三大奇祭「吉田の火祭り」も見学に行きますヨ。
また、せっかく行衣まで着て登拝するのですから、麓の須走浅間神社で
も富士山頂の久須志神社でも、できれば正式参拝したいと思っています。
一日半かけて富士登拝を終えた後は、貸切バスで大きな温泉まで移動し
て、汗と埃と疲れを落としてください。湯上り後、冷たいビールなど飲
んだなら、もう最高ですね!

詳細は、本文及びHPを是非ご覧ください。

今は、ただただ大自然の奥深さにゆっくり抱かれていたい…と思われる
方は、世界遺産の島『屋久島』まで行きませんか?
TENのツアー、3年ぶりとなる屋久島。次はいつ行くかは未定です。
現在、シーカヤックで一日過ごすコースの定員は残り一名となりました
が、縄文杉登山のコースは、まだ受け付けられます。
大人気の夏の屋久島ですので、締め切りも近づいてきました。
お考え中の方、是非いかがでしょうか?

また、富士山頂や屋久島などの大自然に触れるより、心静かに厳かに、
心魂ともに清らかなる時を過ごしたい、という方には、天河太々神楽講
の「七夕祭お手伝いワーク」をおすすめいたします。
無垢なる状態で、神社のご神事にお手伝い参加させていただく、貴重な
機会です。

今年の夏、どれか一つ、是非参加してみませんか?
もちろん、幾つ参加されても大歓迎です!

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◇◇今日の目次◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇
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1・コラム・風の文様=============「我も誰も幸せに」
2・TEN占い==========今週は「メディスンカード」占い
3・日本を堪能する旅========「夏の富士登拝!」募集開始
4・天と大地に感謝する旅=======「屋久島ツアー 2008」
5・天河太々神楽講=========天河神社七夕神事のお手伝い」
6・連載小説=================「雨弓の時」46
7・編集後記=====================ひとりごと
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【1】◆◇コラム・風の文様◆◇
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□ 「我も誰も幸せに」

私は、嫌だと感じることは極力しないことにしている。

ただし、極力楽をしたいとか、遊んで暮したい、という意味ではない。
努力も頑張ることも、必要だと思うことならば喜んでする。
しかし、嫌だなと内心思っているのに、無理をしたり自分を誤魔化した
り、更には自己を犠牲にしたいとも思わない。

自己犠牲というものは、一見美しく捉えられがちである。
「自分が犠牲になって他人の代わりに辛くて嫌なことをするのは偉い」
と考える人もいる。しかし、他者からどう見えようとも、自ら望んで行
っている行為は犠牲ではない。逆に、傍から喜んで行っているように見
えても、本人は辛くて嫌で、自分は犠牲になっている、と思っていたな
ら、それは自己犠牲といえるだろう。

自分であれ、他人であれ、犠牲者は出すべきではない。

もし、大切な人から「あなたの為に、自分を犠牲にして、やりたいこと
を我慢した」と言われたなら、どう思うだろう。大抵の場合、ひどく責
められているように感じ、決して嬉しい気持ちにはならないだろう。
やりたい、と思っていたことを中止したのは、あくまでも当人の意思で
あり、その無念さを誰かに押し付けることではない。
また、「やるつもりもなかったのに、誘われたからやってしまった」と
いうのも同じだ。誘った方が悪いのではなく、誘いに乗った自分に責任
がある。

全て自分の行動には責任がある。
幸せな人生を歩もうと思ったならば、いいな、と思ったことはどんどん
取り入れたらいい。逆に、嫌だなとか、間違っているかな、と感じてい
るとこは、思い切って排除した方がいい。

ただし、その取捨選択も自分の責任である。

「世の中の人々が幸せになる為には、自分は犠牲になっても構わない」
そんな人も、時折見かける。が、私には痛々しく感じる。
自分が悪かったので、死んでお詫びする、というのと何ら変わらない。
狭い狭い視野での正義は、自己陶酔に陥りやすく結果的に大きな迷惑を
かけることもある。

世の中の人々の幸せを願うのであれば、まずは自分も幸せにしなければ
ならない、と私は思う。しかし、お金とか社会的な地位や名誉とか、頑
健な体を持ち合わせているから幸せになる、というものでもない。
日常の些細なことにでも幸せと感じる心の余裕と、何事にも感謝できる
心の平和があって、幸せな状態といえるのではないだろうか。
心に闇があれば、まず晴らす。悔いていることがあれば、謝る。対人関
係が拗れているなら、結び直す。家庭内が戦争状態なのに、遠い国の平
和活動をしていても、真の平和には繋がらない。

まずは、自分が幸せになろう。満面の笑顔で幸せに満ちていたなら、そ
の存在だけで、幸せを感じる人もいる。心の曇りが晴れた時、真の幸せ
が訪れる。私は不幸だから、人の幸せを祈ることで幸せになりたい、と
願っていても、自分も他人も幸せにはなれない。
まず、不幸と思う心、犠牲と思う心を一掃しよう。

幸も不幸も、やはり心持次第なのだ。



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【2】◇◆TEN占い◆◇
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所詮、天川 彩が占っているものですので、あまり深刻にとらえず、気
楽にお遊びとして楽しんでくださいね。
                          
今週は[メディスンカード]で今週の運勢を占ってみました。

2008年6月21日(土)〜6月27日(金)あなたの運勢

〈1月生まれ〉
ここのところ少し、傲慢になってはいませんか。今週はしばらく人の話
に耳を傾けましょう。謙虚に学ぶことがあなたに求められていることか
もしれません。

〈2月生まれ〉
あなたの周りの人を見回してみてください。尊敬できる人々に囲まれて
いたならば、あなた自身も尊敬できる人であることを認めてください。
周囲の人は、あなた自身でもあります。

〈3月生まれ〉
あれこれ心配するのはやめましょう。今週は目の前で起っていることを
大らかな気持ちで楽しんでね。

〈4月生まれ〉
今週はあなたの気配りが光りそうです。今まで以上に人の為に心をさい
てみてね。

〈5月生まれ〉
言い訳ばかりをしてはいませんか。言い訳を続けていると、あなたの評
価がどんどん下がってしまいます。正直にまっすぐな姿勢こそが、今の
あなたに求められていることですよ。

〈6月生まれ〉
だれも気付いていないと思って、少しズルをしたりしてはいませんか。
他人はどうであれ、真実はあなたが知っているはずです。今週は潔さが
キーワードです。

〈7月生まれ〉
何もかもうまく進まず、じたばたしてはいませんか。良い方向に戻す、
一番手っ取り早い方法は、感謝の心を取り戻すことです。当り前のこと
など何も無いことを思い出してね。

〈8月生まれ〉
誰かを無理にあなたの好みに変えようとはしていませんか。今週、あな
たに必要なことは、あるがままを受け入れる心です。

〈9月生まれ〉
今週は、目に見えないものがあなたへの大きな力になりそうです。今ま
で、漠然と思っていたことが、急に視界が開けたようにはっきりみえて
くるかもしれませんよ。

〈10月生まれ〉
あれこれ気持ちが焦ってはいませんか。今週は大きく深呼吸をして、心
の余裕を取り戻してください。また、たまには休むことも必要ですよ。

〈11月生まれ〉
変わりたいと願いながら、変わらないのは、あなたが本気で変わる気が
ないからかもしれません。行動がともなってこそ、物事が動いてくるこ
とを忘れないでね。

〈12月生まれ〉
あなただけではなく、周りの人々の為にも動くべきときです。今まで長
い間休憩していたならば、パワーを使って動き出してね。


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【3】◆◇日本を堪能する旅◆◇
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           募集開始です!

  今年の夏、日本一の富士山頂へ 一緒に登ってみませんか?

        夏┃の┃富┃士┃山┃登┃拝┃!┃
         ━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛ 
        〜吉田の火祭りと富士山頂への登拝〜 

    2008年8月26日(火)〜28日(木)
           2泊3日
  
       東京発着39、800円(税込)

  詳細は http://www.office-ten.net/j/fuji/tohai/2008top.htm


古来より霊峰として仰がれていた、富士山。
この夏、縁あって富士の御山頂まで登ることになりました。
ただし、一般的な富士登山のように
日本一の山を制するわけでも、
山頂でのご来光を目的とするものでも
自己との戦いの為でもありません。

霊峰・富士にいらっしゃる神々と自己とがしっかり向き合い、
心身共に清く元気になるための「富士登拝」です。

一歩一歩踏みしめ、要所要所でお参りをしながら
普通の富士登山のおよそ倍の時間をかけて
ゆっくり山頂を目指していきます。

せっかくの機会ですので、かつて昔の人々がしていたように、
白い行衣に金剛杖という出で立ちで向かいましょう。
金剛杖には、途中途中で、昔ながらの焼き印を押してもらいます。

山に登る前の日は、富士山の歴史や信仰など博物館で学び
夜には、日本三大奇祭、「吉田の火祭り」を見学します。
このお祭りは、一般的な夏山登山の終わりを告げるものでもあり
その送り火を見送り、翌朝、いよいよ神々の待つ
静かなる富士山へと向かいます。
下山後は、ゆっくり温泉に浸かって
富士の恵みで身体をほぐしてください。

富士を仰ぎ、富士に登り、富士を感じる。
きっと生涯の宝物となるであろう体験
一緒にいかがですか?


◆ツアー代金に含まれるもの◆

富士山プロガイド代/高速バス代/貸切バス代
宿泊代(ホテル1泊・山小屋1泊)
朝夕食代(1日目の夕食は割烹料理です)
観光案内代/歴史民俗博物館入館料
「須走温泉・天恵」入湯料

◇ツアー代金に含まれないもの◇
昼食代/正式参拝初穂料/近距離(タクシーなど)移動費

◆行衣・金剛杖について◆

行衣(白作務衣の上)と金剛杖は、
特別に5000円でこちらでご用意いたします。
お持ちでない方は、お申し込みの際にサイズをお知らせ下さい。
既にお持ちの方は、行衣・金剛杖をご持参下さい。


「TEN'Sトラベルメンバーのための旅企画」

行程や登拝についてなど、詳しくはHPをご覧ください。
とても綺麗なページですヨ。
http://www.office-ten.net/j/fuji/tohai/2008top.htm

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【4】◆◇天と大地に感謝する旅 ◆◇  
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  今年の夏休み、出来ることなら本物の「屋久島」にあいたい!
   そんな…人たちにだけ、私たちがそっと案内する
       静かで深い 屋久島の旅です。

    
     ☆天と大地に感謝する旅 Walk27☆
      『屋久島ツアー 2008』
 2008年7月17日(木)〜7月20日(日)

    3泊4日 全行程 朝・夕食つき
         定員18名

(定員になり次第、募集は締め切らせていただきます)
      最低施行定員8名
 
 *東京発着以外をご希望の方は、別途ご相談ください

 詳細・お申し込みは
 http://www.office-ten.net/yakusima/2008/top.htm

「もののけ姫」の舞台となった苔森の世界。
天界に聳え立つような巨石や
どこまでも澄んだ水。
空と海の蒼さが溶け合った
原色の世界。

世界自然遺産にも登録されている
日本が世界に誇る島、屋久島。

その島の美しさと豊かさ
そして神秘の森を心ゆくまで
ゆったりと体感する…。

この屋久島の旅は、
大自然に抱かれたい人を
限りなく満足させてくれることでしょう。



●TEN’sトラベルメンバーの為の旅企画
企画 オフィスTEN
手配 ワールドエキスプレス大阪 兵庫県知事登録旅行業第2-250

http://www.office-ten.net/yakusima/2008/top.htm


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【5】◆◇天河太々神楽講◆◇
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    ●自分の根源と向き合う珠玉の時間● 

       人         
       ̄Y ̄*
         天河太々神楽講2008
          『天の川に祈る』☆
      万物の「いのち」尊ぶ・旧暦七夕祭 *

        2008年8月6日(水)〜8月8日(金)
           現地集合・現地解散

     ★奈良・天河神社七夕祭 お手伝いワーク
   http://www.office-ten.net/tatakagura/2007.htm

奈良県吉野の山里で、千三百年続いている天河神社。
自分自身の根源と触れるため、太古より遠路はるばる人々が訪れる聖地
で年に一度、旧暦七夕の日に行われている「七夕祭」。

ご神殿でのご神事…
仏式による万霊の御霊供養…
天の川に於いての灯篭流し…

幻想な美の世界と祈りの時間が、天河の七夕祭です。
この『天の川に祈る』と題したワークでは
神社でのお祭り準備から、ご神事の当日のお手伝い、そして翌日の
後片付けまでと、全てに関わらせていただきます。
年に一度の特別なワークですので、神社から白作務衣をお借りします。
神社に奉職されている方々のご指導のもと、お祭りに参列される方々を、
静かにお迎えしてください。

神社のお掃除や短冊の受付け
奉納される馬弓ご神事のお手伝い
そして、二千基にも及ぶ灯篭流しのお手伝い

それら全てに関わる時間が
参加されたお一人お一人の魂心再生に
きっと繋がることでしょう。

静かな祈りの時、是非ご一緒したしましょう。
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■平成20年8月6日(水)〜8月8日(金)
      (今年の旧暦七夕は8月7日(木)です。)
■参加費 36,000円
   2泊3日お食事つき 宿泊 神社正面『本家 柿坂』別館貸切

■現地集合(13:30)・現地解散(12:00)
お申し込み頂いた方には交通機関などの詳しい資料を送付いたします



『天河太々神楽講・天の川に祈る』によせて・・・

自然の中に神々があるというアニミズム的な考えは、私たちのはるか遠
く5千年以上も前の縄文時代の祖先たちから、脈々と続いてきました。
その生命観は、今も日本の神社の中で生きつづけていますが、中でも、
宗教という枠を越え、国や人種、性別、年齢、全ての枠をも越えて、
開かれているのが天河神社です。太古からの聖地として空海や世阿弥を
はじめ多くの先人たちが、自らを見つめる場として、また芸を奉納する
場として訪れています。

天河太々神楽講に講元として、皆さんをご案内する役目を賜ってから今
年で9年目を迎えます。講元とは指導者ではなく、人と大いなる根源と
のつなぎ役です。私は天川の名を名乗らせていただいているので、毎年
この七夕祭の折、感謝の意味も込めて講元をさせていただいております。

この「天の川に祈る」と題したワークは、御神事そのもののお手伝いを
ワークとし、お祭り前日の準備から社殿の掃除、御神事当日のお手伝い
そして翌日の片づけまで、神社の方々、地元の村の方々と共に過ごす、
大変貴重なものです。また、笹に結ぶ短冊に、「真」の祈りの言葉や願
いの言葉を連ねる為のワークショップも祭り前日に行います。

本年も天河における七夕祭りの御神事手伝いへ皆様をご案内しようと思
います。どうぞ、ご自身の根源と繋がりたいと思っていらっしゃる方、
どうぞお待ちいたしております。

                      講元 天川 彩

……………………………………………………………………………………
【6】◆◇ 連載小説◆◇
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<今までのあらすじ>
祥子は、両親の不仲が原因で自分は不幸だと思い続けてきた。が、ア
ルバイト先で知り合ったアパレルメーカー勤務の良一と付き合いだし
たことで考え方が少しずつ変わってくる。大学卒業後は、マスコミに
就職したい、という夢も持っていた祥子だったが、妊娠していること
がわかり、急遽良一と結婚する。臨月も近づいてきたある日、大学の
親友明日香が訪ねてきて、祥子は改めて、結婚ということを考えさせ
られていた…。


『雨弓のとき』 (46)                天川 彩



祥子が娘の真由子を産んだのは、十月に入ってからだった。

「うちの子が、やっぱり一番美人で可愛いね」
新生児室の窓ガラスに、顔をくっつけて覗き込んた良一が言った。
祥子も強く頷いたのだが、同時に笑いが込上げてきた。
「何、どうしたの?」
「だって、こういうのを親バカっていうんだなって思って」
「いや、違うって。本当にうちの子が一番可愛いじゃないか」
良一がムキになるのが、益々可笑しかった。


小さな真由子を抱いて、三人でマンションに戻ると、家の中は大賑わい
だった。この日は、ちょうどお七夜ということもあり、仙台からも良一
の両親や妹の小百合もやってきていた。母の敏子は、エプロンをつけて
張り切って朝から散らし寿司やら天ぷらやらを準備していたらしく、テ
ーブルに盛り付けているところだった。

「おーいよいよ主役登場だな!」
真っ先に玄関に駆け寄ってきたのは、良一の父親だった。もともと細い
目を更に細めて、真由子の顔を覗きこんでいると、良一の母親も飛んで
きた。
「あら、ちょっとお父さん、ズルイわね。先に孫の顔を見るなんて。私
にも見せてちょうだい。真由子ちゃんの顔」
二人が争うように孫の顔を見ていると、横に突っ立っていた良一が言っ
た。
「親父もお袋も、落ち着いてよ。これじゃ、祥子が靴脱いで家に入るこ
とも出来ないじゃないか」
しかし、その声は怒っているわけではなく、嬉しさを隠し切れない声だ
った。
真由子は、リビングの窓際に前もって用意していたベビーベットに真由
子をそっと寝かせて、改めて準備された祝いの席に着いた。
「それじゃ、命名 真由子 でいいんだよな」
良一の父は、何処で準備したのか、半紙と墨と筆を用意して、全員揃っ
たところで、中央に名前と左下に生まれた日を書き込んだ。

「なんだか、こうして儀式じみたお祝いっていうのも風流でいいね」
良一が照れながら言うと、良一の母が真面目な顔で言った。
「儀式じみた、じゃなくって、これもお七夜の儀式なのよ。良一が生ま
れた時だってしているし、きっと祥子さんが生まれた時だって、しても
らっているわよ。ねぇ、そうよね?お母さん」
良一の母が敏子の顔を見た。敏子は、平然とした顔で「そりゃそうよ。
そういうものだもの」と返答した。内心、祥子は敏子がどう返答するか、
この時、急に不安になっていた。が、自分もちゃんと、このように祝っ
てもらっていたのかと思うと、何とも嬉しかった。

「どうして、真由子ちゃんって名前つけたの?」
食事をとりながら、ビールで既に真っ赤になっていた小百合が祥子に聞
いてきた。
「つけたの、良一さんなの」
真由子が生まれた日、病院にやってきた良一が、顔を見るなり開口一番
に「この子の名前、真由子にしよう」と言ったのだ。祥子は「高梨真由
子」と呟いてみて、いい名前だと思ったので反対もしなかった。が、な
ぜ、と質問されて、改めて自分も良一に聞いてみたいと思った。

「え?真由子って付けたのは、真っ直ぐ自由に生きて欲しいって意味も
あるんだけど、まことのおおもとを生きる子になって欲しいとも思って
ね」
「え?まことのおおもと?何それ」
「だから、真由子の真はまことでしょ。由って文字にはおおもとって意
味もあるんだ。まことのおおもと。なんか凄いでしょ」
「お兄ちゃん、ほんと凄いよ。真由子ちゃんって名前、凄くスケールが
大きいし格好いいよ」
祥子も驚いた。そんな意味があって付けていたとは知らなかった。
「本当にいい名前ね」
良一の母も、命名と書かれた半紙を見とれながら、呟くように言うと、
良一が頭を掻きながら苦笑いした。
「いや〜。なーんちゃってなんだ。実はさ。初めて顔を見た時、なんだ
か真由子って顔しているな、なんて思って。祥子に言ったら、名前の響
きがいいね、なんていうしさ。それで真由子って決めたんだけど、改め
て文字にして書いてみて、意味を調べていたら、俺も感動しちゃって」
「なんだ。やっぱりね。お兄ちゃんが最初から、そんなに学があるとは
思っていなかったから、ビックリしちゃった」

皆が一斉に大笑いしたので、驚いた真由子が泣き出した。

                          つづく…

 
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【7】◆◇編集後記◆◇
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先週末は、駆け足で準備した四川大地震のチャリティイベントを無事開
催させていただきました。お越しいただきました皆様、本当にどうもあ
りがとうございました。また、チャリティの宝飾品をご購入いただきま
した皆様、本当にご協力ありがとうございます。
お陰様で、現在五十万円以上のお金を振り込むことができました。まだ
宝飾品はしばらくの間、取り扱いをすることになっています。皆様の更
なるご協力宜しくお願いします。
明日は夏至。ホピのカチーナ達がサンフランシスコピークスに戻る日で
す。そんなこともあり、明日はホピの仲間たちの同窓会。
久しぶりに、ホピの話をしてきます。               
                           aya