2008/04/05━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   ☆★☆ TEN's magazine  第312号  ☆★☆ 
  
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.office-ten.net

こんにちは、天川 彩です。

気がつけば、もう4月ですね。
今年はもの凄いスピードで日々が過ぎているように感じます。誰の人生
にも、いろいろなことはあるわけで…苦あれば楽あり。日々がなんとも
色鮮やかです。「あ〜生きているなぁ」と実感する毎日です。

今日は、伊勢神宮の式年遷宮シンポジウムが、東京大手町の経団連ビル
で行われていたので、仕事をちょっと抜け出して行っていました。
なんと、事務所を出てから十五分で会場に着き、改めて東京のど真ん中
に私たちはいるのだなぁ…などと、今さらながらに驚いてしまいました。
それはさておき、年に一度行われているこのシンポジウム。今年で三回
目なのですが、なぜか毎年ご縁があり、今のところ皆勤で出席していま
す。今日の講演者は、東大大学院教授の菅野覚明さんと、作家の曾野綾
子さん。仏教者でもある菅野さんと、キリスト教徒である曾野さんが、
それぞれの立場から見た「伊勢神宮」そして「日本」という国の清浄な
る美しさや日本人の心のありようなど、大変貴重なお話を伺うことがで
きました。

日本人の信仰心、というテーマでお話を伺いながら、改めて今のチベッ
トが今置かれている状況が胸によぎりました。中国政府が征服や制圧、
利用や支配といった考え方の方向性を、どのように転換していけるか、
とても難しい問題だと思います。しかし事態が表面化し、オリンピック
といみじくも時期が重なっていることは、深い意味のあることだとも思
います。そして、どんな状況下にあったとしても、ダライ・ラマ法王は
揺らぐことなく、騒ぐことなく凛とされ、常に正しい判断で前に進まれ
ていくこと信じています。結局最後に動くのは、神仏でしょうし…。
ただ、やはり人間と人間が、互いのことを理解しあい、人として未来に
繋がる解決を中国政府にはしてもらいたいと願うばかりです。

さて、今週先週お知らせいたしましたように、アリゾナでホピ族とナバ
ホ族の可愛い小物をTEN’sショップ用に見つけてきました。HPに
一挙アップしています。
これからの季節にピッタリの、涼しげなストーンアクセサリーや、ナチ
ュラル感が心地よいシダーウッドのブレス&ネックレスアクセサリーな
どキュートでお手ごろなものをご紹介しています。また、今回は帽子や
ペトログラフブローチ、ホピぬり絵なんていう珍しい物も見つけてきま
した。

どれも、ほとんど一点ものです。いつも早々に売切れてしまいますので
気に入ったものがあれば、お早めにゲットしてくださいね。

それから、お待たせしました!
3年ぶりになるTENの屋久島ツアーが、ようやく決定しましたヨ。
初めて屋久島を訪れる人にも、何度も屋久島に行っている人にも喜んで
いただけるような、屋久島満喫ツアーになりました!!
詳細は、本分をご覧ください。
また、HPの屋久島ツアーのお知らせページを見ているだけでも、屋久
島に行っているような気分になれる、そんなぺ−ジですので、是非ご覧
くださ〜い。

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◇◇今日の目次◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇
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1・コラム・風の文様===========「HappyTime」
2・TEN占い===========今週も「タロットカード」占い
3・TEN’sショップ====「アリゾナの小物アクセサリーほか」
4・遂に決定!=============「屋久島ツアー2008」
5・本物志向のプログラム====「伊勢詣と木曽の神木の森ツアー」
6・連載小説================「雨弓のとき」(39)
7・編集後記=====================ひとりごと
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【1】◆◇コラム・風の文様◆◇
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□「Happy Time」

先日、『魔法をかけられて』という映画を観た。

ディズニー映画で育ったような私は、この年齢になってもディズニー映
画が大好きだ。今まで上映されてきたディズニー映画は、ほとんど劇場
でロードショー公開時に観ているかもしれない。

ウォルト・ディズニーという一人の人物が描いた夢と構想。本人がこの
世から去った後も、その意志や夢を受け継いだ者たちによって、次々と
新たなエンターテインメントが生まれていく。
一人の人物の力というより、彼が描いた夢と構想が、人々を幸せに導く
「真」の力を持っていたからなのだろう。だからこそ本人の存在を超え
て、多くの人々が更に大きく展開していくことが出来たのだと思う。

現在、公開されている『魔法をかけられて』という映画。
これは、ディズニー映画に登場する、お姫様ストーリーを組み合わせた
ファンタジー映画なのだが、実写とアニメが不自然なく組み合わされて
いるところが面白い。
『お姫様が王子様と出会い、真実の愛を知る』という定番のストーリー
をほんの少しひねっただけの単純なストーリーなのだが、人が幸せに思
えるエッセンスが映画の中に詰まっているので、観た人々が嬉しくなる
のだ。

実は、この映画を私はアメリカから戻る飛行機の中で観た。眠気も去り
とても幸せな気持ちになったのだが、やはりこの映画は大スクリーンで
夫と一緒に観たいと思った。
帰国後、夫にリクエストしてみると、すぐに応えてくれて…先週末、映
画館に連れて行ってくれた。
週末の日中ということもあり、さぞや子どもたちが多いのかと思いきや、
劇場は大人たちで満席だった。やはり映画は大スクリーンで観るのがい
い。特にディズニー映画のような色鮮やかな綺麗な映像は、一種の芸術
のようでもある。やはり二度目であっても感動した。そして上映終了後。
ほとんどの観客が、かなり長いロール全てが終了し、劇場が明るくなる
まで立ち上がらなかったことには驚いた。

ディズニー映画を観に来る大人たちは、映画マナーもいいのだな、と思
うと、なんとも嬉しくなってしまった。
      

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【2】◇◆TEN占い◆◇
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所詮、天川 彩が占っているものですので、あまり深刻にとらえず、気
楽にお遊びとして楽しんでくださいね。
                          
今週も[タロットカード]で今週の運勢を占ってみました。

2008年4月5日(土)〜4月11日(金)あなたの運勢

〈1月生まれ〉
あなた自身のことで手一杯になり、つい周囲の人への心配りを忘れてし
まいそうです。今週は、出来る限り周囲の人々への思いやりをいつも以
上に心がけてね。

〈2月生まれ〉
フットワークも軽く、行動を起こすのにピッタリの週です。また情報収
集にも適しているので、調べごとにはかどりそうですよ。

〈3月生まれ〉
縁の下の力持ちとなる一週間になりそうです。情けは人の為ならず。人
の力になっているつもりが、あなた自身の元気に繋がっているかもしれ
ません。

〈4月生まれ〉
自分の利益の計算ばかりをしていると、正しい判断ができなくなるかも
しれません。目先のことに捕らわれず、大らかな気持ちで何事も行って
ください。

〈5月生まれ〉
あなた自身を見直す時期です。今の生活スタイルは、あなたにふさわし
いかどうか、細部にわたりチェックしてみてください。今週は改革の時
かもしれませんよ。

〈6月生まれ〉
何事にも、少し頑固になっているかもしれません。今週は柔軟な考え方
になるよう努力してみてください。また無駄な執着心も捨てたほうがよ
さそうですよ。

〈7月生まれ〉
他人より、一段高い目線で接してはいませんか?つい謙虚さを忘れてい
ると、大切な人たちまで、遠くへ行ってしまうかも。人は平等であるこ
とを忘れないでね。

〈8月生まれ〉
心の中にある甘えから、つい誘惑に乗ってしまいそうになるかもしれま
せん。後悔してからでは遅いですよ。今週は、自分を律する気持ちを忘
れずに、持ち続けてくださいね。

〈9月生まれ〉
平凡に暮すことは尊いことです。心の平和の為にも、突飛な行動や軽は
ずみな行為は避けたほうがいいでしょう。今週のキーワードは慈愛と秩
序です。

〈10月生まれ〉
興奮しやすくなってはいませんか?また、自分に都合の良い解釈や思い
込みで、後先考えず突っ走ろうとはしていませんか?今週は、行動を起
こす前に深呼吸をして、冷静さを取り戻してください。

〈11月生まれ〉
多才な能力を発揮しそうですが、周囲に目を向けることを怠ってしまう
と、批難されることにも繋がってしまうかも。パフォーマンスではなく
誠意を持って、一つ一つ取り組んでね。

〈12月生まれ〉
自分の心の中に、思うことがあっても、周囲の人から声を出してもらう
ことを待っていては、解決の目処はたちません。勇気を持って、あなた
の意志をはっきり伝えてね。

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【3】◆◇TEN’sショップ◆◇
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■「アリゾナの小物たち&アクセサリー」を合計1万円以上お買い上げの
方、先着20名の方に「ホピ族ポストカード」又は「可愛いネイティブシ
ール」をプレゼントいたします!

今回、見つけてきた品物を、ほんの一部ご紹介すると…

 ◆ペトログラフブローチ…4200円
  先住民族の岩絵をモチーフにした、お洒落で存在感のある
  ブローチです。3点 各種1点×3

 ◆ナバホ族 シダーウッド ブレス&ネックレスセット …3800円 
  ナバホ族のおばちゃんやお母さんたちが、
  お守り代わりにつけている木の実のアクセサリー。
  ビーズとの組み合わせがとっても素敵です 9組 各種1点×9

 ◆ホピ族  DON'T WORRY 帽子(キャップ)…4200円
  ホピ族の村にあるお店の中でも、一番好きなこのお店。なんといっ
  ても、お店の人々が素敵なのです。個人的にもお気に入りの帽子を
  カーキとブルー、カーキとグレー、一点ずつ仕入れてみました。
  サイズはフリーです。 
 
 ◆ネイティブウィンドーベル …4500円
  ココペリタイプとドリームキャチャータイプ。
  どちらも、涼しげで可愛い音がします。
  ドリームキャッチャータイプは、やや大きめですので
  存在感もバツグンですよ。  各種1点×2 


ほかにも、「いいな!」と思った品物だけをチョイスしてきました。
一点ものがほとんどですので、コレッ!と思った品は早めにお買い求め
ください。

<アリゾナの小物たち>
http://www.office-ten.net/shop/arizona/2008/top.htm



尚、週末はHPの更新ができません。メール先着順で販売いたしますの
で、既に売り切れになっている場合は、予めご了承ください。週末にご
注文メールをいただきました皆様には、週明け返信させていただきます。



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【4】◆◇遂に決定しました!!◆◇
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     オフィスTENの旅の原点である
      屋久島ツアー3年ぶりに実施。

   
  だから…究極の屋久島の旅をお届けします
 
   『屋久島ツアー 2008』

 2008年7月17日(木)〜7月20日(日)
       東京発着128,000円
    3泊4日 全行程 朝・夕食つき
         定員18名

(定員になり次第、募集は締め切らせていただきます)
      最低施行定員8名
 
 *東京発着以外をご希望の方は、別途ご相談ください

 詳細・お申し込みは
 http://www.office-ten.net/yakusima/2008/top.htm

「もののけ姫」の舞台となった苔森の世界。
天界に聳え立つような巨石や
どこまでも澄んだ水。
空と海の蒼さが溶け合った
原色の世界。

世界自然遺産にも登録されている
日本が世界に誇る島、屋久島。

その島の美しさと豊かさ
そして神秘の森を心ゆくまで
ゆったりと体感する…。

この屋久島の旅は、
大自然に抱かれたい人を
限りなく満足させてくれる旅です。

フリーデーは、3つのプランをご用意しました。
自由気ままに過ごす「風」プラン…
7200歳の聖老樹 縄文杉に会いに行く「山」プラン…
そして、シーカヤックやシュノーケリングで
屋久島の海と限りなく仲良しになる「海」プラン…

深緑の苔森の絨毯を歩き、
神秘の滝の水飛沫を存分にあびながら、
屋久島にとけこむ「あなた自身」を感じてください。

●TEN’sトラベルメンバーの為の旅企画
企画 オフィスTEN
手配 ワールドエキスプレス大阪 兵庫県知事登録旅行業第2-250

http://www.office-ten.net/yakusima/2008/top.htm

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【5】◆◇日本を堪能する旅◆◇
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   日本を感じ、日本を学び、日本を知りたい人には
      絶対におすすめの旅です。

   一般的な伊勢ツアーでは、決して行かないような
       本物志向の人の為の旅プログラム

    <日本を堪能する旅シリーズ 其の八>
      『お伊勢さんツアー2008』


  〜式年遷宮ご神事「鎮地祭(ちんちさい)」と
     心の御柱・ご用材を育んだ木曽の森を訪ねる旅〜
  
   2008年4月25日(金)〜4月27日(日)
    2泊3日 39,900円 名古屋 発着

   帰りに東京着を希望される方は今回のツアーは
       なんと+3,000円でOK
   (その際には、必ずお申し込み時に、
        東京着希望とお知らせください)

     定員 15名 最低施行人員8名

  詳細・お申し込みはhttp://www.office-ten.net/j/ise/2008t.htm
 
「お伊勢いきたや伊勢路がみたい せめて一生に一度でも」
日本人共通の心の故郷、お伊勢さん。
宇治橋を渡り、神域に入った途端、身も心も洗われるような気持ちに
なるのは、そこが日本の総氏神様だからでしょうか。

今年は二十年に一度のご神事、鎮地祭が行われる年です。これは、新
宮を建てる御敷地で行われる一番最初の祭儀です。

お伊勢さんツアー2008では、通常ではなかなかできない内宮での
正式参拝(御垣内参拝)に加え、外宮、月讀宮での「鎮地祭」(ちん
ちさい)を観拝させていただくことにしました。
さらに、今回の旅では伊勢から木曽へと足を延ばし、内宮・外宮など
伊勢神宮の大事なお社となる、ご用材を育んだ山、木曽の御杣山へ向
かいます。この貴重な機会は、木曽でご遷宮に関わられた、林業関係
の方の多大なるご協力を得てのことですが、役場の関係者の方、そし
て「御杣始祭」(みそまはじめさい)の総指揮者の方にも、特別にお話
しとご案内をしていただけることになりました。

はじめての伊勢、久しぶりの伊勢、またしてもの伊勢。
せっかくの「伊勢詣で」ならば、特別な機会を是非選んでください。
きっと、生涯忘れられない、特別な時間となることでしょう。


行程など詳しくは

http://www.office-ten.net/j/ise/2008k.htm

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【6】◆◇連載小説◆◇
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<今までのあらすじ>

高原祥子は、両親の不仲が原因で自分は不幸になったと思い込んでいた
のだが、近所に住むアパレルメーカー勤務の高梨良一と付き合い始めた
ことで、少しずつ考え方が変わりはじめていく。マスコミ就職への希望
を持ち始めた頃、予定外の妊娠で、急遽、良一と祥子は、結婚すること
に。引っ越し準備をしていて出てきたのは、亡き祖母が仕舞っていた母
敏子の臍の緒だった。そんな時、敏子が訪ねて来て…

『雨弓のとき』 (39)                天川 彩


扉を開くと、にっこり笑った母親の敏子が立っていた。いつも見ている
母より、少し化粧が濃く、服装も垢抜けている。それにしても平日の昼
間にやって来たことなど、今まで一度もなかったので、何かあったのか
急に気になった。

「どうしたのよ、こんな時間に」
敏子はややバツ悪そうにしながら、手の後ろに隠していた小さなケーキ
の箱を目の前にチラつかせた。
「ケーキ買ってきたの。陣中見舞いってやつかな」
「何よそれ。第一お母さん、ケーキ嫌いじゃない」
「でも、祥子は好きでしょ。だからショートケーキ一人分」
「何だか変なの。でも、ありがとう。引越し準備で散らかっているけれ
どあがってよ」
「わかっているわよ。引越しの手伝いに来たんだし」
敏子は、玄関をあがると、ぐるりと周りを見回しながら言った。
「あら、随分片付いているのね…」
祥子は台所でヤカンに水を入れながら、テーブルの上に置きっぱなしに
してしまった、臍の緒の箱のことが気になった。テーブルの下には、さ
っき開いたばかりの封印していた箱の一式が、開いたそのままになって
いた。

「お、お母さん、ちょっといい?」
祥子はわざと大きな声で母親を呼んだ。
「どうしたのよ。こんな狭い部屋で大きな声出さなくたって、聞えるわ
よ」
「あ、そうか。ごめん。あのさ…えーっと、お茶とコーヒー、どっちが
いい?」
「何?そんなのどっちでもいいわよ。それより何だか慌ててるわよ」
「そんなことないよ」

祥子は確かに少し動揺していた。何も悪いことをしているわけではない。
しかし、どうにかして、さっきまで開いていた箱の全てを。いや、せめ
て臍の緒の小箱だけでも、何処かに仕舞いこみたかった。
「怪しいな。お母さんは祥子の嘘は、すぐに見破ることが出来るんだか
ら」
「何でもないって。あ、ほら、お湯沸いたよ。で、どっちにするの?お
茶?コーヒー?そうだ、紅茶もあるよ」
「祥子はどっちがいいの?」
「私は紅茶にしようかな」
「それじゃ、お母さんも紅茶にするわ。そうだ、入れてあげるから、祥
子は引越し作業の続きしたらいいわよ。紅茶は確か、この奥だったわよ
ね」
そういうと、敏子は台所で紅茶の準備をし始めた。祥子は、ほっと胸を
撫でおろすようにテーブルの上に置きっぱなしにしていた臍の緒の小箱
をさっと手の中に納めると、下に置いていたダンボール箱に素早く入れ
ガムテープで封印した。

紅茶を飲みながら、母と平日の昼下がりにお喋りをする。そんな時間は
今まで一度たりともなかったように祥子は思った。
「会社は、どうしたの?」
「半休とったの」
「どうして?」
「あまりにも急な話だったから、娘の結婚準備も、何もしてあげられな
いし。せめて、引越しの手伝いとかしようかと思って来てみたんだけど。
随分、片付いているわよね」
「だって、ほとんど物らしい物、持っていないし」
「そうか…。ねぇ、結婚のお祝いに欲しいもの、何かない?何かお母さ
んからお祝いあげたいんだけど」
「え〜、お祝いか。嬉しいけれど今は思いつかないな。良一さんのマン
ションに、ほとんど何でも揃っているから」
「そう…よね。よかったら、今日どこかお買い物に行かないかな…なん
て思ったりもしていたんだけど。無駄なもの買ってもね」
「ううん、欲しくないんじゃないの。折角結婚のお祝いに買ってくれる
のなら一番思い出に残るようなものがいいかなって。少し考えさせて」

それが、この時の正直な気持ちだった。祥子が目の前のケーキを頬張っ
ていると、敏子がさりげなく口を開いた。

「さっきテーブルの上にあった箱、あれって仏壇の引き出しの奥に昔あ
ったやつよね。ここにあったんだ」
母の敏子は見ていたのだ。あの箱が机の上にあったことも、祥子が慌て
て隠したことも。
「嫌だ、なんだ見えていたんだ」
「だって、この家、玄関の真正面にテーブルがあるし、嫌だって目に入
るわよ。あれ、私の宝物だったんだし」
「え〜?あれってお婆ちゃんの宝物じゃなかったの?」
「お婆ちゃんの宝物であり、私の宝物でもあったの。お母さん、一人っ
子だったし」
祥子は驚いた。祖母の宝物だとばかり思ってあの臍の緒は、祖母と母と
の、共通の宝物だったのだ。祥子は祖母と母との間に入れない、ほんの
少しの寂しさを感じていた。
「ごめんね。私が持ってきちゃっていて」
「いいのよ。お婆ちゃんが亡くなってから、バタバタしていたじゃない。
親戚の伯母さんなんかも来ていたし、お婆ちゃんの遺品整理をした時に
誰かが間違って持っていってしまったかと思ったの。でも、祥子ちゃん
のところにあってよかった」

祥子は、更に複雑な気持ちになっていた。

                           つづく…

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【7】◆◇編集後記◆◇
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ここのところ、立て続けにホピのカチーナ(精霊人形)がTENの事務
所から巣立っている。要は縁ある方々にお買い求めいただいているのだ
が、一つ一つが、存在感あるカチーナたちなので、それぞれ一番ふさわ
しい場所に送り出したのだ、という安堵感と共にお嫁(?)に出したよ
うな寂しさもアリ…。
どうか、それぞれのおうちで、可愛がってもらいながら、よき働きをす
るのだヨ、と親のように願う私だった。

                          aya