2008/06/06 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  
   ☆★☆   TEN's magazine 第321号   ☆★☆      

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こんにちは、天川 彩です。

今日の東京は、久しぶりに朝から、梅雨の合間のいいお天気です。
私は雨の日も好きですが、晴れの日は元気が漲りますね!
今週は、先週私が自分で予告?した通り、朝から晩まで、ずっとマラソ
ンを続けているような状態でした。

そんな中で、日曜日「WAHAHA本舗」の全体公演を観に行ってきま
した。いや〜よかったです!あまり具体的には、とても恥ずかしくて?
差し障りのない程度にしか書けませんが、とにかくWAHAHA本舗に
私は深〜い人間愛と哲学を感じました。
今、この内容を書くのは不謹慎かな?とも若干思いましたが、人間バラ
ンスも大切ですよね。と、いうことで今日のコラムに書きます。

さて、緊急支援のチャリティですが、本当の多くの皆様が、直に反応し
てくださって有難い限りです。
早速に、チャリティ品をご購入いただいた皆々様、イベントのお手伝い
に手を挙げてくださった皆々様、イベントに参加申し込みしていただい
た皆々様、多くのお知り合い、お友達に伝えてくださった皆々様。
本当にありがとうございます。

新聞各社にもイベントのお知らせを送ろうと準備していると、東京新聞
さんより電話が。6月10日にイベントのお知らせを掲載してくださると、
連絡がありました。どなたがお伝えくださったのでしょう。

本当に皆さんのお心をずっと感じた一週間でした。
どうか引き続き、ご支援・ご協力のほど宜しくお願いいたします。
イベントまで後1週間。お近くの方は、是非ご参加いただけましたら幸
いです。

というのも、緊急支援の呼びかけ人である津村さんが、取り急ぎ、イベ
ントまでに、四川へ行って、李兄弟の声も直接もらってくることになり
ました。帰国はイベント前日の13日夕刻です。
普通なら、大丈夫?イベント前日に帰国だなんて、もし飛行機が遅れた
らどうするの?と気をもむのかもしれませんね。でも、私は全く気にな
りません。大丈夫、なるようになります。
ですので、どうぞ、是非当日お越しになれそうな方は、万障繰り合わせ
て、是非是非、会場までいらしてください。

実はここだけの話ですが(ってかなりオープンですよね)現在までに、
参加お申し込みいただいている方は5名なんです。あらら…。私はそっ
ちに今は気をもんでいます。
きっと来週には多くの皆様にお越しいただけると信じておりますが、と
にかく人から人への伝言ゲームのように…東京近郊にお友達、お知り合
いの方々がいらっしゃいましたら、どうかお知らせいただけると嬉しい
です。皆で、共にある命、考えていきたいと思っています。

そんな訳で、どうしても頭の中は、今、そのこといでいっぱいですが、
オフィスTEN本体としては、明日から一泊二日で富士山ツアーへ行っ
てきます。先週、最後の呼びかけで急遽、数名の方々が反応してくださ
いました。お天気も味方してくれているようですので、きっと素晴らし
い富士山との時間になることと思います。
先週はWAHAHAで大笑いしてきましたが、今週は富士山で皆さんと
共に心身ともに、リフレッシュしてきます。

それから、日経ヘルス7月号が出ました。今回の号は水がテーマなので、
私も、コラムに水の話を書きました。その中に、ホピ族の話や富士山の
話も、少し織り込んいます。よろしければ、お近くの書店・コンビニで
是非お求めくださ〜い。

さぁ、長い間お休みしていた連載小説「雨弓の時」。ようやく今週、続
きを書きました。あまりにも長い間休んでいたので、今までのあらすじ
少し長めに書きました。 どうぞお読みください。

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◇◇今日の目次◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇
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1・コラム・風の文様============「笑は人生の宝もの」
2・TEN占い==========今週は「メディスンカード」占い
3・緊急企画======震源地の少数民族支援の為の緊急イベント!
4・TEN’ショップ========「チャリティ販売のお知らせ」
5・天と大地に感謝する旅=======「屋久島ツアー 2008」
6・連載小説=================「雨弓の時」45 
7・編集後記=====================ひとりごと
……………………………………………………………………………………
【1】◆◇コラム・風の文様◆◇
……………………………………………………………………………………

□ 「笑いは人生の宝もの」

WAHAHA本舗。
体を張った笑いの劇団、という認識程度ではあったが、その存在を知っ
たのは、多分二十年以上前だったと思う。

まだ、久本さんも柴田さんも、今ほどの知名度はなく、タレントさんと
いうより、劇団の人としてのカラーが全面に出ていた。
当時は珍しかった全身タイツのようなもので踊っていたり、劇団の人た
ちが全員、虫の着ぐるみのような被り物でテレビ出演していた姿を、覚
えている。最初にテレビで観た時には「?」と思ったが、妙に惹かれた。
いつか、機会があれば舞台を観てみたい、と思いながら、なかなかその
チャンスは無かったのだが、ようやくその機会が巡ってきた。

実は、WAHAHA本舗の座長、佐藤正宏さんは、かなりのご近所さん
で長女の同級生の家の隣に住んでいる。
「笑いは人生の宝もの」のように思っている次女にとって、WAHAH
A本舗は、まさに目標とするところらしいのだが、その思いが天に通じ
たのか。長女の同級生を通じて、次女は佐藤さんのご宅にお邪魔させて
もらう機会を得た。そして様々なお話と共にアドバイスをしてもらい、
WAHAHAの小さな公演のほか、海外のミュージカルから、能まで様
々な舞台を観に行くようになった。
そんな娘から「二年に一度のWAHAHA本舗の全体公演があるから、
一緒に行こうよ」と誘われたのは、三ヶ月ほど前だった。

即効で申し込んだら、なんと最終公演日の最前列のチケットが届いた。

更には、娘の思いがまたまた通じたのか、今度は公演のお手伝いとして
毎日、本公演に通うことが決まった。
運よく、大学の授業もその日程の時には、ほとんど重なっていなかった
らしく、アルバイトは一週間お休みをもらったようだ。

公演日前から手伝いが始まり、初日を迎えてからは、連日夜遅く帰って
きては「凄い舞台だよ、面白いから楽しみにしていてね!」と連呼して
いた。

東京公演最終日。幕が開き…ややしばらくは、想像もしていなかった世
界にただ驚いた。いや驚きというより、衝撃だった。

そういえば、一昨年、紅白歌合戦。歌手の名前は忘れたが「全裸のスー
ツ」を着た女性ダンサーが多数登場したシーンで話題となった。
あれは、WAHAHA本舗から借りたもの、と何処かで読んだ記憶があ
り、へぇ、とその時は思っていたが…目の前で見ると、やはりビックリ。

どのように書けば、誤解がないだろうか。
ひらたくいえば、エロ笑いの連打。
隠されたものや秘められたエロスではなく、あまりにもカラッとして堂
々とした、エロ笑い。
女性は全裸スーツだが、男性はそのまま裸で多々登場。

WAHAHA本舗の舞台を普段から観ている多くの人は、あたりまえの
こととして受け止めていたのだろうが、娘からそんな話を一言も聞いて
いなかった私は、いやはや度肝を抜かれた。なにせ最前列。いろんなも
のまでよく見える。

とにかく、次から次に繰り広げられる歌やダンスに合わせて、人間の本
能と共にある笑い、そして次第に人間の哀愁を、見事に繋いでいく。
そこには有名も無名も無い。ただ役者たちが、真剣に演じ踊りながら、
笑いを作り出し、会場のお客さんも共に一つの空間を作り上げていく。
心に無理な規制を設けている人は、全く拒絶するか、そのブロックが吹
っ飛んでしまう、そんな舞台だった。
最後には「人間ていいなぁ」と思わせてくれて、なんとも感動した。

その日、お手伝いをお休みして、私と共に、最前列で舞台を観ていた娘
は、公演が終了するとさっさとスタッフTシャツに着替えて、人でごっ
た返しているロビーに消えていった。

翌朝、オールナイトの打ち上げから帰ってきた娘に、話を聞くと、親し
くなった役者さんと、二次会で移動した新宿のゲイバーで、チベット問
題のことについてずっと話していたらしい。

私は、娘がWAHAHAの舞台で全裸スーツで踊れる日がいつか来るこ
とを楽しみに待っていることにした。


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【2】◇◆TEN占い◆◇
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所詮、天川 彩が占っているものですので、あまり深刻にとらえず、気
楽にお遊びとして楽しんでくださいね。
                          
今週は[メディスンカード]で今週の運勢を占ってみました。

2008年5月31日(土)〜6月6日(金)あなたの運勢

〈1月生まれ〉
多くの人と何かを共有するときです。ただ、一人でいる時間も同時に大
切です。今週は、バランスをとって時間を過ごしてね。

〈2月生まれ〉
あなたの想像以上にいろいろな物事が展開していきそうです。頭であれ
これ考えようとせず、流れに身を任せてね。

〈3月生まれ〉
あなたの力を必要としている人がいます。どうか、出し惜しみせず、そ
の力に答えてね。きっと思いもしない方法で、またあなたに返ってきま
す。

〈4月生まれ〉
上手い話に乗ろうとはしていませんか。今週は少しでも疑問を持つこと
には動かない方が得策です。

〈5月生まれ〉
あれもこれもと、手を出しすぎて全てが散漫になってはいませんか。今
週は、今、一番何をするべきかを、もう一度見つめ直してみてください。
余計なものは手放す勇気を。

〈6月生まれ〉
あれこれ頭で考えすぎて、必要以上に深刻になってはいませんか。今週
あなたに必要なキーワードは、おおらかさです。深呼吸をするときっと
楽になりますよ。

〈7月生まれ〉
自分の短所ばかり気になって、落ち込んではいませんか。あなたのよい
部分を、今週はあなた自身で見つめてください。

〈8月生まれ〉
あなたの周りの人に嘘をついてはいませんか。そして、あなた自身にも
嘘をついてはいませんか。今週は、本来のあなたを取り戻すときです。
勇気を出して動いてね。

〈9月生まれ〉
今週は人に指導することと、人から学ぶことと、両方必要となりそうで
す。気がつくと目標としていたことが、一つ達成もできていそうですよ。

<10月生まれ〉
家族や職場の同僚などの中で、自分より劣っている人を見つけようとは
していませんか。今週、あなたに必要なキーワードは、平等です。劣っ
ている人など誰もいないことを思い出してね。

〈11月生まれ〉
自分に厳しすぎてはいませんか。今週はあなた自身の今までの功績をじ
っくり見直してみましょう。そしてあなた自身をしっかりねぎらってあ
げてください。

〈12月生まれ〉
今週はエネルギーが満ち足りている週です。強い精神力や、体力もあり
そうなので、人の為にたくさん動いてね。

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【3】◆◇緊急イベントの告知◆◇
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              <緊急企画!>

          四川大地震・震源地・ブン川
   チベット族・チャン族・回族・漢族全ての被災者の為の
          支援チャリティイベント
     
            「繋ぐ命・繋ぐ祈り」


   日 時:2008年6月14日(土)
            13:00〜15:00(開場12:00)
   開 場:ユートリヤ マスターホール 
            すみだ生涯学習センター B棟2階
              
   参加費:1000円
            <アクセス>
   地下鉄半蔵門線 直結東武線・京成線「曳舟」駅 徒歩五分


            <プログラム>
●第一部● 
 お 話:「震源地・ブン川に暮す少数民族と
             中国という国から見える世界」
       津村喬氏(京都 気功文化研究所 代表)
 ビデオレター:「四川の今」現地からの近況報告リポート上映予定 
●第二部●  
  対 談:  「繋ぐ命・繋ぐ祈り」
      津村喬(気功家)×天川 彩(作家・プロデューサー)
 体 験:  みんなでやってみよう 元気になる気功

    *プログラムは若干変更になる可能性もあります。

イベントの詳細・お申し込みは
     http://www.office-ten.net/sos/top.htm

2008年5月12日に発生した、四川大地震。
震源地であるブン川は、チベット族と共に自然信仰を持ち古代少数民族
ともいわれるチャン族の人々、そして少数ではありますが、回族という
イスラム教を信仰する少数民族も暮らす、山間の静かな地域でした。
しかし、経済格差が広がる中で少数民族の人々の暮らしがひっ迫してい
た時、今回の大地震に見まわれました。現在、震源地へのメディア規制
もあり、ほとんど現地の情報が届いていない為、その安否が気遣われる
ばかりです。

そんなブン川の少数民族の人々と、長年交流し支援し続けてきた、四川
の大学教授、李遠国氏と李金遠氏、そして李兄弟と二十年近く交流し、
ブン川の少数民族の人々とも交流してきた気功家の津村喬氏が、今、現
地へ向けての直接的な支援救済活動に動き始めています。私たちも、何
か協力できないかという思いから、今回緊急に支援の為のチャリティイ
ベントを企画いたしました。

当日は、報道では伝えられていない四川からの現状報告や、気になって
いる中国における少数民族の実情などもお届けいたします。
また、悲しくマイナス要因な話ばかりではなく、紀元前からの歴史ある
中国という国の本来の奥深さや、多民族の共存と世界の未来の話まで、
幅広く「共にある命」を大切に考える一日にしたいとも思っております。
 

どうぞ、お一人でも多くの方々のご参加、ご協力宜しくお願いいたしま
す。

                          天川 彩

……………………………………………………………………………………
【4】◆◇TEN’sショップ◆◇
……………………………………………………………………………………
              緊急支援
        
     ●チャリティ宝飾アクセサリーご購入のお願い●

   震源地・ブン川は、アバ・チベット族・チャン族自治州です。
    ここで暮していた チベット族の人々が作った宝飾品が
          今、日本にあります。

  中国政府からの支援の手が入りにくい少数民族の被災者の方々へ
          少しでも思いを馳せてください。


諸経費を除いた売り上げは、津村喬さんより李兄弟を通じて、震源地の
最も被害が大きかった方々の直接的な支援に使われます。

これらの宝飾品を作ったブン川のチベット族の人々が、現在、どれぐら
い無事でいらっしゃるのか、皆目わかりませんが、この土地で作られた
宝石アクセサリーが、ブン川のチベット族の人をはじめ、チャン族・回
族・そして同じように被災された漢族の人々までをも少しでも救うこと
に繋がるのならば…

私たちも祈るような思いで販売いたしております。

どうぞ、皆様の温かなご支援・ご協力を宜しくお願いいたします。


∞震源地・ブン川のチベット族の人々がつくった宝飾品∞
・チベット特産の瑪瑙(メノウ)にブッターズアイを焼きいれた天眼・
・チベットがかつて海底にあった頃の名残である珊瑚・
・チベットのターコイズ・これらを組み合わせて配して作られた宝飾品
です。
  ◆ネックレス        10、000円 (各種)
  ◆ブレスレット(フリーサイズ)6、000円 (各種)
 
  数が少なくなっていたり、売り切れている品もあります。

       http://www.office-ten.net/sos/acs/top.htm  

         こちらで、ご紹介・販売いたしております。


  どうぞ、皆様の温かなご支援・ご協力を宜しくお願いいたします。

   *イベント会場では、直接手に取ってお求めいただけます。


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【5】◆◇天と大地に感謝する旅 ◆◇  
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  今年の夏休み、出来ることなら本物の「屋久島」にあいたい!
   そんな…人たちにだけ、私たちがそっと案内する
       静かで深い 屋久島の旅です。

    
     ☆天と大地に感謝する旅 Walk27☆
      『屋久島ツアー 2008』
 2008年7月17日(木)〜7月20日(日)

    3泊4日 全行程 朝・夕食つき
         定員18名

(定員になり次第、募集は締め切らせていただきます)
      最低施行定員8名
 
 *東京発着以外をご希望の方は、別途ご相談ください

 詳細・お申し込みは
 http://www.office-ten.net/yakusima/2008/top.htm

「もののけ姫」の舞台となった苔森の世界。
天界に聳え立つような巨石や
どこまでも澄んだ水。
空と海の蒼さが溶け合った
原色の世界。

世界自然遺産にも登録されている
日本が世界に誇る島、屋久島。

その島の美しさと豊かさ
そして神秘の森を心ゆくまで
ゆったりと体感する…。

この屋久島の旅は、
大自然に抱かれたい人を
限りなく満足させてくれることでしょう。


1泊目・・『四季の宿』 《尾之間》
    
屋久島の霊峰 モッチョム岳を真正面に拝むことのできるお宿に泊まり
ます。『四季の宿』は、お宿の方のおもてなしが最高。
特に、自家製無農薬野菜と地元の漁師さんから仕入れたヘルシーな
屋久島ならではの食事が絶品の宿です。
 
 
2泊目・・『屋久島グリーンホテル』 《安房》
 
皇太子殿下・同妃雅子様も泊られたこのホテル。お部屋は嬉しいオーシ
ャンビュー。早起きをしたならば、お部屋の窓から水平線から昇る朝日
も望めます。また、この宿は岩盤浴の施設もあるので、白谷雲水峡の苔
森を歩いて、ちょっと疲れた体をほぐすこともできますよ。
 

3泊目・・『屋久の子の家』 《永田》
 
   
お宿の自慢は総屋久杉造りの「天然にがり風呂」。
運がよければお風呂の窓から東シナ海に沈む夕日を見ることができるか
もしれません。満天に瞬く星空を仰げるゆったりとしたテラスもありま
すよ。実はお宿のオーナーは、屋久杉原生林の保護活動の第一人者。N
HKのプロジェクトXでも紹介され、屋久島観光協会の会長さんでもあ
ります。屋久島最後の夜は、森の深い叡智のお話や神々のお話を伺うこ
とができれば最高ですね。



●TEN’sトラベルメンバーの為の旅企画
企画 オフィスTEN
手配 ワールドエキスプレス大阪 兵庫県知事登録旅行業第2-250

http://www.office-ten.net/yakusima/2008/top.htm


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【4】◆◇連載小説◆◇
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<今までのあらすじ> ー今回はかなり長めに書きますー

幼い頃から親の不仲を見て育った祥子は、自分のことも親のことも好き
になれずにいた。祥子の唯一の家族と思ってた祖母が他界し、両親も離
婚した後は、心を閉ざして生きていたのだが、大学で黒沢明日香と出会
い、初めて友と呼べる存在を知る。

大学2年の秋。短期アルバイト先で、知り合ったアパレルメーカー勤務
の高原良一と出逢うことで、祥子の内面はどんどん変化していく。
良一も、過去に婚約者に「価値観が違う」と結婚直前に突然別れを突き
つけられた心の傷を持っていた。しかし、良一も祥子と出会ったことで
心の壁がとれていき、やがて二人は付き合うことになる。

良一の影響で、祥子は親への憎しみの感情が急速に薄らぎはじめた頃、
母のもとを去り、別の女性と再婚していた父親が、再び母の元に戻り、
やがて安らかに他界する。その一見不可解な両親の姿を見ながら、祥子
は少しずつ、大人の心情というものを理解していく。

恋も学業も順調に思えたそんな頃、祥子は、体の異変に気づく。
卒業後の進路を、いつも親友の明日香と語り合ってきた祥子にとって、
妊娠は嬉しいものではなかった。しかし、良一の説得で結婚を決意し、
大学を退学する。更に仙台の良一の両親に会い、家族の暖かさに触れた
祥子は、少しずつ、自分がこれから築く家族像というものを思い描くよ
うになる。

臨月も近づいてきた頃、明日香が訪ねてくる。珍しく弱気な明日香は、
実家の姉が離婚すると話し出す。
表面上幸せのように見えた夫婦が実は、関係だけを取り繕いながら暮
していた、という話を聞いた祥子は…。



『雨弓のとき』 (45)                天川 彩


明日香を見送り、家に帰った後も、しばらく祥子は考え込んでいた。

「どうしたの?電気も付けないで」
突然、部屋の明かりがつき、良一の声が後ろからしたので、祥子は
驚いた。
「わっ、びっくりした。あれ今日は早いのね」
「嫌だな。今朝、言ったじゃない。今日は展示会だから、早く帰る
よって」
「あ、そうだった。良一さんの好きな煮込みハンバーグ、今夜は作
っておくって言っていたのに…ゴメン」
「そんなことはいいよ。でも、どうしたの?調子悪い?…まさか、
えっ?そうなの?生まれるの?」

良一は、そういうと慌てて椅子に座っている祥子の前まで駆け寄り
はち切れそうなお腹を、そっとさすった。
「違うって。予定日まで後一ヶ月以上あるんだから。今、陣痛がき
たら早すぎちゃうもん」
「そうか。なら安心した」
「うん」
「けど、どうしたの?今日、何かあった?」
「実はね、明日香が今日、久しぶりにうちに来たんだけど。明日香
の上のお姉さん、離婚することになったんだって」
「そう…か。まぁ、人にはそれぞれ、色々な事情があるからな」
「そりゃ、そうなんだけど。明日香は、お姉さん夫婦はずっと幸せ
に仲良く暮していると思っていたから、かなりショックらしくって」
「そうだろうね」
「そうだろうねって、随分簡単よね。明日香、珍しく泣いていたん
だから」
「そうか。ごめん。でもさ、人の家の事情はさ、さっきも言ったけ
れど、それぞれだから」
「原因は旦那さんの浮気なんだって」
「そうか」
「浮気」
そういうと、祥子は良一の顔をジロッと覗き込んだ。
「え?何?」
「どうして男の人って、浮気するのかなぁ。うちの父もそうだった
し。どうして一人の奥さんを大事にできないのかな。良一さんは、
浮気していない?」
「する訳ないでしょ。どうしちゃったんだよ。今日の祥子、変だぞ」
「ほら、奥さんの妊娠中とか、出産中とかに浮気する、とかってよ
く聞くじゃない。明日香のお兄さんだって、子供3人もいるのに、別
の人と長い間浮気していたらしいし」
「おい、祥子。大丈夫?」

良一は、祥子の背後に廻り、椅子越しに背中から抱きしめた。
「祥子、いい?ちゃんと聞いてね。さっきも言ったけれど、人はそ
れぞれなんだよ。そして、人には組み合わせや相性っていうものも
ある。組み合わせや相性が悪ければ、どんなに努力してもダメな場
合もあるよ。でもさ、組み合わや相性が良くたって、互いに互いの
ことを大事にする気持ちが薄れてしまったら、段々ダメになってい
んじゃないかな。僕はそう思うよ。ねぇ、祥子。僕たちは、組み合
わせや相性もいいだろう?」

祥子は黙ってコクンと頷いた。

「だったら、互いを大切にしていこうよ。お互いがそういう気持ち
でいる限り、男だって女だって、浮気なんてしないよ。一時の気ま
ぐれや勢いで、そんなことをして、世界で一番大切な人を失うよう
なこと、よほどのバカじゃない限りしないよ。そして、そんなこと
疑われることも悲しいよ」

再び、祥子は深く頷いた。

「さぁ、祥子。それじゃ、今夜は気分を変えて、久しぶりにデート
でもしようか。子供が生まれたら、当分二人でデートなんて、出来
ないだろうしね」

祥子は、良一と結婚して本当によかったと、しみじみ思った。

                        つづく…    
       


……………………………………………………………………………………
【7】◆◇編集後記◆◇
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チャリティイベントのトップページに掲載している写真。これは、木下
朋さんという方の写真です。このイベントを開催することが決まった時
誰かブン川の、少数民族の写真を撮影している人はいないかと、一日中
インターネットで探し、ようやく木下 朋さんのページに辿り着きました。

メールで何度か連絡を取らせていただいたのですが、本当に優しい方で
快く承諾していただけました。
こちらが木下朋さんのHPです。http://www.om-manimani.com/
HPを拝見しているうちに、チベットへ旅行をしているような気持ちに
なるような、素敵なページです。
今、震源地より西はチベット。震源地のことと共に情報が途絶えている
今、やはりとてもとても気になります。。。
                           aya