2007/08/17━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   ☆★☆ TEN's magazine 第281・282合併号  ☆★☆ 
  
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.office-ten.net

残暑お見舞い申し上げます。天川 彩です。

皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
私は今夜から天河に向かいます。旧暦七夕のお手伝いを終えた後、週末
まで夏休みにしますので、今週と来週のメルマガは合併号とさせてくだ
さい。

いや〜それにしても日本列島、強烈に暑いですね〜。猛暑という表現が
ピッタリです。そんな中、日本一暑い街として有名な埼玉県の熊谷へ先
週末、花火大会を見に行ってきました。その名も「あついぞ!熊谷花火
大会」。先週でほんとよかったです。覚悟していた暑さも、川原という
こともあったのか、時折涼しい風も吹き、ゆっくり寝転んで鑑賞するこ
ともできたので最高でした。


さーて…大変お待たせしておりました熊野ツアー、いよいよ決定しまし
たヨ!

沢山の方々から、熊野ツアーの希望の声をいただいていたのですが、タ
イミングが整わずお待たせしておりました。
今回は土日祝という秋の3連休を使ってのツアーです!
大自然と、いにしえ人たちの祈りが今も息づいている熊野を、私達がベ
ストなプランを組み立ててご案内いたします。

この熊野の旅に、実は凄いサプライズがあります。

熊野本宮大社での一般非公開の歌会、熊野献詠歌・神前披講式に特別に
参列させていただけることになりました。昔から皇族の方々が熊野御幸
の際に、必ず行っていたという歌会が、八百年の時を経てもまだ行われ
ているのです。タイミングが整うとは、このようなことなのだと改めて
思います。今回の熊野の旅のテーマは「空と海と祈りを感じる」です。

熊野の大自然とともに、そこに今も尚続く祈りの精神を、十分に味わっ
てください。そんな訳で、15名限定の募集です。今、熊野にとても惹か
れている方、なぜかピンときた方は、出来るだけお早めにお申し込みく
ださい。


さてさて…
それから、事務所の奥を片づけしていたら、完売していたと思っていた
幻のTシャツや、海外から仕入れたままになっていた品が出てきました。
ならば、この際、こんなに暑〜い中、メルマガやHPをご覧いただいて
いる方々に、少しでも楽しんでいただこうと、とっておきのお宝情報を
お届けすることにしました。

題して「夏休み・お宝掘り出し市」です!

この掘り出し市に向けて、享子の「福丸くん」という可愛いくてお手軽
価格の絵画作品や、TEN’sショップでは販売していない、私のフォ
トアート作品も何点か出品しています。タイトル通り普段のTEN’s
ショップではご紹介していない品ばかりですので、どうぞ掘り出し物見
つけてくださいね〜!

では、みなさま、この暑さにめげず、どうにか乗り切りましょう〜♪


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◇◇今日の目次◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇
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1・コラム・風の文様===「ぶれない人」
2・TEN占い======今週は「タロットカード」占い
3・TEN’sショップ==「夏休み・お宝掘り出し市」開催中!
4・天と大地に感謝する旅=「熊野ツアー 2007」募集開始!
5・日本を堪能する旅===「大東京ツアー」〜粋な大人の江戸遊び〜
6・連載小説=======「雨弓のとき」24
7・編集後記=======ひとりごと
……………………………………………………………………………………
【1】◆◇コラム・風の文様◆◇
……………………………………………………………………………………

 ■「ぶれない人」

先日、テレビのキャスターが政治家のあるニュース報道をした後で、た
め息混じりに「ぶれている人、多いですね」と呟いた。

「ぶれている」とか「ぶれていない」とか、何を基準にするのかは、か
なり曖昧で定義が難しいところだろう。
だから、それぞれの価値基準で考えるしかないのだろうが、私は、その
人自身の指針ともいえる中心軸が、ゆれることはあってもぶれない人が
「ぶれない人」なのではないかと思う。それが定まった時、信念という
ものに変わるような気がする。

だから信念を持つようになるのは、容易ではない。
信念とは、自分を信じぬく力であり、ゆるがない確固たる思いを持ち続
けることであると私は思う。言い換えればその人の魂のと直結する力だ。

ぶれない人は、信念がコロコロ変わったりはしない。それは年齢には関
係がない。十代であっても何かに全身全霊傾けている人はぶれにくい。
しかし、ぶれる人は、五十代、六十代になっても、ぶれ続けている。
多分、指針の中心軸をしっかりと定めきれないのだろう。だから他者か
らどう見られるか、とか自分の考えは世間から見ると間違っているかも
しれない…などと、いつも自分自身を信じることができないのだ。

簡単にいうと、世間や他人の目に合わせようとすると、ぶれてくるのだ。
信じる道を生き続ける人は、ぶれない。他人からまた社会から多少ズレ
ているように見えても、ブレたりはしない。
そんな人が私は好きだ。

世界的な粘菌学者であり、日本へ最初にエコロジーという言葉を紹介し
た南方熊楠という人物がいる。天才肌の宿命なのか、世間一般からいう
と、協調性がなかったかもしれない。裸で過ごすことも多く、自分の思
ったまま、感じたまま、何事もやり通した人だから、彼を理解しきれな
かった人も多かったかもしれない。他者から非難されることも多かった
かもしれない。しかし、信念を真っ直ぐ生き抜いた熊楠は、やがて孫文
や昭和天皇からも信頼を得る人物となるのだ。

また、薬師寺の故高田好胤管長も、ぶれない人だったのではないかと思
う。タレント坊主と陰口をどれだけ言われても、薬師寺再構の信念を貫
く道として、テレビでお写経勧進をしたというのは、本当に凄いことだ
と思う。


何かの信念を持った人は、信念を持ったことが無い人から、理解しがた
く非難されることもある。誰しも非難や批判されることに弱い。
だから、つい非難されないよう、防衛策を講じて、都合のいいように自
分の信念を曲げてしまう人がいる。ぶれは、こんな心の隙に生じてくる
のだろう。しかし、ぶれない人は、理解してもらえない苦痛ごときで信
念を曲げることはない。

ぶれずに生きることは難しい。
しかし、ぶれずに生きている人は格好いい。

尊敬する先人達の、信念に生きる姿から学びたいことが沢山ある。


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【2】◇◆TEN占い◆◇
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所詮、天川 彩が占っているものですので、あまり深刻にとらえず、気
楽に楽しんでくださいね。
                          
今週も[タロットカード]で1週間の運勢を占ってみました。

2007年8月11日(土)〜8月17日(金)あなたの運勢

〈1月生まれ〉
今までやったことのない仕事が巡ってきて、プレッシャーに感じるかも
しれません。途中で投げ出すか、やり遂げるかで、これから先の繋がり
が、大きく違ってきそうですよ。

〈2月生まれ〉
気持ちが揺らいではいませんか?でも、確固たる思いで突き進んでいる
のなら、周りの意見に惑わされず、頑張り通してみましょう。ただ、嘘
は禁物です。

〈3月生まれ〉
やぶれかぶれの、無茶な行動を取ってはいませんか?へたをすると、自
分もまわりも傷つけてしまうかもしれません。今週のキーワードは冷静
さです。

〈4月生まれ〉
幸せ続きの一週間となりそうです。特に今週は家族との対話がキーワー
ドとなって、ラッキーなことが起こるかもしれません。

〈5月生まれ〉
行動的な一週間です。今まで知らなかったことも知識として沢山入って
きそうですよ。積極的に動いてみてね。

〈6月生まれ〉
心の財産が増えそうです。また新たに芽生えたことを、これから育てて
いく時でもあります。全てに優しい気持ちで接してください。

〈7月生まれ〉
大切なものを失って、心にぽっかり穴があいたような喪失感があるかも
しれません。でも、何もかもを失ったのではありません。本当に大切な
ものは、失ってはいませんよ。

〈8月生まれ〉
ことがなかなか進まず、イライラとはしていませんか?今週は焦らない
ことがキーワードです。進むときには一歩一歩であることを忘れないで
ください。

〈9月生まれ〉
追い風が吹いています。今まで滞っていたように思えたことが気持ちよ
いほど順調に進み出しそうですよ。何かを決めるときには即決してくだ
さい。

〈10月生まれ〉
今週は華やかさを追い求めるよりも、静かに過ごしてください。あなた
が求めていたヒントが見つかるかもしれませんよ。

〈11月生まれ〉
次々と状況が変化していきそうですが、うまく乗り越えられそうです。
気がついたら、思ってもみなかった新たな展開が待っているかもしれま
せんよ。

〈12月生まれ〉
行き詰っていたことに、新たな出口が見つかりそうです。また、新たな
チャンスがやってきたなら、勇気を持って進んでみてください。今まで
とは違った流れになりそうですよ。

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【3】◆◇TEN’sショップ◆◇
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        夏休み お宝掘り出し市!
         どどーんと開催中
       
       8月17日(金)〜 8月31日(金)

       http://www.office-ten.net/shop/summer.htm

      ★ TEN’sショップ内全ての品どれでも
        3点以上お買い上げの方には、もれなく
      500円分のチケット『TEN'sチケット500』
            プレゼント!!!

イベントの限定商品、海外出張で見つけてきたまま、倉庫に眠っていた
品、在庫数が少なくてHPでは紹介していない品、…TENを掘り出し
てみると、宝物がいっぱいありました!猛暑が続くこの期間、TENの
ホームページを訪ねてくださった方だけがゲットできる品ご用意しまし
たヨ!



★夏休み期間中ということもあり8月26日(日)までは、お申し込み先
着順ではなく、一旦全て受け付けさせていただきます。申し込み商品が
重なった場合、8月27日(月)に抽選を行い、その後、メールにてお
返事いたします。 メルマガを遅れて読んだ方も、お買い求めのチャン
スです!どうぞ、この機会にお求めください。


例えば…


●幻のオーガニックコットンTシャツ
「魂の帰還Tシャツ」
2625円(税込) 限定 5枚
Lサイズのみ
 送料 350円

オフィスTENの爆発的人気商品だった、
あのオーガニックコットン「魂の帰還Tシャツ」。
南東アラスカと日本に共通する神話をモチーフにした
このTシャツは、既に完売済みと思っておりましたが
事務所の奥で5枚ほど、静かに眠っていました。

優しい手触り、オシャレなデザイン、風合い、吸収性、
文句なしのTシャツです。この5枚で、完全に終了です。


ほかに…

●天川 彩 ファーストコレクション 99年制作
「SPACE TIME」
 ホエムカードセット(8枚組) 850円(税込) 
  
●ハワイ島で見つけてきた天然石ネックレス
「クジラの尾ひれデザイン ネックレス」一点限り

●アリゾナで見つけてきた可愛くて超便利なバッグ
「ココペリペリ柄 織物トートバッグ チャックつき」

●南東アラスカで見つけてきた神話のぬいぐるみ
「ワタリガラス ぬいぐるみ」 

●享子の「福丸くん」 10作品 

などなど…盛りだくさん!


どうぞ、お宝探しに来てください♪
 http://www.office-ten.net/shop/summer.htm

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【4】◆◇天と大地に感謝する旅◆◇
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     皆様、長らくお待たせいたしました!
           募集開始です

        「熊野ツアー 2007」  
     〜熊野の空と海と祈りを感じる旅〜

 2007年10月6日(土)〜10月8日(月・祝)
        2泊3日 朝夕食つき 
          限定 15名 最低施行人員8名
        58、800円(税込)
         関西空港集合・解散
         (貸切バス利用)
    
http://www.office-ten.net/kumano/2007/top.htm


(羽田空港ほか、飛行機をご利用の方はお申し出ください)


太古から、人々が目指した日本の聖域、熊野。
熊野の三山(本宮大社・速玉大社・那智大社・青岸渡寺)や熊野古道は
もとより、熊野の映像を1年間かけて制作した、私たちオフィスTEN
ならではの、とっておきの熊野に皆様をご案内いたします。せっかく、
遠く熊野の地まで行くのですから、千年、二千年前のいにしえ人たちに
思いを馳せて、最高の熊野での時を楽しんでください。


<旅の行程>

1日目

関西空港集合 貸し切りバスでまずは、熊野古道の入り口滝尻王子まで
参ります。再生する石といわれる胎内くぐりを終えたなら、しっかりと
昼食をとっていよいよ、発心門から熊野古道を歩きます。熊野らしい里
山の風景を見ながら歩くこと2時間。いよいよ目の前に現れる熊野本宮大
社で最初の参拝をいたします。この日は夕方から、一般は参列できない
特別な歌会に参列させていただきます。まずは温泉で汗を流し、着替え
を済ませてから、おごそかな会に参列させていただきましょう。会が終
わった後は、熊野の郷土料理をゆっくり味わってください。この日のお
宿は、なんと神社の敷地内。神様のお膝元で、貴重な一夜をお過ごしく
ださい。
                 宿泊・ 熊野本宮大社 瑞鳳殿

2日目

朝早く目が覚めたなら、朝もやにけむる本宮大社でひっそりと静かに一
人でお祈りする時間もいいですね。この日も、朝七時からの朝御饌祭に
参列させていただくことになりました。熊野本宮大社での時間をしっか
りと受け取った後は日本書紀にも登場する日本最古の神社「花の窟神社
」まで移動します。ここは国産み神話の女神・イザナミノミコトが祀ら
れています。ここではしばし熊野灘に打ち寄せる波の音を楽しんでくだ
さい。その後、熊野三山の一つ、速玉大社へお参りし、昼食後、那智に
移動します。那智大社と西国巡礼の一番札所ともなっている、青岸渡寺
でお参りを済ませたならば、本州最西端の串本へ向います。この日の宿
は漁師宿。目の前の海で獲れたばかりの新鮮な海の幸を存分に召し上が
れ。
                    宿泊・ 漁師民宿 坂地

3日目

この日の朝は、宿の目の前の絶景、橋杭岩に昇る朝日をしっかりと目に
焼きつけてください。海の中にそそり立つ岩が、何百メートルにも渡り
連なっている絶景は、なかなか他では見ることができません。この旅の
最後の目的地は、
熊野が生んだ世界に誇る天才、粘菌学者の南方熊楠の業績地を訪ねます。
熊野が今、世界遺産として守られたのも、この南方熊楠の功績によると
ころが大きいのです。そんな熊野の自然と歴史を存分に楽しんだ後は、
一路関西空港へ向います。


こんな凄い旅、是非ご一緒しませんか?


●TEN’sトラベルメンバーの為の旅企画
企画 オフィスTEN
手配 ワールドエクキプレス大阪 兵庫県知事登録旅行業第2-250

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【5】◆◇日本を堪能する旅◆◇
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 ★屋形船・相撲チケットなど予約期限があるため早めの締め切りです
   ☆☆募集締め切り 9月1日(月)15:00☆☆
              
       
     大東京ツアー 2007 
     〜粋な大人の江戸遊び〜
      
       参加者大募集中!!
 
    2007年9月15日(土)〜9月16日(日) 

   !) 屋形船での舟遊び代
    江戸前天ぷらほか夕食料理代+ビール・お飲物飲み放題
   !) 大相撲 秋場所観戦チケット券
   !) 落語木戸銭(早朝寄席)
   !) 下町散策 ガイド代
   !) めぐりんバス代
   !) 浅草のお宿 宿泊代 +朝食代      

      29,400円(税込)

    絶対、この価格安いです!
    
  募集定員 15名(最低施行人員 8名)

 詳しくは…http://www.office-ten.net/j/t-2007.htm


   まずは、江戸時代からの要の場所「両国散策」
   いたしましょう。
   国技館での大相撲九月場所を生で観戦した後は
   浅草に移動して、隅田川の屋形船。
   提灯が灯る和船の中で、
   揚げたてのアツアツ江戸前天ぷら頬張って
   大人の贅沢、舟遊びを満喫してください。
   
   船が浅草に戻ったならば、仲見世のすぐそばの
   旅館でゆっくり疲れを取ってください。
   都内や近郊在住の方であっても、たまには
   東京観光もオツなもの。
   早朝、静かな観音様に詣でるのもいいですね。
   翌日は、寄席での落語と洒落込んで、
   最後は、やっぱり一番人気の、谷根千散策。
   地元の私達が、穴場をじっくりご案内いたします。
   
   こんな贅沢なプログラム。
   二度と企画できないかもしれません。
   さ〜さ、赤字覚悟でご案内!
   

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【6】◆◇連載小説◆◇
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<今までのあらすじ>

高原祥子は、正月、久しぶりに母と二人の時間を過ごす。初詣の帰りに
知った父の末期癌。初めて母を一人暮らしの部屋に招き、久しぶりに親
子で一つの布団で寝るのだが、互いに寝付けない。気が付くと今まで積
もりに積もっていた話をしはじめる。

『雨弓のとき』 (24)                天川 彩

祥子にとって、父親はただ憎いだけの存在だった。幼い頃から、幸せな
家庭の子どもというものに、強烈に憧れがあったが、そんな淡い希望を
いつも、見事に裏切っていた父。よそに女性をつくり、子どもまでつく
って、自分たちを捨てたズルイ父。母親が離婚した後、一切父親の話は
しなくなったので、完全に関係が断ち切れていたと信じていた。しかし
母親はそんな父親と未だに連絡を取り合っていた。父と母は、互いに愛
と憎しみを抱えながら、祥子の知らない年月を重ねていたのだ。

「ねぇ、お母さん…。どうしてお父さんのこと嫌いにならないの?離婚
した時、あんなに傷ついていたのに」
「…。確かに傷ついていたかもしれない。ただ、もしかすると離婚する
までが、一番お父さんのことを憎んでいたかもしれないって思うの。そ
れだけ、お父さんのこと好きだったということかな」
「私には、理解できない」
「今は、好きとか嫌いとか、そんな感情じゃないんだけど」
敏子はそういうと、大きくひと呼吸おいて続けた。
「お母さんね、お父さんの最期、看取ってあげたいの」
「えっ?」
「お母さん、自分の人生を肯定したいの」
「全く理解できないんだけれど」
「そうか。理解難しい…か」

祥子は、敏子と布団で横になりながら、こんな話をしていることそのも
のが息苦しくなった。おもむろに布団から這い出すと、小さなストーブ
に点火して、膝を抱えて座った。真っ暗な部屋の中で、ストーブの小窓
から見える炎の揺れは、まるで祥子の心そのもののように思える。祥子
はじっと炎を見つめながら、自分の奥底に仕舞い込んでいたものが湧き
上がり、やがて抑えきれない感情と共に口を突いた。

「私…。私、ずっと幸せじゃなかった。他の子のように、普通の家庭に
どうして生まれて来なかったんだろうって、ずっと思っていた。お父さ
んは、よそで家庭つくっちゃうし、お母さんはいつも仕事ばっかり。だ
けど、それでもどうにか他の子のように、両親が揃っているだけでよか
った。だけど勝手に離婚して。親の離婚ってどれほど子どもが傷つくか、
わからないでしょ。自分の存在が生まれた家庭が完全に消滅するって、
自分が壊れていくようなんだから!なのに、なのに…。こんなに私を傷
つけておいて、よりを戻すみたいなのって何?お母さんの人生を肯定す
るって何よ。その前に、私の存在、肯定してよ!」

気が付いた時には、祥子の心の底に、へどろのようにへばりついていた
思いが、どろどろとあふれ出していた。
しかし、祥子はすぐさま後悔した。自分の怒りを今、母親にぶつけたと
ころで仕方がないとわかっている。感情のままに言葉を発したことで、
祥子自身の心も痛くなっていた。と、その時背中に温かい感触が広がっ
た。振り向くと、敏子が戸惑った顔で祥子の肩を毛布で包み突っ立って
いた。

「そうよね。そりゃそうよね。そりゃ、そうだ…」
敏子は、自分に言い聞かせるように、ブツブツと呟き続けていた。
「お母さん、ごめん…なさい。私、こんなこと一生言うつもり無かった
のに」
「祥子ちゃんを、そんなに傷つけていたのね」
「いや、だから言い過ぎてごめんなさいって…」
「ほんと鈍感なお母さんでごめんね。でも、なんだかほっとした」
「え?」
「祥子ちゃん、中学生ぐらいの頃から、ほとんどお母さんに口をきいて
くれなかったから。思春期だから難しいのかなってずっと思っていたん
だけど。大学生になって、家から出て行った後は、益々口をきいてくれ
なくなったし、ずっと、怒っていたんだ」
祥子はコクンと頷いた。
「お母さんは、祥子ちゃん産むまで母親になった経験ないし、生活を支
えるのが精一杯だったから」
再び祥子は黙ったまま頷いた。
「ごめんね」

敏子は祥子の頭を優しく撫でた。その感触は、幼児の時以来だったかも
しれない。母親の温かな手で撫でられているうちに、祥子は涙が止め処
なくあふれ出していた。

                          つづく…

……………………………………………………………………………………
【7】◆◇編集後記◆◇
……………………………………………………………………………………
明日より、例年行っている七夕の太々神楽講です。今年は例年より参加
者の方が多いのですが、実はその中に私の二人の娘達も初参加中です。
娘達にとっては、7年ぶりの天河神社となりますが、ご神事のお手伝い
などは勿論初めて。さてさて、どんな時間が待っていることでしょう♪
冒頭にも書きましたが、来週のメルマガはお休みです。再来週、また元
気にメルマガお届けしますね〜♪
                    aya