2007/07/27━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   ☆★☆ TEN's magazine  第278号  ☆★☆ 
  
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.office-ten.net

こんにちは。天川 彩です。

出勤途中、いつもの坂道に差し掛かった途端、蝉が一斉に鳴き始めまし
た。そこをプールカバンを振り回した小学生2人が、猛スピードで駆け
抜けて行ったのですが…こんな何気ない日常のひとコマに、夏を感じま
す。

皆さんは、この夏休みはどのように過ごされますか?私は、家族と共に
熊野に行こうと思っています。以前から熊野の話は、子ども達の耳にタ
コができるほど言っていたのですが、やっと、あの壮大な風景の中に連
れて行くことができそうです。

さて、今度の日曜日は第21回参議院選挙ですね。
私は、今日から「お伊勢さん2007」ツアーで、戻りは日曜日の夜に
なってしまう為…行って来ましたよ!不在者投票。

沢山の立候補者や政党があり、何処の誰に入れようか思案中だと思いま
すが、どうぞ皆さんしっかりと耳を傾けよく考えて、よりよき未来に繋
がると思われる人(政党)に投票してくださいね。

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◇◇今日の目次◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇
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1・コラム・風の文様===「親子の縁」
2・TEN占い======今週は「メディスンカード」占い
3・旧暦七夕神事=====お手伝いワーク参加者募集中
4・連載小説=======「雨弓のとき」22
5・編集後記=======ひとりごと
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【1】◆◇コラム・風の文様◆◇
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■「親子の縁」

親と子は古今東西、誰もが関わる関係だ。
どんな親のもとに生まれるのか、それを望むことはできない。また親も
子どもを選んで産むことはできない。
しかし、この世に生を受けた瞬間から、その縁は始まり、よほどのこと
がない限りその縁は切れることはない。

だから、親の影響はかなり大きい。

親は、子どもが初めて出会う人生の先生だ。礼儀作法や人との接し方、
人生観に至るまで、通常親から学ぶことがどれほど多いことだろう。
しかし、中には反面教師となることもある。
自分の親のようには、なりたくない、という人が世の中には沢山おり、
親との関係で悩む人が多いのも、縁の深さによるものなのだろう。

他人との中での摩擦なら、その回避策は多々ある。学校で悩んでいるの
なら転校という手もあるし、職場で悩んでいるのなら、転職したらいい。
友人との関係なら、お互い距離を持つということもできるし、夫婦間な
ら別居や離婚という手段もある。しかし、こと親子の間の縁は、そう簡
単にはならない。

親は子どもを授かって、初めて親になる。しかし、親が子どもを所有す
るのではない。子宝という言葉がある。それは自分たちの子という宝を
授かる、とは私は思わない。子どもという世の中の宝を授かり、一人前
の大人になるまで育てさせてもらう、というような気がしている。

自分に置き換えてかんがえると、とてもわかりやすいのだが、自分とい
う存在は、決して親の所有物や支配下に属する為に生まれてきたわけで
はないだろう。産み育ててくれた親には感謝しつつも、自分の人生をそ
れぞれが生きている。

しかし、子どもは所有物だと思い込んで、進学はもとより就職、結婚、
はたまたその後の生活にまで口を挟み込んでくる親も多々いる。
また、それを望む子どももいる。一言でいうならば、いつまでも子離れ
できない親と、親離れできない子どもなのだ。

他の動物を考えたとき、人間の情けない姿が見えてくる。
他の動物達の子育ては、ある一定の時期が過ぎると、子どもがきちんと
巣立つことができるよう、一人前の大人として生きていけるように教育
する。そこに甘やかしはない。そして時期が来たら、必ずきちんと巣立
ちの時を迎えさせる。巣立った後は、大人の仲間同士なのだ。

また逆に、大人の年齢に達しても、精神が大人になりきれない子どもが
いる。自分の親は大嫌い、という人が意外に多いのだ。確かに、色々な
親がいる。理不尽なことをされたり、言われたりしたなら、嫌だと思っ
て当然だ。しかし、どんな親であれ、この世に命を紡いでくれた、掛け
替えのない人で、その人の存在が産み育ててくれなければ、自分の今は
ないのだ。更にいうなら、例えどんな親であったとしても、その存在を
大きく包み、肯定する愛情が持てた時、その人は親の精神年齢を超えて
もっと大人になっているのかもしれない。

親は必ず自分よりも先に年老いていく。
生まれ育つときに、世話をしてもらった親を、今度は世話していく。
こんな美しい命の循環が、今はあたりまえではなくなっている。

両親は一番身近なご先祖様。
親がもしも生きているのなら、親孝行することが、一番のご先祖供養な
のだと思う。神社仏閣に行くよりも、パワースポットに行くよりも、ヒ
ーリングサロンに通うよりも、親にねぎらいの言葉をかけることが、結
局は幸せの近道のように私は思う。

子どもの立場、親の立場、その立場によって思うことは異なるのだろう
が、これほどの深い縁、やはりそれぞれ大切にしていきたいものだ。


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【2】◇◆TEN占い◆◇
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所詮、天川 彩が占っているものですので、あまり深刻にとらえず、気
楽に楽しんでくださいね。
                          
今週も[メディスンカード]で1週間の運勢を占ってみました。

2007年7月28日(土)〜8月3日(金)あなたの運勢

〈1月生まれ〉
今までやってきたことの成果が現れます。また、あなたがしてきたこと
を周りの人々にも是非、伝えてください。きっとその情報は周りの人達
に必要な物となりますよ。

〈2月生まれ〉
あなたのいる世界に濁りを感じながら、そのまま見過ごそうとはしてい
ませんか。もしもそう感じるならば、勇気を持って、濁りのない澄んだ
世界へ戻ってください。澄んだ空気があなたには似合います。

〈3月生まれ〉
自分でやらなければいけない事をわかっていながら、嘘をつき続けては
いませんか。嘘をつき続けていても、本当の夜明けはやってきません。
今一度あなたの心と対話してみてね。

〈4月生まれ〉
些細なことで、いらいらしてはいませんか。その根本原因を追及してみ
てください。答えが見えたとき、きっと明るい希望がみえるはずですよ。

〈5月生まれ〉
執着心が強くなっているようです。受け取ることを前提に与える事は、
真の豊かさには繋がりません。心の底から分け与えることに喜びを感じ
てみてね。

〈6月生まれ〉
今やるべき事を先送りにして、言い訳ばかり見つけてはいませんか。ま
ずは行動あるのみです。

〈7月生まれ〉
忙しさから、バランス感覚が失われているかもしれません。物事にはい
ろいろな側面があることを忘れないでね。

〈8月生まれ〉
同性の友達と、縁のある一週間です。思いもしなかった情報が入ってき
たり、心の底から笑いあえる時間がもてたりしそうですよ。

〈9月生まれ〉
今週は今まで以上に、あなた自身の深い本質の部分と向き合う一週間と
なりそうです。今まで想像もしていなかったあなたを発見するかもしれ
ませんよ。

〈10月生まれ〉
変化の時がやってきています。今までの古い習慣は脱ぎ去って、新たな
考え方を受け入れるときでもあります。

〈11月生まれ〉
ストレスを多く抱えて、新鮮な空気を吸うことを忘れてはいませんか。
今週のあなたのキーワードはリラックスです。ゆっくりと呼吸をし、自
分自身の感覚を取り戻してくださいね。

〈12月生まれ〉
健康に感謝するのを忘れてはいませんか。日々の暮らしに忙しすぎて、
様々なことをおざなりにせず、今一番大切だと思うことをまずは実行し
てください。


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【3】◆◇旧暦七夕神事  ◆◇
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   そろそろ定員に達します。お考え中の方お急ぎください。
 
       人         
       ̄Y ̄*
         天河太々神楽講2007
          『天の川に祈る』☆
      万物の「いのち」尊ぶ・旧暦七夕祭 *

        2007年8月18日(土)〜20日(月)
           現地集合・現地解散
             
     ★奈良・天河神社七夕祭 お手伝いワーク
   http://www.office-ten.net/tatakagura/2007.htm

奈良県吉野の山里で、千三百年続いている天河神社。
自分自身の根源と触れるため、太古より遠路はるばる人々が訪れる聖地
で年に一度、旧暦七夕の日に行われている「七夕祭」。

ご神殿でのご神事…
仏式による万霊の御霊供養…
天の川に於いての灯篭流し…

幻想な美の世界と祈りの時間が、天河の七夕祭です。
この『天の川に祈る』と題したワークでは
神社でのお祭り準備から、ご神事の当日のお手伝い、そして翌日の
後片付けまでと、全てに関わらせていただきます。
年に一度の特別なワークですので、神社から白作務衣をお借りします。
神社に奉職されている方々のご指導のもと、お祭りに参列される方々を、
静かにお迎えしてください。

神社のお掃除や短冊の受付け
奉納される馬弓ご神事のお手伝い
そして、二千基にも及ぶ灯篭流しのお手伝い

それら全てに関わる時間が
参加されたお一人お一人の魂心再生に
きっと繋がることでしょう。

静かな祈りの時、是非ご一緒したしましょう。
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■平成19年8月18日(土)〜8月20日(月)
      (今年の旧暦七夕は8月19日(日)です。)
■参加費 36,000円
   2泊3日お食事つき 宿泊 神社正面『本家 柿坂』別館貸切

■現地集合(13:30)・現地解散(12:00)
お申し込み頂いた方には交通機関などの詳しい資料を送付いたします



『天河太々神楽講・天の川に祈る』によせて・・・

自然の中に神々があるというアニミズム的な考えは、私たちのはるか遠
く5千年以上も前の縄文時代の祖先たちから、脈々と続いてきました。
その生命観は、今も日本の神社の中で生きつづけていますが、中でも、
宗教という枠を越え、国や人種、性別、年齢、全ての枠をも越えて、
開かれているのが天河神社です。太古からの聖地として空海や世阿弥を
はじめ多くの先人たちが、自らを見つめる場として、また芸を奉納する
場として訪れています。

天河太々神楽講に講元として、皆さんをご案内する役目を賜ってから今
年で9年目を迎えます。講元とは指導者ではなく、人と大いなる根源と
のつなぎ役です。私は天川の名を名乗らせていただいているので、毎年
この七夕祭の折、感謝の意味も込めて講元をさせていただいております。

この「天の川に祈る」と題したワークは、御神事そのもののお手伝いを
ワークとし、お祭り前日の準備から社殿の掃除、御神事当日のお手伝い
そして翌日の片づけまで、神社の方々、地元の村の方々と共に過ごす、
大変貴重なものです。また、笹に結ぶ短冊に、「真」の祈りの言葉や願
いの言葉を連ねる為のワークショップも祭り前日に行います。

本年も天河における七夕祭りの御神事手伝いへ皆様をご案内しようと思
います。どうぞ、ご自身の根源と繋がりたいと思っていらっしゃる方、
どうぞお待ちいたしております。

                      講元 天川 彩

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【4】◆◇連載小説◆◇
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<今までのあらすじ>

高原祥子は、正月、久しぶりに母と二人の時間を過ごす。初詣の帰りに
知った父の末期癌。祥子は初めて母を一人暮らしの部屋に招いた。

『雨弓のとき』 (22)                天川 彩


祥子は部屋の締め切っていたカーテンを開き、窓を開けた。冬のひんや
りとした空気が、籠もっていた空気と入れ替わりに入ってくる。

母親の敏子は、駅前のスーパーで買い込んできた食料を冷蔵庫に詰め込
んでいる。玄関にはまだ手付かずの大きな袋が二つ。シャンプーや食器
洗いの洗剤や、歯ブラシやパジャマまで…。いらない、と何度言っても
次々と買い物カゴに放り込んで、さっさとレジを済ませてしまったのだ。

祥子は、冷蔵庫の前にしゃがみ込む母の後姿を見ながら、幼い頃の記憶
を重ねていた。小さな頃は、いつも面倒をみてくれる祖母よりも、やは
り母が大好きで、母が仕事から帰ってくるとエプロンにしがみついて、
離れなかった。なのに、母がいつの頃からか好きではなくなったのは、
母は母としてだけ生きているわけではない、と知った時からかもしれな
い。しかし、やはり今のこの姿は母親そのものなのだ。母の中に女も母
もいる。この当り前のことを、この日祥子はようやく肯定することがで
きた。

祥子は、ヤカンに入っていた水を捨てて、新しい水を注ぎ込むと、コン
ロに火をつけた。そして、買ってきたばかりの真新しいコーヒーの袋を
あけ、二人分のマグカップを用意した。

「あれ?コーヒー入れてくれているの?」
敏子が冷蔵庫を閉めながら振り向いた。
「少しはサービスしなきゃね」
「まぁ調子いいんだから。でも、嬉しいな」
「実は私が飲みたかったんだ」
「それにしても、ここが祥子の部屋なのよね」
敏子はそういうと、狭い部屋の中を一周まわった。女の子らしい装飾品
などほとんど無い。それは子どもの頃から変わらないので、さほど驚き
はしなかったが、それにしてもサッパリしている部屋だと思った。

祥子が真新しいコーヒーにお湯を注ぐ。と、部屋の隅々まで芳香が広が
った。
「う〜ん、いい香り」
敏子は、小さな食卓テーブルに座ると満足そうに、マグカップに入った
コーヒーを口に含んだ。
「あのさ、ごめんね…」
湯気越しに、祥子が小さく呟いた。
「え?何?」
敏子は祥子が何を言っているのか聞き取れなかった。いや、厳密にはご
めんね、と小さく聞えたように思えたのだが…そんな謝られる心当たり
はない。だから、聞き違いだと思って問い直したのだ。
「だから、ごめんね」
敏子は自分の聞き違いではないことがわかった。しかし、やはり意味が
わからない。
「ねぇ、祥子ちゃん、何がごめんね、なの?」
「いや…なんだかいろんなこと」
「いろんなこと?」
「もう、いい加減、私も二十歳なんだから、いろんな意味でもっと大人
にならなきゃダメなんだよね。今日もくだらないことで、ムキになって
格好悪いと思うしさ、反省しているんだ」

敏子は驚いた。祥子が自分から素直に謝ったことなど、今までなかった
かもしれない。コーヒーをさっさと飲み干して、エプロンを着けて台所
に立つ祥子を、敏子は眩しい思いで見つめていた。



第五章


母と一つの布団で眠ったことなど、あっただろうか。祥子は、妙な緊張
感で、体が縮まり何度も寝返りを打った。

「どうしたの?眠れないの?」
「ごめん。起こした?」
「いや、お母さん、まだ眠っていないから」
「そうなんだ。もう、すっかり寝ているのかと思った」
「…」
「こうやって、お母さんと一緒に寝たことあった?」
「小さい頃は、こうして一緒に寝ていたのよ。でも、そうよね。覚えて
いない年齢だったものね。祥子ちゃんが眠るまで、こうして横で頭なぜ
て、子守唄だって歌ったのよ」
「いやだ。そんな母親らしいこと、本当にしていたの?」
「祥子ちゃんから見たお母さんて、どんな人に見えていたんだろう」
「う〜ん…。その質問は難しいな。小さい頃のことなんか覚えていない
し」
「そうか。そうだよね」
「あのさ、一つ聞いていい?」
「何?」
「お父さんとのこと…」

                          つづく…

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【5】◆◇編集後記◆◇
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先週末、伊勢に行った折、内宮で皇太子さまをお見かけした。お木曳き
されにいらしていた皇太子さまが、ありがたいことに、目の前に立たれ
た。有難すぎて、思わず手を振ってしまった。
                          aya