2007/10/26━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆★☆ TEN's
magazine 第291号 ☆★☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.office-ten.net
こんにちは、天川 彩です。
今日、東京地方は朝から雨が降っています。
ここしばらくは、秋晴れの日が続いていたので、この雨で街路樹がほっ
としているような気がします。
今週は、面白いイベントに行ってきました。
その名も「お神楽ビデオジョッキー」。ミュージシャンであり、同時に
お神楽の面白さを世界中に伝える活動をフィールドワークにされている
三上敏視さんが、自ら撮影された各地のお神楽の様子を解説つきで語る
というものです。三上さんとは98年の鎌倉大仏での「神戸からの祈り」
のイベントで最初に目にかかり、その後は「東京サルタヒコ!」の折に
もご一緒いたしましたが、三上さんのフィールドワーク「お神楽」のお
話をゆっくり伺ったのは初めてでした。
その日は朝から仕事の打合せが何件か重なるという、ネイティブタイム
で日々を過ごしているような私たちにすると、脅威の一日でした。
夜、会場になっているplanB(来週のイベント会場でもあります)に、
やっと辿り着いた頃には、かなりくたびれていたので寝てしまうかな…
などと思っていたのですが、とんでもなかったです。上映されていたお
神楽のあまりの素晴らしさに、眠気は吹き飛び、身を乗り出して映像に
釘付けでした。いや〜、やっぱりお神楽は素晴らしいです!日本そのも
のです。
皆さんも機会がありましたら、是非、お神楽の楽しさに触れてみてくだ
さい♪定期的に、三上さんのお神楽ジョッキーはあるようですから、情
報がまた入りましたらお知らせしますね。
そうそう!折りしも来月には、神話の故郷、高千穂で夜通し夜神楽を楽
しむツアーもありますネ。日本の古き良き民俗伝統文化を生で体感した
い方は是非ご一緒いたしませんか?やっぱりそれが一番楽しいですよ〜。
さて。今週はTEN’ショップからBIGニュースがあります!
今年の春からオフィスTENでは、無農薬・無化学肥料の国内紅茶「天
の紅茶」を取り扱っておりますが、いよいよオーガニックコーヒーも
販売することにしました。
その名も「天の珈琲」。オーガニック・ボリビア豆を使用した、香りも
コクも申し分ないバランスのよい美味しいコーヒーです。
実は私は、大の珈琲党なのですが、今までTENで取り扱いたいと思え
るコーヒーに巡りあうことができませんでした。でも、やっと自信を持
って推奨できるコーヒーに出合えました。
まずは、この美味しさを皆様に味わっていただきたいと思い、新発売を
記念しての特別キャンペーンを行うことにしました。
また今週のコラムは、あまりに珈琲との出あいが嬉しかったので、その
物語を書きました。
それから、前からお伝えしていたTEN’sエコバッグもいよいよ今週
から登場ですよ!
テーマは3つ。 Happy・Relax・Prayer
ワクワクするような楽しい時間。心身ともリラックスする時間。
そして真摯な気持ちで祈る時間。
出来上がって思うのは、まるでTENのテーマそのもののようだな、と
いうことです。あれこれ、検討すること数週間。やっと完成しました。
アーティスト享子の手描き一点ものですが、手軽に持っていただきたい
との思いから、価格はかなりお手ごろにしました。
お気に入りのバッグに加えていただけましたら幸いです。
さー明日は、朝一番の新幹線に乗って関西へ日帰り出張です。
ですが、あららもう、こんな真夜中。。。
関西での講座に参加してくださる皆さん、待っていてくださいね〜!
新幹線の中でしっかり寝て、いい講座しますからね〜!
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◇◇今日の目次◇◇
◇◇ ◇◇ ◇◇
◇◇
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1・コラム・風の文様===========「天の珈琲・誕生物語」
2・TEN占い===========今週は「タロットカード」占い
3・TEN’sショップより====新発売・特別キャンペーン実施!
4・イベント====映画「久高オデッセイ」上映会&沖縄ミニライブ
5・天と大地に感謝する旅=「高千穂の夜神楽と阿蘇」ツアー募集中!
6・連載小説=================「雨弓のとき」30
7・編集後記=====================ひとりごと
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【1】◆◇コラム 風の文様◆◇
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□「天の珈琲・誕生物語」
『TEN’sCafe』という名のカフェを、いつかオープンしたいと
いう夢を持ち始めたのは、何年前のことだっただろうか。
私たちが伝えようとしているコンセプトを、お洒落に、楽しく、そして
美味しく受け取ってもらうためのカフェは、今後、とても必要な場にな
るのではないかと思っている。
お店のレイアウトも、メニューも数年前からほぼ決めて、場所もある程
度はめぼしをつけている。資金の問題は、まだ残された大きな課題なの
だが、それもいつの日にかクリアできるのではないかと楽天家の私は思
っている。
しかし、美味しいことは勿論のこと、農薬や化学肥料なども使わず自然
なかたちで栽培された、コーヒー農園や紅茶農園と、巡りあうことは資
金問題よりも難題だと思っていた。
一昨年、我が家に泊まった友人に、TEN’s Cafeの話をしたとこ
ろ、国内で無農薬・無化学肥料の紅茶を生産している紅茶農園があると
いうことを教えてくれた。翌年、私たちは九州の山奥にある製茶農園ま
で行き、その紅茶をいただき、更に自然農法でつくられた茶葉を親子で
収穫している姿を見せてもらって『天の紅茶 TEN’s
TEA』を取り扱
うことにした。
実は、私は大の珈琲党。これまで紅茶の渋味やえぐみがあまり得意では
なかったのだが、この紅茶を知ってからは、ストレートで美味しく飲め
るようになった。しかし、紅茶を扱いはじめると珈琲への恋慕の思いが
増してくるばかり。
挽き立ての美味しい珈琲をゆっくり味わう時間は、格別に贅沢なものだ
と思う。朝に夕に、芳醇な香りが部屋一杯にたち込める瞬間が私は大好
きなのだが、珈琲という飲み物は、リラックスタイムには、よりリラッ
クスを増進させ、疲れた時には活力を増進してくれる不思議な飲み物だ。
強く思えば叶うのか、それとも、もともと縁があったのか…
先月、ボリビアと日本とを繋ぐお仕事をされている落合さんという女性
と知り合った。お土産にと持ってきてくださったのがオーガニックのボ
リビアコーヒーだったのだが、一口飲んで驚いた。
芳醇な香りとコク、そしてアーモンドチョコのような微かな甘みが広が
った。正直なところ、コーヒーの銘柄にボリビアという種があることす
ら、その時まで知らなかったのだが、まさに一目惚れならぬ、一口惚れ
だった。
驚いたことに、落合さんはそのボリビアの山奥にある農園まで行ったこ
とがあるらしく、さらにその生豆を仕入れ少量ずつ焙煎をしているとい
う西山さんという方まで紹介してくださったのだ。
こうして何年も切望していた『天の珈琲』が、あれよあれよという間に
誕生した。
ここのボリビアのコーヒーは、アラビカ種という高級品種をボリビア高
山の森の中で農薬や化学肥料など一切使わず育てあげ、完熟した実を一
粒一粒丁寧に手で摘み取って天日干しをするという完全なる有機栽培だ。
こんなコーヒーにやっと巡りあえ、皆さんにご紹介できることが、今は
ただ嬉しい。そしていつの日にか、TENの仕事らしく、南米ツアーで
も企画して、マチュピチュやチチカカ湖、そしてこのボリビアのコーヒ
ー農園にも行ける日がきたら最高だと思っている。
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【2】◇◆TEN占い◆◇
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所詮、天川 彩が占っているものですので、あまり深刻にとらえず、気
楽に楽しんでくださいね。
今週も[タロットカード]で1週間の運勢を占ってみました。
2007年10月27日(土)〜11月2日(金)あなたの運勢
〈1月生まれ〉
無理に頑張ろうとはしていませんか。余裕もないのに力を入れて歩いて
いると先が続きません。今週は肩の力を抜いて過ごしてね。
〈2月生まれ〉
目標達成の為に意志を貫いているかもしれませんが、やや柔軟な考えに
欠けていそうです。人の意見にも耳を傾けてね。
〈3月生まれ〉
対人関係で悩みが出てきそうです。今週はじっくりと人とのつき合い方
を考え直してみてください。
〈4月生まれ〉
前に進もうと思いながら、よけいな物を手放す勇気がなく、堂々巡りを
してはいませんか。この際きっぱりと不必要な物は手放しましょう。
〈5月生まれ〉
平凡な一週間ですが、だからこそ大切なものがみえてくるかもしれませ
ん。今週はいつも以上に日常を大切に過ごしてね。
〈6月生まれ〉
考えていることと、現実にかなりの違いがありませんか。夢や目標があ
るならば、それに向かっての努力を惜しんではいけません。がんばって
ね。
〈7月生まれ〉
周りに不平不満がありながら、それを口に出さず悶々としてはいません
か。よりよい未来のためにも、きちんと解決していく勇気をもってね。
〈8月生まれ〉
平常心でいることが大切な一週間です。不必要に舞い上がらないよう深
呼吸する事を忘れずにね。
〈9月生まれ〉
あれもこれもと際限なく欲しくなってしまうかもしれません。でもその
根底にあるものは、あなたの見栄であることに気がついてね。
〈10月生まれ〉
思いつきやきまぐれで、すぐに行動してしまうかもしれません。今週は
あらためてじっくり考える時間をもつよう努力してね。
〈11月生まれ〉
今週は、あれこれ一度に手を出さず、今あなたにとっていちばん大切な
ことに集中してみてください。きっとよい結果が出てくるはずですよ。
〈12月生まれ〉
新たな対人関係が始まりそうです。優しい気持ちになったり、時には愛
情が芽生えるかもしれません。今週は特に積極的に人と出会う場に出て
下さい。
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【3】◆◇TEN’sショップより◆◇
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メルマガ読者にいち早くお知らせ!!
●●●[天の珈琲]新発売記念 お得な特別キャンペーン!●●●
2007年11月10日(土)まで
全国一律送料込み特別価格でご奉仕いたします!
どうぞ、この機会にお試しください。
●1000円コース <珈琲増量+α+送料>
<内容>
天の珈琲 150g+30gサービス増量(中挽きor豆)
天の紅茶テトラパック3個入り
●3000円コース <お得な4点セット+送料>
<内容>
天の珈琲 150g×2パック(中挽きor豆)
天の紅茶リーフ80g
TEN’sエコバッグ小(Ten’s
relax time)
詳細 お申し込みは
http://www.office-ten.net/shop/coffee-can.htm
・・・・・・・・・・新商品のご紹介・・・・・・・・・・・・・
《天の珈琲》〜オーガニック・ボリビア〜
南米ボリビアの霧の多い高山の森の中で
真っ赤な完熟に育った実だけを
一粒一粒、丁寧に手で摘んで、
天日乾燥させた有機栽培豆。
その生豆を珈琲工場&百屋さんが、
少量ずつじっくり直火焙煎で仕上げています。
芳醇な香りとコク、そしてアーモンドのような
微かな甘みが特徴のTENお薦めの珈琲です。
1袋150g入りの少量パックなので、
新鮮な状態で飲みきっていただけます。
名 称:オーガニック・ボリビア
原材料:有機栽培ボリビア豆100%
生産地:ボリビア・ラパス
オーガニック認証:IMO(有機JAS)
焙 煎:「珈琲工場&百屋」
容 量: 150g
(中挽き・ 豆)
販売者:オフィスTEN
価 格: 750円(税込)
送 料:1袋 250円 2袋〜5袋 500円 6袋以上送料無料
詳しくは
http://www.office-ten.net/shop/coffee.htm
・・・・・・・・・・新商品のご紹介・・・・・・・・・・・・・
《TEN’s エコバッグ》
TENらしいエコバッグを作りました。
ただ、環境、環境と声を大にするより、
心が爽やかになるような、
普段、持って歩くのが楽しくなるような
そんなシンプルでお洒落で可愛いバッグです。
鞄の隅にも入れておけるように
薄型タイプにしました。
テーマは3つ。
Happy・Relax・Prayer
手描き一点ものですが、価格も、お手ごろにしました。
価格 小840円(税込) 大1500円(税込)
●Ten's
happy time
●Ten's relax time
●Ten's prayer
time
送付手数料 小90円 大120円
http://www.office-ten.net/shop/bag.htm
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【4】◆◇映画上映会◆◇
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いよいよ来週です!どうぞお見逃しなく!
〜沖縄「神の島」久高島と島人の魂再生の記録〜
沖縄「神の島」久高島の真髄に触れる
ドキュメンタリー長篇映画の上映会を
1年ぶりに東京で開催します!
貴重な機会ですので、是非お越しください!
*現在、夜の部が比較的お席に余裕があります。
●映画『久高オデッセイ』●
東京上映会
<大重潤一郎監督作品>
+
沖縄スペシャルプログラム
http://www.office-ten.net/kudaka/top.htm
日時: 2007年11月3日(土)・文化の日
11:00〜 上映のみ
前売り1500円 当日1800円
15:00〜・19:00〜 ライブあり
前売り2000円 当日2300円
定員: *各回とも 50席限り!
会場: 『plan B』
丸の内線「中野富士見町」駅 徒歩7分
PlanBは20年続く、表現者の為の小さな空間です。
かつては、寺山修司やマルセ太郎らがその板の上に立ち
今も超一流の表現者たちが、自由に空間を使いこなして
いるその場で、映画「久高オデッセイ」を上映します。
どうぞ、その空間を丸ごと楽しんでください。
<沖縄スペシャルプログラム!>
ミニライブ:
当日は人気沖縄バンド寿[kotobuki]のナビィとヨシミツが
三線片手に駆けつけてくれます。
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【5】◆◇今年最後のツアー◆◇
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天と大地に感謝する旅 Walk26
今なら、東京・大阪発着が断然お徳!!
[高千穂の夜神楽と阿蘇を楽しむツアー]
2007年11月30日(金)〜12月2日(日)
2泊3日
48、800円(+税2440円)現地発着(熊本空港)
*11月5日までにお申し込みの方は
東京発着・大阪発着 共にプラス2万円だけの
68、800円と超お徳なプライス!!!
募集人員 20名 最低施行人員 8名
11月6日以降にお申し込みの方は、現地集合料金+
別途手配の航空運賃を加算した料金となりますのでご了承ください。
http://www.office-ten.net/kyusyu/top.htm
【TEN'Sトラベルメンバーの為の旅の主催・手配・協力】
ワールドエキスプレス大阪
大阪府知事登録旅行業者代理業第5275号
神話の故郷・高千穂。
神々と共に暮らす里人が、秋から冬にかけて
大切に守り続けているのが高千穂の夜神楽。
この旅では、一夜限りの氏子となって、
民家で執り行われている里神楽を楽しむ時間を中心に、
神話の舞台ともなった神社や、
壮大な阿蘇の大自然にも触れるという、
贅沢な時間を過ごします。
阿蘇の圧倒的な大パノラマや
風情ある温泉。
そして
日本神話を今に引き継ぐ高千穂で、
日本の民俗・信仰の原点に触れる時間を
共に過ごしませんか?
[夜神楽のご案内に…]
高千穂の先生と慕わせて頂いているTさんは
「高千穂神楽」の著者でもあり
歴史や風土にかけては、この人の右に出る人はい
ないのではないかと思われる方です。
今回、この旅の為に、特別に予定を空けて、
夜神楽の説明からご案内まで
していただけることになりました。
こんな機会、望んでもなかなかあり得ません!
[ツアー行程]
1日目
熊本空港から、まずは阿蘇神社へと向います。
阿蘇の神様にご挨拶を終えた後は、レトロな街並みの中で昼食タイム。
そして阿蘇の代表的な牧草風景が広がる草千里で、ゆったりと思い思い
の時間を過ごしてください。火山博物館は一見の価値アリ。また池と牧
草地を、馬に乗って散策も素敵です。
阿蘇の風景に馴染んできたなら、阿蘇の火の神、中岳の火口まで参りま
しょう。今も尚、地球の呼吸が垣間見えます。この日の締めくくりは、
大観峰。阿蘇の大パノラマが360度見渡せる圧巻の風景です。
阿蘇五岳が連なって見える様は、お釈迦様の涅槃像のようだといわれて
います。
阿蘇シティホテル
2日目
この日は、悠久の頃より神々ゆかりの地として、人々の心を惹き付ける
高千穂へと参ります。
高千穂神社で参拝した後、まずは天孫降臨の地とされている、くしふる
神社や高天原の遥拝所などを巡り、岩戸開きの神話の舞台ともなった岩
戸神社へ参ります。高千穂のご案内をして下さる方に、夜神楽について
しっかり学んだ後は、高千穂の神楽の始まりとなる宮神楽、道行き神楽
(御神幸)などを見学いたします。高千穂の郷土料理に舌鼓を打ち、宿
に荷物を置いて準備を整えたなら、いよいよ夜を徹しての夜神楽三十三
番の一夜氏子となる時間です。朝まで本場の夜神楽を堪能するのもよし、
夜中にタクシーで宿まで戻るのもよし、それぞれのペースで高千穂の夜
神楽をどうぞお楽しみください。
高千穂ビジネスホテル
3日目
遅めに宿をチェックアウトをした後は、南阿蘇にある三百年の歴史を誇
る風情ある温泉で、夜神楽の体の疲れをゆっくりほぐしてください。や
や遅めのお昼を食べた後は、旅の思い出を胸に、熊本空港へと向います。
夕方 羽田空港 着
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【6】◆◇連載小説◆◇
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<今までのあらすじ>
不倫の末、浮気相手の元へ行った父。いつも仕事に追われて忙しくして
いた母。祥子は、幼い頃からそんな両親のことが好きになれなかった。
しかし7歳年上の良一と付き合い始めたことで、少しずつ心境に変化が。
そんなある日、末期癌を患った父親が、再婚相手とも別れて、母のとこ
ろに戻って来る。しかし両親の穏やかな時間もそう長くは続かず…。父
親の葬儀の日、祥子は、今まで見たことのない母の姿をみていた。
『雨弓のとき』 (30)
天川 彩
「大変だったね」
「ううん、本当にありがとう。良一さんにお通夜から葬儀まで、色々手
伝ってもらって、どれほど母も私も助かったことか」
「そんなことないよ。はい、ココアここに置くね」
「ありがとう」
祥子は良一が入れてくれたココアを一口飲むと、大きくため息をついた。
父が亡くなった後、悲しみに暮れる間もなく、様々な手続きがあり目が
回るほど忙しかった。こうやって良一の部屋に来たのは、本当に久しぶ
りで、一気に体の力が抜けていくように感じた。
「なんだかさ…」
「ん?」
「なんだか、人の命って儚いなって思った。だって、かなり長い間父親
として認められない人だ、とは思っていたけれど、やっぱり自分の親だ
し。まさか死ぬなんて…想像もできなかったから」
「本当にそうだよね。でも祥子ちゃんとお父さんが、最後に少しでも親
子として触れ合える時間が持てたことは、本当に良かったよ」
「…。まぁ、そうかな。お母さんも変わったし」
「変わった?」
「お父さんが最後にお母さんのもとに来たでしょ。それでお母さんの人
生も何処かで救われたような、そんな気がするんだ」
「お母さん、綺麗な人だね」
祥子は、葬儀の日の母の姿を決して忘れることはないだろう。
葬儀の日、喪服を着て父の棺のそばにいた母はドキンとするほど美しか
った。位牌を抱きしめながら歩く姿は、愛する人を永遠に取り戻したか
のような安堵の表情すら浮かんでいた。
「そう?普通だと思うけど。うちのお母さんも、良一さんのこと、よさ
そうな人ね、って言っていたよ」
「こんなかたちで祥子ちゃんのお母さんと会うとは思わなかったから、
今度ちゃんとお食事ぐらい誘わなきゃね」
「いいって」
「だけど、お父さん亡くなって寂しいだろうしさ」
「ありがとう」
「それより、アイルランド旅行なんだけど」
「あっ、そうだよね。来月だもんね」
「あのさ、言い難いけれど、祥子ちゃんは今回やめた方がいいよ」
「でも…私も楽しみにしていたし」
「四十九日前に旅行に行くのは、やっぱりダメだよ」
「それじゃ、その後」
「ごめん。四月に入ると仕事が忙しくなって、なかなか休暇が取れない
んだ。だから、夏休みとかまた別の機会に一緒に行こうよ」
「良一さんは、来月予定通り行くの?」
「ごめん。ちょっと勉強したいこともあるし、今回は一人で行くよ。
でも、次は絶対に連れて行ってあげるからさ」
「…」
「アイルランドは逃げないから」
「ま、しょうがないか。子どもじゃないんだし、我慢も必要か」
「えらいね。ご褒美に…」
そういうと、良一は祥子の柔らかな唇に口元を重ねてきた。
祥子が自分の体の異変に気が付いたのは、良一がアイルランド旅行に行
っている時だった。
つづく…
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【7】◆◇編集後記◆◇
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今週は珈琲に始まり珈琲に終わるような一週間だった。
今は、コーヒー好きな人に、早くこの美味しいボリビアのコーヒーを飲
んでもらいたいと思うばかり。あ〜、この事務所に漂っているいい香り
を皆さんに届けたい。香りつきメルマガ…なんてやっぱり無理か。
aya