2007/07/20━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆★☆ TEN's
magazine 第277号 ☆★☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.office-ten.net
こんにちは。天川 彩です。
今週、新潟の柏崎を中心に大きな地震がありましたね。皆様、大丈夫で
したでしょうか。今はただ被災された方々が一日も早く、通常の生活に
戻られますよう、お祈りいたします。被災された方々へ、せめてできる
こととして、下記の赤十字で義援金を受け付けていますのでお知らせい
たします。
http://www.jrc.or.jp/sanka/help/news/1247.html
私も、阪神大震災の折、お会いしたこともない全国の方々に、沢山の愛
情をいただいたので、無理のない範囲で、ささやかながらのご協力は
させていただきました。
連日、テレビなどで被災地の状況が流れていますが先日ある一人暮らし
のお婆さんが語った言葉がとても印象的でした。
「何処にいたって同じ。昔の暮らしに戻ったと思って、太陽が出ている
時に動き、陽が沈んだなら蝋燭をともし、食べ物は野菜を工夫して食べ
たらいい。肝を据えて過ごすだけだよ」と淡々と話していたのですが、
なんとも格好よかったです。
さて、先週のメルマガで「先住の民の小物たち」のご紹介をしたところ
沢山のご注文メールをいただきました。皆様、本当にどうもありがとう
ございました。ほとんどが一点ものということもあり、折角ご注文メー
ルをいただいても、ご希望の品が既に売り切れでお渡しできなかった方
々も多くいらっしゃいました。ごめんなさい。残りは、ほんの数点とな
りましたが、ご縁ある方が迎えに来てくださるのを、これらはじっと待
っているようにも思えます。よろしければ、再度HPをご覧いただき、
ピンとくるものがあるようでしたら、どうぞお求めください。
それから、先週キャンセルが一名出ていた「お伊勢さん2007」です
が、お陰様で満席となりました。また伊勢ツアーに関しては、内容を若
干変化させながら、来年も再来年もご遷宮までの間続けてまいりたいと
思っております。
現在、奈良・天河神社での旧暦七夕祭りお手伝いワークを受付中です。
私にとって久しぶりの天河。ゆったりとした流れの中で、また素晴らし
い方々と豊かな時間を過ごせるのかと思うと楽しみです。
心のリフレッシュタイムを必要とされている方、是非、天河のご神事お
手伝いワークに参加してみませんか?価値観が、ほんの少しだけ変わる
かもしれませんよ。
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◇◇今日の目次◇◇
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1・コラム・風の文様===「あの世とこの世のハナシ」
2・TEN占い======今週は「タロットカード」占い
3・旧暦七夕神事=====お手伝いワーク参加者募集中
4・連載小説=======「雨弓のとき」21
5・編集後記=======ひとりごと
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【1】◆◇コラム・風の文様◆◇
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■「あの世とこの世のハナシ」
夫は無類の落語好き。彼に影響を受けたのか、長女は大学の落語研究会
に入った。先日も「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむ
れ)」という演目の落語を聞き感銘を受けたという。聞くと、人が死ん
でからすぐに向かう世界や閻魔様の前に行く話など、漠然とだが確かに
知っているような内容の落語だった。
思い返せば、私は閻魔様の話だとか極楽地獄の話が好きな子どもだった。
「嘘をついたら閻魔様に舌を抜かれるよ」とか「悪いことをしていたら、
地獄に落ちてしまうよ」とか…幼心に私はその話を信じ込み、悪いこと
はしてはいけないんだ、と強く思っていた。いや、正直なことをいうと、
今も、あの世には極楽も地獄もあると信じている。
昔、熊野の信仰を全国に伝える熊野比丘尼と呼ばれる女性達がいた。
那智曼荼羅図もしくは観心十界曼荼羅図という大きな絵を持ち歩き、全
国行脚をした彼女達は、要所要所で、その曼荼羅図を開き、絵解きをし
ながら仏教的な教えを説いてまわった。
全国各地に熊野神社が今も多くあるのは、比丘尼たちが行脚して信仰を
広めた功績が多大である。
「熊野大権現」撮影時のことだが、熱心に熊野信仰の話をしていると、
熊野在住の様々な人から「天川さんは、かつて絶対に比丘尼だったんだ
よ」と必ず茶化されていたのだが、自分でも、もしかするとそんな時代
も過去にはあったのではないかと薄ボンヤリ思ったりもする。
「熊野観心十界曼荼羅」の絵は大きく分けて、上下二つの教示に分かれ
ている。上には、虹のような弓状の道があり、右から赤ちゃん、幼児、
少年少女、青年…というように老人になるまでの姿が描かれており、最
後は墓地になっている。その真ん中に「心」という文字が書かれている
のだが、そこから朱色の十本の線が延びている。それが十界と呼ばれる
ものを現す線なのだとか。十界。すなわち、地獄・餓鬼・畜生・阿修羅
・人間・天上・声聞・縁覚・菩薩・仏。
心の持ちよう行動の変化によって、十界に分かれていくという仏教の教
えなのだが、この曼荼羅図の下半分には、地獄・餓鬼・畜生・阿修羅の
四界の絵図が描かれている。特に多いのが地獄の図。
様々な悪行をした末は、こんな地獄が待っている…という教えは、子ど
もの頃に聞いたものそのままなのだ。ただ、中にはあきらかに、不条理
ではないのか?と思えるようなものも含まれている。しかしそれは時代
的な背景の中での教えなのだろうから、取り立てて今目くじらを立てて
も仕方がない。
要するに、人は生きている間に、しっかりと良い心持を持って行動して
いかないと、死後の世界は大変な状況が待っていますよ、という戒めが
そこにある。
だから世間一般にあるような死=不浄とする考え方は、私はどうもしっ
くりとこない。また死=悲と決め付けるのも、どんなものかと最近は思
っている。
命あるものは、いつか必ず死ぬ。それは命の大きな区切りで、この世の
卒業式なのだが、同時に、あの世の入学式でもある。きっと、私が死ん
だ時には、この世との別れを惜しんでいる間もなく、あの世で、数々の
出来事に「おぉぉ!」と驚きながらも楽しんでいるに違いない。
だから、家族やスタッフには、私が死んでも笑って見送って欲しいと言
っている。
今は、そんな私だが、昔は全く考え方が違っていた。書くのもお恥ずか
しいのだが…
私は28歳で死ぬのだろうと、かたくなに思い込んでいた。始まりは高校
生の時に参列した、祖父の通夜席でのこと。自分のまわりの人々が平気
な顔をして淡々としながら参列していたのだが「この歳で亡くなったの
は大往生だ。本人も人生にきっと満足しているだろうが、これはお祝い
なのだ」と言う話に、強烈に驚いた。そして決意した。
ー長生きをし過ぎていると、死んだ時に誰からも泣いてもらえなくなる。
長生きなどするものではない。私は「人生コレカラ」という時に惜しま
れながら死ぬのだ。自分の葬式にみんなが泣いて、悲しんでくれる為に
は、人生これからというピーク、そう…今から十年後の28歳で死ぬのが
いい。それも不治の病とか、交通事故とか。みんなが葬式で泣きはらす
ようなそんな死なのだー
私はかなりのバカだったのだ。
27歳になった時、ふと自分の寿命のことを思い出し、無邪気に遊ぶ子ど
も達を見ながら急に悲しくなった。
そして28歳になった時「いよいよだ…」と変な覚悟を決めた。十年近く
も思い続けてきた寿命年齢だっただけに、かなりそれはリアリティを持
っていた。
しかし…私の予想は裏切られ、思い切りピンピンしたまま28歳は何事も
無く終わった。自殺願望が全くなかったことが幸いだったのだろう。私
は、自分の寿命は自分で決められないのだと、30歳を目前にして初めて
はっきりとわかった。
今、私は神仏が生かさせてくださる寿命が尽きるその日まで、精一杯生
きるぞ!と思っている。大往生した祖父や、笑いながら見送った親や伯
父伯母の気持ちが今になってわかるような気がする。
死んだら何処へいくのか、やはりその先はわからない。ただ、それはあ
の世に行ってからのお楽しみに取っておくことにしよう。
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【2】◇◆TEN占い◆◇
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所詮、天川 彩が占っているものですので、あまり深刻にとらえず、気
楽に楽しんでくださいね。
今週も[タロットカード]で1週間の運勢を占ってみました。
2007年7月21日(土)〜7月27日(金)あなたの運勢
〈1月生まれ〉
大きな幸福感に包まれる一週間です。今まで積み上げてきたものが、い
よいよ結果として表れそうです。またあなたの想像以上の変化がやって
くるかもしれません。喜びと感謝で受け取ってね。
〈2月生まれ〉
不安が取り除かれ、安定した心持で過ごせる一週間です。また家族や仲
間との会話も弾みそうです。積極的にそんな場には加わってください。
〈3月生まれ〉
しかるべき時の為に、お金も時間も無駄遣いしないようにしましょう。
あまり必要性を感じないのに、今までの付き合いがあるからとズルズル
顔を出していた集まりには、きっぱりと断る勇気も持って。
〈4月生まれ〉
あれこれ考えすぎて、動くことが怖くなってはいませんか?あなたの中
で、悪い結果を勝手に作り上げていると、必要なタイミングを失ってし
まいますよ。
〈5月生まれ〉
尊いことと喜んでいたはずなのに、日々の中でありがたさの慣れっこに
なってしまい、感謝の気持ちすら忘れてはいませんか?今の状態は決し
て当たり前ではなく、また永遠でもないのです。初心を思い出してね。
〈6月生まれ〉
相手からやってくるのを待ってはいませんか?その相手とコミュニケー
ションを取りたいのであれば、自ら動かなければ何も始まりません。待
っているだけでは変化は望めませんよ。
〈7月生まれ〉
今の状態は、マンネリ化していませんか?やめようと自分でわかってい
ることは、本気でやめてみましょう。言っているだけでは何も変わりま
せんよ。
〈8月生まれ〉
自分の感情にあなた自身が振り回されているのかもしれません。今週は、
感情的にならず、冷静に何事も受け止めてみて。
〈9月生まれ〉
大きな変化の時がやってきました。今までずっと興味を持っていたもの
が色あせて見えるかもしれません。もっと本質的な深いものに目が向い
てきているので、自分の内面と対話してみてください。
〈10月生まれ〉
何事も逃げ腰になってはいませんか?また、つい現実逃避のクセが出て
はいませんか?真実の道は、浮ついたものの中にはありません。たった
一度の人生です。現実逃避は現実を変える力には、決してならないこと
を思い出してね。
〈11月生まれ〉
過剰に他人の意見や世間体を気にしていませんか?外野の声に耳を傾け
ていると、自分が実は何がしたかったのか、意味がわからなくなる可能
性があります。今週はしっかりと、あなた自身を取り戻してね。
〈12月生まれ〉
追い風が吹いています。あなたが今集中しなければならないことを懸命
にこなしてください。思いもしていなかった朗報が舞い込んでくるかも
しれません。直感を信じて進んでね。
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【3】◆◇旧暦七夕神事 ◆◇
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只今、好評募集中です!
人
 ̄Y ̄*
天河太々神楽講2007
『天の川に祈る』☆
万物の「いのち」尊ぶ・旧暦七夕祭 *
2007年8月18日(土)〜20日(月)
現地集合・現地解散
★奈良・天河神社七夕祭
お手伝いワーク
http://www.office-ten.net/tatakagura/2007.htm
奈良県吉野の山里で、千三百年続いている天河神社。
自分自身の根源と触れるため、太古より遠路はるばる人々が訪れる聖地
で年に一度、旧暦七夕の日に行われている「七夕祭」。
ご神殿でのご神事…
仏式による万霊の御霊供養…
天の川に於いての灯篭流し…
幻想な美の世界と祈りの時間が、天河の七夕祭です。
この『天の川に祈る』と題したワークでは
神社でのお祭り準備から、ご神事の当日のお手伝い、そして翌日の
後片付けまでと、全てに関わらせていただきます。
年に一度の特別なワークですので、神社から白作務衣をお借りします。
神社に奉職されている方々のご指導のもと、お祭りに参列される方々を、
静かにお迎えしてください。
神社のお掃除や短冊の受付け
奉納される馬弓ご神事のお手伝い
そして、二千基にも及ぶ灯篭流しのお手伝い
それら全てに関わる時間が
参加されたお一人お一人の魂心再生に
きっと繋がることでしょう。
静かな祈りの時、是非ご一緒したしましょう。
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■平成19年8月18日(土)〜8月20日(月)
(今年の旧暦七夕は8月19日(日)です。)
■参加費 36,000円
2泊3日お食事つき 宿泊 神社正面『本家
柿坂』別館貸切
■現地集合(13:30)・現地解散(12:00)
お申し込み頂いた方には交通機関などの詳しい資料を送付いたします
『天河太々神楽講・天の川に祈る』によせて・・・
自然の中に神々があるというアニミズム的な考えは、私たちのはるか遠
く5千年以上も前の縄文時代の祖先たちから、脈々と続いてきました。
その生命観は、今も日本の神社の中で生きつづけていますが、中でも、
宗教という枠を越え、国や人種、性別、年齢、全ての枠をも越えて、
開かれているのが天河神社です。太古からの聖地として空海や世阿弥を
はじめ多くの先人たちが、自らを見つめる場として、また芸を奉納する
場として訪れています。
天河太々神楽講に講元として、皆さんをご案内する役目を賜ってから今
年で9年目を迎えます。講元とは指導者ではなく、人と大いなる根源と
のつなぎ役です。私は天川の名を名乗らせていただいているので、毎年
この七夕祭の折、感謝の意味も込めて講元をさせていただいております。
この「天の川に祈る」と題したワークは、御神事そのもののお手伝いを
ワークとし、お祭り前日の準備から社殿の掃除、御神事当日のお手伝い
そして翌日の片づけまで、神社の方々、地元の村の方々と共に過ごす、
大変貴重なものです。また、笹に結ぶ短冊に、「真」の祈りの言葉や願
いの言葉を連ねる為のワークショップも祭り前日に行います。
本年も天河における七夕祭りの御神事手伝いへ皆様をご案内しようと思
います。どうぞ、ご自身の根源と繋がりたいと思っていらっしゃる方、
どうぞお待ちいたしております。
講元 天川 彩
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【4】◆◇連載小説◆◇
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<今までのあらすじ>
高原祥子は、正月、久しぶりに母と二人の時間を過ごすことにしたのだ
が、初詣の帰りに立ち寄った喫茶店で、父親の末期癌を知らされ…
『雨弓のとき』 (21) 天川 彩
「祥子。どうしちゃったの?まるで大人みたい。お母さん払うわよ」
祥子がレジの前に出した伝表を、母の敏子は慌てて持ち上げて、鞄から
財布を取り出した。
「いいって。別にこのぐらい」
「何言ってるのよ。まだあなたは学生で社会人じゃなんだから、そんな
大人びたことしなくていいのよ。ちゃんとまともに稼げるようになって
からにしなさい。そんな格好つけるのは」
「…」
祥子は、自分が出していた財布を、ポシェットの中に押し込め、喉元ま
で出かけていた言葉をぐっと飲み込んだ。正月早々、外の喫茶店のレジ
で口論などはしたくなかった。
本当は生まれて初めて、親におごってみたかった。良一と「正月は互い
に親孝行しようよ」という約束のことも、頭の隅にあったのだが、祥子
にしてみると、ほんの少し大人の仲間入りのようなことがしてみたかっ
ただけなのだ。
店の外に出ると、祥子は無言のまま早足で駅の方へ歩き出した。
敏子は、小走りになりながら祥子の後ろをついて行った。
「ちょっと、祥子。何怒ってるのよ」
「別に…」
「あー、祥子の『別に』が出た。やっぱり、怒っているんじゃない。何
?お父さんのこと、そんなに嫌なの?」
祥子は敏子の声が聞えないふりをして、更に足早に歩いた。
「そうか…。お父さんの病気のこと、言わなきゃよかったわね」
「違う!」
祥子は急に立ち止まり、大きな声を出した。そして敏子の顔を真っ直ぐ
見て続けた。
「お母さんのデリカシーの無さが嫌なの。昔から大嫌いなの」
「え?デリカシー?」
「もういいよ。大晦日から元旦にかけて、一緒に過ごしたんだから、私、
自分の家に帰っていいでしょ。越谷には私戻らないから、悪いけど一人
で帰って」
「…」
初詣帰りらしきカップルが、祥子と敏子の姿を横目でチラッと見て、通
り過ぎていった。祥子はバツが悪くなり、急に他人のフリをして歩き出
した。しばらく歩いた所で敏子の方を振り向くと、敏子は先ほどの場で
うつむきながら小さな肩を震わせていた。祥子は、瞬間的にマズイと思
い、道を引き返した。
「ごめん…なさい」
「…」
「つい」
「あのさ、デリカシーないんだよね。お母さん」
「だから、ごめんって言っているじゃない」
「お母さん、なんで祥子が怒っているのか、まだよくわからないの」
「あ、いや…そうか。ね、もういいじゃない」
「お母さん、デリカシーないから、教えて」
「いやだ、お母さん。ほんとごめんね。傷つけちゃったよね」
「そんなことじゃなくって、何で祥子を怒らせた?」
「あ…。いや、ほらさっき、レジのところで私がお金払おうとした時に
さ」
「まだ社会人じゃないんだからってこと?」
「なんていうのかなぁ。お茶代ぐらい、まともに稼げるようになってか
らって注意されるような、そんな金額じゃないじゃない。初めて親にお
茶ぐらい、おごってみようと思ったのにさ…なんか、もの凄くガッカリ
っていうか…」
「そうか。それはお母さんが悪かったよね。祥子の優しい気持ちを踏み
にじるようなこと自分じゃ気がつかないけれど、言っているんだよね」
「私もそうだから。いや…私なんか、お母さんが傷つくってわかってな
がら、わざと言っていたかもしれないし。…ごめんなさい。そうだ。お
母さん、今日私の部屋に泊まらない?」
「え〜?祥子の部屋に?」
「だって、ここから直ぐだし」
「そうよね。根津だもんね」
「そうしようよ。お母さん我が家に泊まったことないし。お布団一つし
かないけれど、くっついて寝たらいいよね?」
「祥子がいいんなら、勿論お母さんはいいけれど」
「それじゃ、決まり。私、夕飯作るから」
「あら…家のお節持って来たらよかったわね」
「また明日戻って食べようよ」
「祥子、また越谷に明日戻って来てくれるの?」
「三が日は一緒に過ごすって、決めていたんだ」
「そうなんだ」
「私、お料理作るからさ、お母さん材料だけ買ってくれる?」
「あれ?さっきはおごれなかったって怒っていたんじゃないの?夕飯は
おごってくれないの?」
「飛び切り美味しいの作ってあげるから。でも夕食の材料代は甘えちゃ
いたいな、なんて。ダメ?実はお財布に今、三千円しか入ってないの。
お茶ならおごれたんだけど、夕食の材料代払ったら、結構キツイんだ」
「そうか。お年玉まだあげてないものね」
「いや、お年玉はいいよ。私、もう成人だし」
「でもまだ学生じゃない」
「だけど、大人の年齢だからさ、それはいいよ」
「ほんと、祥子ちょっと離れている間に、なんだか急に大人になったの
ね」
祥子は、良一と過ごした年末の時間を、急に思い出してほんのり顔が赤
くなった。
つづく…
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【5】◆◇編集後記◆◇
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今夜、これから夜行バスで伊勢に向かう。二十年に一度の川曳きは、今
週と来週だけなのだ。皆さんをご案内するのに、何処で見たらいいのか
わからないというわけにはいかない。猿田彦神社さんから、川のルート
マップを送っていただいたが、地図上だけではなく現地に行っておこう
と思った。それにしても、今年、伊勢は幾度通うことになるのだろう。
aya