2007/10/19━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   ☆★☆ TEN's magazine 第290号  ☆★☆ 
  
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.office-ten.net

こんにちは、天川 彩です。

秋本番ですね。スポーツの秋、食欲の秋、そして芸術の秋。一年の中で
一番過ごしやすい季節だということなのでしょうね。

学生さんたちも文化祭シーズン到来。次女の通う大学でも先週学祭があ
り、狂言研究会に入っている彼女は裃を着けての初舞台でした。実は、
高校の文化祭で某有名脚本家の作品を演じたことで、喜劇そのものに目
覚めたらしいのですが、昨日、TVで気になるニュースが流れていまし
た。高校の文化祭で上演される作品に著作権問題が浮上しているそうで
上演できない作品が多々出てきたそうです。
文化祭というものは、子ども達が芸術・文化に親しみながら感性を育ん
でいく大切な機会だと私は思っています。そこに大人の利権問題が絡ん
でくるのは、いかがなものかと思うのですが、同時に、著作権作品を持
っているものの立場として、例え教育現場であったとしても著作したも
のを、上演するのであれば連絡は入れる努力をするべきだろう、とも思
います。
どちらにしても、未来アル子ども達の手本となるのは、今の大人でしか
ないのですから、権利ばかりを主張するでもなく、礼儀を欠くでもない、
よりよい解決方法を、早く見出して欲しいですね。

それから、もう一つ芸術の話題。
今週は、スタッフのキョウちゃんと国立近代美術館へ行ってきました。
画業60年になる平山郁夫画伯の 大回顧展「平山郁夫・祈りの旅路」を
観てきたのですが、それはそれは圧巻でした!
代表作ばかり、約80点ほど出品されていましたが、「仏陀への憧憬」
「玄奘三蔵の道と仏教東漸」「シルクロード」「平和への祈り」という
四つの章で全体は構成されており、私は2年ほど前に行ったインド巡礼
の旅のことや自分自身の思いを重ね合わせながら、時を忘れて絵に見入
っていました。
残念ながら、東京での美術展は今度の日曜日までとなっているようです
が11月2日からは、広島県立美術館で開催されるようです。
お近くの方は、是非足を運んでみてはいかがですか?

さて、先日のTEN’sあんてなショップへ、沢山の方にお越しいただ
きましてありがとうございました。
想像以上に、南米のアルパカ商品人気が凄くてビックリしました。
暖かく、柔らかく、そしてあまりにキュートで可愛い品が多かったので
できれば、遠くに離れているメルマガ読者の皆さんにも是非ご紹介した
いと思っています。
また、アイヌ刺繍入りのマイ箸袋も、お洒落で格好イイと大評判でした。
只今、お願いして制作してもらっています。

TEN’sショップがこれから充実していきますので、楽しみに〜!

さーて、少しばかり気が早いのですが、12月15日(土)に、クリスマス
童話詩ライブをすることが決まりました!それから、好評だったあんて
なショップ、12月にも行いますヨ。これらのインフォメーションもまた
後日お知らせしますネ。どうぞ、是非いらしてください。


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◇◇今日の目次◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇
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1・コラム・風の文様================「聖なる力」
2・TEN占い==========今週は「メディスンカード」占い
3・イベント====映画「久高オデッセイ」上映会&沖縄ミニライブ
4・最終案内========「大人の為の究極・恋愛講座」in関西
5・天と大地に感謝する旅=「高千穂の夜神楽と阿蘇」ツアー募集開始
6・連載小説=================「雨弓のとき」29
7・編集後記=====================ひとりごと
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【1】◆◇コラム 風の文様◆◇
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□「聖なる力」

先日、平山郁夫画伯の大回顧展『祈りの旅路』を観覧した後、とりあえ
ず近くのカフェに入った。画伯の絵画の美しさは、清らかなエネルギー
のようで、その余韻を楽しみたかったのだ。普段はあまり飲まない、甘
めの飲み物で一息ついた頃、すぐ奥の席に座っていた年配女性グループ
の声が漏れ聞えてきた。

「だけど、もったいないじゃない。折角そんな能力あるんなら、みんな
から、お金もらってやってあげたらいいのに。儲かるわよ」
「そうかもしれないけれど、それはダメなのよね」
「どうして?」
「うまく言えないけれど、しちゃいけないの」
「そんなことないわよ、みんな喜ぶし、してもらいたい人いっぱいいる
から」
「違うのよね。この力をお金に換えたら、違うことになっちゃうのよ」

私は思わず振り向いて、その声の主の方を見た。
何処にでもいそうな、極普通の女性だったが、きっと普通とやや違う能
力を持っているのだろう。同行の女性達は、その女性が持っているとい
う能力について更に興味を示していたようだったが、当の本人は、早々
にその話を切り上げて、別の話題を振っていた。

地球規模で、大きな変革期を迎えている今、世の中が混沌としている。
だからなのか、自分で自分の道を歩むことを放棄して、何かにすがって
答えを求めようとしている人が急増している。
また、人にすがって欲しいと願っているミニ教祖様のような人も急増し
ている。需要と供給といってしまえばそれまでだが、藁をも掴む思いで
一時間いくらという金額を払って、自分の魂までをも委ねてしまうのは
私は危険だと思っている。

私の好きな歌に、TOKIOの「宙船」(そらふね)という曲がある。
昨年、ドラマで大ヒットした曲だから記憶に残っている人も多いかと思
うが、中島みゆきさん作詞・作曲によるこの歌の内容が素晴らしい。
http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND43748/index.html

自分の人生や魂は、決して他人に預けてはいけない、というように聞え
る。

この世の人の中に、特別に神に選ばれた人などいない。もしも「自分は
神に特別に選ばれている」と公言して、人の気を惹いているような人が
そばにいたとしたなら、さっさと逃げた方がいい。媒体になりやすい人
はいるが、それは神に特別に選ばれたからではなく、その役割を持って
生まれただけのことだ。
しかし、媒体体質を商売道具にしてしまうと、その瞬間から聖なる力と
は相反する、魔的な力の媒体となってしまう可能性が高い。
最近、聖なる力を求めて、パワースポットと呼ばれる場所を巡っている
人が増え、それらの本も書店に並んでいるようだが、聖なる力はそんな
中には存在しないと私は思う。

自分の人生の目的や役割は、他人に聞くものでもなければ、お金を払っ
て買うものでもなく、自ら見つけ出すから価値がある。
それぞれに与えられた人生を一生懸命、全うして生きていると、きっと
誰しもが、神仏のご加護と思えるありがたい瞬間があるはずだ。それこ
そが、聖なる力と出あえる瞬間なのではないだろうか。

お釈迦様の教えを求めて、たった一人で国禁を破って中国からインドを
歩いて渡り、やがて大般若経をはじめ多くの経典を持ち帰った玄奘三蔵。
広島で被爆し、一緒にいた同級生は全員亡くなるという痛ましい状況の
中で、絵という自分の持つ力を伸ばし、やがて祈りの旅路の末に、画家
として大成された平山郁夫画伯。

真理の道を求め歩み続ける人は、やはりただただ美しい。


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【2】◇◆TEN占い◆◇
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所詮、天川 彩が占っているものですので、あまり深刻にとらえず、気
楽に楽しんでくださいね。
                          
今週も[メディスンカード]で1週間の運勢を占ってみました。

2007年10月20日(土)〜10月26日(金)あなたの運勢

〈1月生まれ〉
今まで心の奥で離れたいと思っていた人たちとの人間関係が、やっと終
わりを告げそうです。また、不必要なものも、この際思い切って捨てま
しょう。きっと満たされた気持ちになるはずですよ。

〈2月生まれ〉
行動の週です。今までやろうと思いながら、躊躇していたことは、今週
始めてみましょう。

〈3月生まれ〉
何かと落ち着きを失ってはいませんか。また、自分だけが損をしている
と、不平不満を心の中に溜め込んではいませんか。今週は本来のあなた
らしさを取り戻してね。

〈4月生まれ〉
自分自身に嘘をついてはいませんか。あなた自身の行動や、言動に責任
を持ってね。今週のキーワードは素直さです。

〈5月生まれ〉
少し手抜きをしてはいませんか。誰かが手助けしてくれるのを待ってい
ても前へは進みません。自ら動くことを心がけてね。

〈6月生まれ〉
新しい自分に生まれ変わろうと思っていても、つい古い習慣に引き戻さ
れ、堂々巡りを繰り返してはいませんか。変えられるのはあなたしかい
ないことを忘れずにね。

〈7月生まれ〉
何事もネガティブに捉えすぎていると、上手くいくものも、上手くいか
なくなってしまいます。状況は、あなたが思っているよりもいいはずで
すよ。

〈8月生まれ〉
今週はどんなことも楽しく感じそうです。それは、子どものような純粋
な目で、物事に向き合っているからかもしれません。感性が豊かになる
一週間のようですよ。

〈9月生まれ〉
今週は瞑想などに適した一週間です。今まで、体験してきたことを、さ
らに次への飛躍へと結びつける為の時間にあててね。

〈10月生まれ〉
あなたらしいパワーを失ってはいませんか。動けないと悩んでいること
も、あなた自身の心の中で作ってしまっていることかもしれません。本
来のあなたらしさを思い出してね。

〈11月生まれ〉
今、真剣に向き合わなければいけないことから逃げ出そうとはしていま
せんか。今週、あなたに必要なキーワードは、勇気です。逃げ出さない
強さを持ってね。

〈12月生まれ〉
恋愛運が絶好調です。パートナーがいる人は、他に目を向けないように
してね。また、パートナーがいない人は、あらたな出会いのチャンスが
あるかも。

        
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【3】◆◇映画上映会◆◇
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   〜沖縄「神の島」久高島と島人の魂再生の記録〜
       

       沖縄「神の島」久高島の真髄に触れる
       ドキュメンタリー長篇映画の上映会を
         1年ぶりに東京で開催します!
     
     貴重な機会ですので、是非お越しください!
 
        
        ●映画『久高オデッセイ』● 
           東京上映会 
        <大重潤一郎監督作品>
             +
        沖縄スペシャルプログラム
   
    http://www.office-ten.net/kudaka/top.htm
        
    日時: 2007年11月3日(土)・文化の日
          11:00〜     上映のみ    
          前売り1500円 当日1800円

          15:00〜・19:00〜  ライブあり
          前売り2000円 当日2300円
 
    定員: *各回とも 50席限り!
    
    会場: 『plan B』
          丸の内線「中野富士見町」駅 徒歩7分

     PlanBは20年続く、表現者の為の小さな空間です。
     かつては、寺山修司やマルセ太郎らがその板の上に立ち
     今も超一流の表現者たちが、自由に空間を使いこなして
     いるその場で、映画「久高オデッセイ」を上映します。
     どうぞ、その空間を丸ごと楽しんでください。
  
    <沖縄スペシャルプログラム!>

    ミニライブ:
     当日は人気沖縄バンド寿[kotobuki]のナビィとヨシミツが
     三線片手に駆けつけてくれます。
     

    
   
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【4】◆◇恋愛講座!◆◇
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         最終のご案内です。
   
   関西での究極・恋愛講座の開催は今回限りです!
        

  『大人のための 究極・恋愛講座』in関西


 運命の人と巡り逢うヒント パートナーと生涯恋愛する方法
          直接、伝授いたします。

日  程 2007年10月27日(土)
時  間 10:30〜16:30 (昼休憩 1時間あり)
会  場 西宮会館 会議室 阪神西宮駅 下車すぐ
     お申し込みの方に詳しい地図をお送りいたします

講座内容 Step1 恋の言の葉拾い
     Step2 パートナーシップについて
     Step3 理想の相手・理想の自分
     Step4 セルフプロモーション術

申し込み http://www.office-ten.net/com-kouza/421.htm


運命の人…。
どこを探せば、何をしたら
出逢えるえるのでしょうか。
あなたが、もし、
本気でその人を探していたとしたなら
その人も、本気であなたを探しているはず。

だけど、生涯を通して
互いに愛し慈しみあえる人に
真剣に出逢いたいのなら…
ちょっぴり自分改革も必要なのです。

出逢った時から、この世を去るまで
ずっと、人生を共にする
唯一無二のパートナー。

結婚しても、お父さんとお母さんになっても
おじいちゃんとおばあちゃんになっても
生涯、素敵な恋人同士で
あり続けてください。

素晴らしい恋愛は、
世の中の平和の糧になるのです。

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【5】◆◇好評募集中!◆◇
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   天と大地に感謝する旅 Walk26


   [高千穂の夜神楽と阿蘇を楽しむツアー]

 2007年11月30日(金)〜12月2日(日)
         2泊3日
       48、800円(+税2440円)現地発着(熊本空港)

  今だけ東京発着はプラス2万円だけという超お徳なプライス!!!
             

   募集人員 20名 最低施行人員  8名
 
    今年の最後を締めくくるツアーです。
      日頃のご愛顧に感謝して、
   11月5日までにお申し込みいただいた方は
 羽田発着を上記特別価格でご案内いたしております。

11月6日以降にお申し込みの方は、現地集合料金+
   別途手配の航空運賃を加算した料金となります。

    http://www.office-ten.net/kyusyu/top.htm

【TEN'Sトラベルメンバーの為の旅の主催・手配・協力】
ワールドエキスプレス大阪
大阪府知事登録旅行業者代理業第5275号



神話の故郷・高千穂。
神々と共に暮らす里人が、秋から冬にかけて
大切に守り続けているのが高千穂の夜神楽。
この旅では、一夜限りの氏子となって、
民家で執り行われている里神楽を楽しむ時間を中心に、
神話の舞台ともなった神社や、
壮大な阿蘇の大自然にも触れるという、
贅沢な時間を過ごします。

阿蘇の圧倒的な大パノラマや
風情ある温泉。
そして
日本神話を今に引き継ぐ高千穂で、
晩秋の夜、幻想的な時間を共に過ごしませんか?


[夜神楽のご案内に…]

高千穂の先生と慕わせて頂いているTさんは
「高千穂神楽」の著者でもあり
歴史や風土にかけては、この人の右に出る人はい
ないのではないかと思われる方です。
今回、この旅の為に、特別に予定を空けて、
夜神楽の説明からご案内まで
していただけることになりました。
こんな機会、望んでもなかなかあり得ません!


[ツアー行程]

1日目
熊本空港から、まずは阿蘇神社へと向います。
阿蘇の神様にご挨拶を終えた後は、レトロな街並みの中で昼食タイム。
そして阿蘇の代表的な牧草風景が広がる草千里で、ゆったりと思い思い
の時間を過ごしてください。火山博物館は一見の価値アリ。また池と牧
草地を、馬に乗って散策も素敵です。
阿蘇の風景に馴染んできたなら、阿蘇の火の神、中岳の火口まで参りま
しょう。今も尚、地球の呼吸が垣間見えます。この日の締めくくりは、
大観峰。阿蘇の大パノラマが360度見渡せる圧巻の風景です。
阿蘇五岳が連なって見える様は、お釈迦様の涅槃像のようだといわれて
います。
                       阿蘇シティホテル


2日目

この日は、悠久の頃より神々ゆかりの地として、人々の心を惹き付ける
高千穂へと参ります。
高千穂神社で参拝した後、まずは天孫降臨の地とされている、くしふる
神社や高天原の遥拝所などを巡り、岩戸開きの神話の舞台ともなった岩
戸神社へ参ります。高千穂のご案内をして下さる方に、夜神楽について
しっかり学んだ後は、高千穂の神楽の始まりとなる宮神楽、道行き神楽
(御神幸)などを見学いたします。高千穂の郷土料理に舌鼓を打ち、宿
に荷物を置いて準備を整えたなら、いよいよ夜を徹しての夜神楽三十三
番の一夜氏子となる時間です。朝まで本場の夜神楽を堪能するのもよし、
夜中にタクシーで宿まで戻るのもよし、それぞれのペースで高千穂の夜
神楽をどうぞお楽しみください。
                      高千穂ビジネスホテル

3日目

遅めに宿をチェックアウトをした後は、南阿蘇にある三百年の歴史を誇
る風情ある温泉で、夜神楽の体の疲れをゆっくりほぐしてください。や
や遅めのお昼を食べた後は、旅の思い出を胸に、熊本空港へと向います。
                              
                       夕方 羽田空港 着

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【6】◆◇連載小説◆◇
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<今までのあらすじ>
険悪だった母親との関係を少し修復した祥子は、恋人の良一に、突然
海外旅行に誘われ喜んでいたのだが、父の病状が悪化して…


『雨弓のとき』 (29)
                     天川 彩


祥子は、祈るような思いで電車に飛び乗った。

車内はガラガラだったが、真冬の車内の座席は不必要に暖房がかかり、
祥子は、息苦しさからドアの前に立った。
真っ暗な地下鉄の壁が、ただ横滑りに流れていく。

祥子は窓ガラスに映る自分の顔を見ながら、父親に似ている部分を必死
で探してみた。あんなに嫌っていた父でも、自分の半分はその父親の血
が流れているのだ。その父が死ぬかもしれない。悲しみとも違う、戸惑
いのような感情が押し寄せていた。

北千住で電車を乗り換えて、越谷の病院に着いた頃には、あたりはすっ
かり暗くなっていた。

病室に行くと、父親は沢山のチューブに繋がれ眠っていた。

「あ、祥子ちゃん。間に合ってよかった。今夜が山なんだって」
母親の敏子は、やつれた顔を向けて、動揺した風でもなく、淡々として
いた。
「そう…なの?」
「あのさ、あっちの奥さんや子どもさんにも、一応知らせた方がいいと
思っているんだけど、祥子ちゃんはどう思う?」
「えっ?どうして!」
「だって、離婚したといっても、去年までは夫婦だったんだし、子ども
さんにしたら父親だし」
「そんな必要ないよ。お母さん、どうしてそんなこと思えるの?おかし
いよ。変だよ。嫌じゃないの?」
「嫌とかどうとかの問題じゃなくて、連絡するのが筋かな…とも」
「どうしちゃったのよ!お母さん!!」
「お父さんが、一番幸せな方法で見送ってあげたいと思って…」

敏子は、そういうとベッドの脇にある椅子にしゃがみ込み、痩せ細った
元夫の手を取ると、自分の頬にあてた。
「祥子ちゃん。お母さん、やっぱりお父さんのこと一番好きだったの」
「知っているよ」
「その一番好きな人が、もうすぐ死んじゃうのよ」
敏子の目から伝った涙が、その青白い手を濡らしていた。

「お母さん。お父さんも、やっぱりお母さんのことが一番好きだから、
お母さんの元に帰って来たんだよ。今、お母さんがこうして手を握って
あげていることだって、きっとお父さんにはわかっている。そして、幸
せなんだと思う。私にはわかるよ。だって、私はお父さんとお母さんの
たった一人の子どもだから」
「祥子ちゃん…」

それから二時間後、父親は静かに息を引き取った。


葬儀の日、やはり母の敏子は、父親と不倫の末に再婚した元妻と子ども
にも連絡していたらしい。焼香に来ている姿はみかけたが、何一つ言葉
を交わすこともなく、そそくさと帰って行った。参列者が極端に少ない
葬式ではあったが、喪主となった母の姿は、娘から見ても凛として美し
いと祥子は思った。

        
                           つづく…

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【7】◆◇編集後記◆◇
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今週末は、地元で下町祭りが催される。
この祭りには、猿回しやら南京玉すだれやらの伝統的な大道芸がやって
くるのが楽しみなのだが、実は、今年の夏、玩具のような物だが、南京
玉すだれを購入したので、少しでも芸を磨いてみたいと思っている。
調べてみると、あの独特の衣装を着るには、初段以上じゃないと許され
ていないとか…。なんだか、急に興味が湧いてきた。
真剣に、南京玉すだれの師匠を探してみようかなぁ。
                      aya