2007/01/26━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   ☆★☆ TEN's magazine  第252号  ☆★☆ 
  
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.office-ten.net

こんにちは!天川 彩です。

今週は、人と再会したり新たに出会ったりと、多くの方々に出会う一週
間でした。話が弾んで、つい時間を忘れて…なんてことも多かったので
すが、やはり、共鳴しあえる人とお喋りできる楽しさは、格別ですね。

相変わらず、連日のように悲しくなるようなニュースが流れてきますが、
少し前までの諦めムードや、無関心といった風潮が少しずつ変わってき
ているように感じます。真剣に様々な問題と向き合っていくことは大切
だと思いますが、中には、あまりに過敏にヒステリックになり過ぎてい
るのでは?と思えることもありますよねぇ。
肩の力を抜いて、穏やかに、日々感謝の心で丁寧に過ごしていたら、誤
魔化しているものも、ブームの仕掛け人たちの下心も見えてくるのでは
ないかと思います。

実は昨日、出版社に勤めている友人が事務所へ来てくれたのですが、素
敵な本をお土産に持ってきてくれました。
 『しばわんこの和のこころ』(絵・文:川浦良枝 出版:白泉社)
 http://www.hakusensha.co.jp/book_review/sibawanko2/com.html
という絵本なのですが、可愛い柴犬「しばわんこ」を中心に、登場人物
たちが、日本人として大切に守っておきたい「風習」や「伝統」「日常
のマナー」などを、わかりやすくナビゲートしている優れものの本です。
タイトルだけは以前から耳にしていたのですが、実物を手にとって感動
しました。NHKで短い時間ですが番組もしているようです。ですので
既にご存知の方も多いかとは思いましたが、とっても素敵な本だったの
で皆さんにもご紹介しました。

さて、先週ほんの少しだけお伝えした、都内での「熊野大権現」上映会
&トークですが、以前より要望があった関西でも、3月2日(金)に開
催することにしましたよ!会場は、阪急神戸線「武庫之荘」駅(梅田か
ら15分)の駅前です。実は、もう25年も昔の話ですが…かつて私はそ
の武庫之荘で暮らしていたことがあったので、懐かしい限りです。

ただ、3月下旬に行おうと思っていた熊野ツアーですが、宿泊施設等の
関係で延期になってしまいました。楽しみにされていた方がいらっしゃ
いましたら、ごめんなさい。改めて、日程調整等をした上でツアーの募
集が出来ればと思っております。熊野を知りたい方、熊野の空気感を味
わいたい方は、今回のイベントに是非お越しください。

それから、上映会翌日3月3日(土)には、「TENの集いin関西」も
開催いたします。関西在住のメルマガ読者の皆様、ツアーに参加してみ
たい方、かつて参加された方、どんな方でも大募集。
特に、このメルマガを読んでくださっている読者の方々は、感性豊かな
素敵な方ばかり(私の知っている限り)。そんなお友達づくりにも、役
立ててくださいネ。前日の上映会&トークとTENの集い、両日参加し
ても、2500円とメチャ安です(笑)!

また、先週さらっとインフォメーションしましたが、バレンタイン応援
特別企画として『恋のはなし』ミニ講座&みんなの座談会を2月12日
(月・祝)に開催いたしますヨ。
場所は、東京の静かな庭園、六義園。散策したり、ミニ講座で恋愛力を
アップさせたり、お茶とお菓子で語り合ったり…サクサク〜っと参加し
ていただけるような内容です。よろしければ、是非是非「恋バナ」の一
日も楽しんでくださいね!

東京、大阪以外にお住まいの方々、また何かで招いてくだされば、時間
の許す限り、あなたの街へも参上いたします♪

では、今週も連載小説の続きをお楽しみください。

それから、すご〜く久しぶりなのですがHPに連載中の「たまたま」続
きも書きました。http://www.office-ten.net/rensai/f-tamatama.htm
よろしければ、こちらもお時間ある時にでも読んでいただけると嬉しい
です。


……………………………………………………………………………………
◇◇今日の目次◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇
……………………………………………………………………………………
1・コラム・風の文様===「やっぱり人が好き」
2・TEN占い======今週も「メディスンカード」占い
3・バレンタイン特別企画=「恋のはなし」ミニ講座&みんなの座談会
4・天と大地に感謝する旅=「旧正月を久高島で迎える沖縄の旅」
5・新・連載小説=====『雨弓のとき』(3)
6・最新情報=======「ザ・熊野DAY」in東京&in大阪
7・編集後記=======ひとりごと
……………………………………………………………………………………
【1】◆◇コラム・風の文様◆◇
……………………………………………………………………………………
□「やっぱり人が好き」

二十年近くも前になるが「やっぱり猫が好き」というTV番組があった。
もたいまさこさん、室井滋さん、小林聡美さんの個性派人気女優が三姉
妹に扮して繰り広げる、絶妙な味わいのドタバタドラマで、当時かなり
話題になった。

私の自宅は、東京の谷中(やなか)という場所にあるのだが、そこは押
しも押されぬ「猫」の町。猫グッズを売るお店も数件あるのだが、最近
は、猫町カフェなるものも出現。その隣には、猫の図書館も近日オープ
ンするとか、しないとか。そこのオーナーが、猫の写真家としてかなり
有名な方らしいので、なるほどと納得したが、いやはや…益々猫町にな
ってきた。近所に、猫写真のスポットとしても有名な場所があるのだが
休日ともなると、猫のいい写真を撮ろうと、全国からカメラ片手に猫好
きが集まって来る。

犬好きも、これまた猫好きと同じくらい多い。
私の実家では、かつて長い間犬を飼っていた。高校生だった頃、アイヌ
犬の雑種の仔犬を飼いはじめ、以後、番犬として二十年間も実家で家族
の一員として暮らしていた。夫の実家では、小型の室内犬が一人暮らし
の義母の大切な心の支えになっている。

確かに、猫も可愛いし犬も可愛い。特に仔猫や仔犬など、無条件で抱き
しめたくなる。また、爬虫類好きの人もいれば、鳥好きや虫好き、魚好
き、イルカやクジラ好きの人、はたまた植物が何より好きな人も多い。
確かに、どんな生き物も、それぞれに魅力がある。
空を飛ぶ鳥を見ると、格好いいな、と思い、海の中で魚たちにあうと、
素敵と思う。バラは綺麗で大好きだし、タンポポは可憐で可愛いく、樹
木は、力強さを感じる。

しかし、私はやはりどんな動植物よりも人間という生き物が一番好きだ。

人間という、生き物を一番愛おしく感じる。
どんな聖人でも極悪人でも、人間という存在に共に生まれてきたものと
して、他の動植物より、やはり気になるのだ。
私は、人間という生き物が、世の中で一番優れている動物だとは思って
いない。神は人間を自分に近い姿にした、と思っているのは人間が考え
ているだけで、他の生き物たちには、他の言い分があると思う。

熊の視線から人間を見たら、人間は下等で野蛮な生き物に見えるかもし
れない。縄文杉の視点から人間を見たら、叡智も辛抱も足りない生き物
に見えるような気がする。

しかし、私は人間として生まれてきた。
人間として人間という存在を感じ、そして共に生きることに惹かれる。

だから、私はドラマを、詩を、小説を書いていきたいと思っているのか
もしれない。


……………………………………………………………………………………
【2】◇◆TEN占い◆◇
……………………………………………………………………………………
所詮、天川 彩が占っているものですので、あまり深刻にとらえず、気
楽に楽しんでくださいね。
                          
今週も[メディスンカード]で1週間の運勢を占ってみました。

2007年1月27日(土)〜2月2日(金)あなたの運勢

〈1月生まれ〉
創造の女神がほほえんでいます。新たなことにどんどんチャレンジする
時期です。今週は迷わず動きましょう。

〈2月生まれ〉
自問自答を続けている最中ですが、そろそろ次の段階に移る時期に来て
います。怖がらず、古い殻を取り去って下さい。

〈3月生まれ〉
ストレスが溜まりすぎて、心も身体も悲鳴をあげています。今週あなた
にとって幸運を運んでくるのは異性の友人。一緒にお茶を飲んだり、お
酒を飲むなどして新たな空気を取り入れてね。

〈4月生まれ〉
どんなこともネガティブに捉えてしまってはいませんか。心の中で作り
上げている苦しみや悲しみを手放して、感謝する心を取り戻してくださ
い。きっと霧が晴れますよ。

〈5月生まれ〉
生命力がみちみちています。そのパワーを人々の為に役立てられるよう
動いてみて下さい。きっと他の人からも、素敵な力をもらえるはずです
よ。

〈6月生まれ〉
目の前のことに怯えてはいませんか。また、心のバランスを失いかけて
はいませんか。今週はあなた自身が尊い存在であることを思い出して下
さい。

〈7月生まれ〉
考えがあれこれ浮かびすぎて、焦点が絞りきれない状態ではありません
か。今週は出来事や物事を大いに楽しんでみて下さい。答えを出そうと
焦らなくていいんですよ。

〈8月生まれ〉
今週は決断の週です。口先だけではなく、行動を伴うことが信頼に繋が
ります。勇気を持って一歩踏み出してみて下さい。

〈9月生まれ〉
自分の感情に左右されすぎて、客観的な見方を失ってはいませんか。ま
た他人に自分の思いを押しつけすぎてはいませんか。今週は少し自分自
身を取り戻す時間を作ってみましょう。きっと冷静になれますよ。

〈10月生まれ〉
言い訳ばかりをみつけて時間の無駄遣いをしてはいませんか。今週は何
事にも楽しめる心の潤いを取り戻して下さい。自然の中や芸術に触れる
のもいいかもしれませんね。

〈11月生まれ〉
目の前に絶好のチャンスがやってきています。ただ、何かの出来事を他
人のせいにすり替えたりしていては、その幸運の道も閉ざされてしまい
ます。全ては自分の責任として正々堂々と振る舞って下さい。

〈12月生まれ〉
今週は学びの一週間です。練習を積み重ねたり、調べたりする時間を惜
しまないで下さい。全ては未来に繋がっていますよ。


……………………………………………………………………………………
【3】◆◇バレンタイン特別応援企画◆◇  
……………………………………………………………………………………

     ミニ講座&みんなの座談会
        『恋のはなし』
 
 日 時 2007年2月12日(月・祝)
     13:00〜15:30 
 会 場 東京都 六義園(東京の名日本庭園)心泉亭
     JR・東京メトロ「駒込」駅 徒歩7分
     
 参加費 2000円(ハーブティ&お菓子付き)  
 定 員 25名
 申込み http://www.office-ten.net/love.htm

 <ミニ講座は>
 コミュニケーション術達人講座・恋愛開運編の講座内容から
 一部抜粋して伝授します。通常の講座とは内容が異なります♪

 バレンタインを目前にした休日。
 みんなで、ちょっとだけ恋愛力をパワーアップさせるような
 恋のお話しませんか?


……………………………………………………………………………………
【4】◆◇天と大地に感謝する旅◆◇  
……………………………………………………………………………………
 
 ●今年は自分の為に、少し格別な時間をプレゼントしませんか?

旧暦。それは明治以前まで日本人が大切にしてきた暦です。
  
今となってはすっかり新暦の時間の流れの中にある私たちの生活ですが、
「神の島」といわれる久高島をはじめ、沖縄の離島では、今も旧暦と共
に時が流れています。2月18日は旧暦の元旦。これから始まる1年の
健康と安全を祈り、神様と人が一緒になって遊び祝うめでたいスタート
の日を久高島で迎えませんか?

また、ツアーでは他の神話に登場する「浜比嘉島(はまひがじま)」や
沖縄の一宮「波の上宮」で参拝したり、沖縄らしい国際通りを歩いたり
南の空気に満たされるプログラム満載。
全てがうれしい、「めでためでたの沖縄・かりゆしツアー」
(「かりゆし」は沖縄の言葉で「めでたい」という意味です。)

      *締め切りが近づいてきました。


   天と大地に感謝する旅 walk24

 〜旧正月を久高島で迎え、沖縄の神々と楽しむ旅〜
  『めでためでたの 沖縄・かりゆしツアー』

 2007年2月17日(土)〜2月19日(月) 2泊3日
  (2007年旧暦元旦は2月18日(日)です)
   東京・大阪発着 88、000円(税込み)
 (地方発着希望の方は別途ご相談ください)
     最少施行人数 8名

  詳しい日程や申し込みは
 http://www.office-ten.net/okinawa2007/t.htm


 是非、ご一緒して、忘れられない「時」を共に過ごしましょう!!

……………………………………………………………………………………
【5】◆◇新・連載小説◆◇  
……………………………………………………………………………………
<今までのあらすじ>

高原祥子は、不慣れなコンパニオンバイトの最終日、同じブースで共に
バイトをしていた朋美に強引に誘われ、高級レストランに行くのだが、
そこで待っていたのは、朋美に下心があるアパレルメーカーの吉田とい
う男だった。吉田は祥子が着いてきたことを疎ましく思い、打ち合わせ
に来ていた別のアパレルメーカーの若き営業マン、高梨良一を紹介する。
祥子と良一は、別のレストランに追いやられ、知らない者同士で、戸惑
いながらも会話をするのだが、それぞれの家族の話に至り…



『雨弓のとき』 (3)                天川 彩

祥子の両親は、物心ついた時から不仲だった。
不倫をしていた父親は留守がちで、たまに帰って来ても母の敏子といつ
もいがみ合っていた。

高校二年の夏休み。夕方部活を終えて家に帰ると、敏子が洋服箪笥の中
から、父親の古いスーツやネクタイを引っ張り出し、ハサミで切り刻み
ながら泣いていた。いつも優しい母が、その時には夜叉のようで恐ろし
く、祥子は声をかけることも出来ずに家を飛び出した。

その日、どこをどう彷徨っていたのか思い出せない。
夜遅く家に帰ってくると、家明かりが消えていた。祥子は母が自殺をし
たか、父を殺してしまったのではないかと怖くなったのだが、恐る恐る
中に入り電気をつけると、昼間散乱していた部屋はきちんと片付き、敏
子がぼんやりと食卓テーブルの前に座っていた。まるで魂を抜かれた人
形のように、祥子の目も見ずに離婚したことを淡々と語る母。祥子はそ
の姿を冷ややかな目で見ながら正直なところ、どこかでほっとしていた。

しかし同時に両親とも許せないと思った。
不倫に走った父親、それを容認していた母親。首の皮一枚であっても家
庭というかたちを保ってくれていただけでよかった。しかし、両親はそ
れを崩壊させたのだ。この日、初めて親を憎いと思った。学校の友人た
ちのように、幸せな家庭の子どもにしてくれなかった両親を許せないと
思った。離婚以後、父親は祥子たちの前に現れることはなく、取り残さ
れた母親が必死で生活を支えてきたことはわかっている。しかし、あの
日からずっと処理しきれない理不尽な思いが祥子につきまとっていた。

「私は今、都内で一人暮らしをしながら大学に通っています」
「そうなんだ。出身はどこ?」
「出身というか…母は、埼玉の越谷ですけれど」
「お父さんとか兄弟とかは?」

良一は、何の悪気もなかった。人には様々な事情がある、ということを
察するまで人生経験を積み重ねていなかっただけだ。だから、良一にと
っては一般的な質問をしたつもりだったのだが、祥子にとっては最も触
れられたくない質問だった。父親が不倫の末、再婚した女性との間に、
既にかなり大きくなっている子どもが二人もいるという話は、何年か前
に敏子から聞いている。しかし、絶対異母兄弟など認めたくなかったし、
そういう存在がこの世にいることすら認めたくなかった。

「父親は私が生まれた直後に、死んだらしいので…」
「そ、そうだったの。ごめんね。じゃ、お母さんと二人なんだ」
「ま、そんなところです」
「でも、どうして母さんと一緒に暮らさないの?越谷なら東京と変らな
いでしょ」
良一の更なる、一般的な質問は祥子の心の地雷を踏んでしまった。祥子
はそれまで持っていたフォークとナイフを皿の上に置くと、思わず大声
で怒鳴った。
「なぜ、そう根堀り葉堀り聞くんですか?失礼じゃないですか。初めて
あったばかりなのに」
隣のテーブルの家族連れが、驚いたように祥子を一斉に見た。良一は、
慌てて目の前にあるコップの水を飲み干して、少し気持ちを整えるよう
にして言葉を続けた。
「悪かったね。だよね。今日出会ったばかりの人に…確かにそうだ。ご
めんなさい」
「あ、いえ…。ついカッとしてすみません。私、自分のこと話すの得意
じゃないんです」
「いや、僕が悪かったよ。他人には言いたくないこともあるしね」
「ごめんなさい」
「話題を変えよう。そうそう。君はアパレルに興味あるの?」
「いえ…正直なところ、あんまり。たまたま、時給のいいバイトが情報
誌に出ていただけで。でも失敗しました。展示会のコンパニオンってあ
んな凄いんだって知らなくて」
「どう凄いの?」
「女の人達が綺麗過ぎて、それをみんな競っていて、なんだか疲れてし
まいました」
「君も十分、可愛いし綺麗だと思うけれど」
「冗談はやめてください。私、自分のことわかっていますから」
「そうかな。あれ…思い出した!今日、君さ僕にトイレの場所教えてく
れた女の子だ。そうだよ、君だよ」
「え…はい」
「あれ?君も僕のこと覚えてくれていたの?」
「なぜか…なんとなくですけれど」
「だよね。一瞬だったしね。焦っていたんだよなぁ、あの時」
「そうだったんですか?」
「急に腹が痛くなって…。あ、ヤバイね。今食事中だったね」
「ええ」
「だけど、そんな状態なのにさ、あれ〜可愛い子だなって思ったんだよ。
あの時は制服着ていたから、今とはちょっと感じ違うけれどさ。確かに、
君可愛いよ」
「嘘です」
「いや、嘘なんて今言う必要ないじゃない」

祥子は、両親の離婚後、何処か本音で人との関わりを持つことが怖くて、
今まで誰とも付き合ったことがなかった。それなりに女友達はいたが、
自分の本音を他人にさらけ出すことは恐ろしくて、なるべく人との接点
を避けて生きてきたので、男性から可愛い、とか綺麗などと面と向かっ
て言われたことがなかった。祥子は急に恥ずかしくなって、うつむいた。

「今日はさ、とんだハプニングだったけれど、そのお陰でこんな時間が
持てて、なんだかラッキーだな。本当はもっといろいろ聞きたいんだけ
ど、質問されるの嫌そうだし…そうだなぁ」
「あ、ごめんなさい。ちょっと家族のことは。それ以外だったら大丈夫
です」
「そう?」
「はい。でも…」
「でも、何?」
「今日はちょっと疲れちゃいました」
「そうか。そうだよね。早く食べ終えて帰った方がいいね。ごめんね」
「いえ…そうじゃなくって」
「え?」
「早く帰りたいということじゃなくって、ただ、疲れた一日だったなっ
て。素直な今日の感想です」
「確かに、僕もなんだかちょっと疲れたよ。だけど、どうなったかな」
「何がですか?」
「いや、吉田部長とさっきの女の子」
「さぁ、どうでしょう。私にはよくわかりません。だけど二人とも不純
です」
「不純か。なんだか懐かしい響きだね。だけど、男と女って純粋だけじ
ゃ成り立たないようなものがあるような気がするよ」
「だから、大人の世界って好きになれないんです。二十歳を過ぎて、自
分も大人の世代なんでしょうけれど、何だか汚い気がするんです」
「汚い?そんなことはないと思うけれど」
「私、浮気をする男の人も、好きでもないのにそんな素振りをしたりす
る女の人も嫌なんです。要は騙しあっているだけだから。私はもっと純
粋な恋がしたい」
「うん…。でもさ、何事も単純には割り切れないことってあるからさ」
「高梨さんも、浮気するタイプなんですか?」
「いや、僕は…。でもどうかな。絶対にしないとも言い切れないし、す
るとも言えない」
「え、それじゃ信用できないですね」
「本当に信用できないのは、絶対しないって宣言しながら、簡単に宣言
を破る奴だろ」

「なんだか、よくわからなくなってきました」
「僕は、きっと生涯大切に思える人と出会えたならば、浮気はしないと
思う。いや、する必要もないと思うんだ。だけど、そんな人に本当に巡
り逢えるかわからないよ。今までも何人か付き合ってきたし、結婚を考
えた人もいたけれど、結局うまくいかなかった。僕は生涯独身の方が向
くタイプなのかもしれない。独身は気楽でいいしさ」

「そんなのもアリだって、私も思います」
「え?」
「独身なら、家族を不幸にしない」
「どういう意味?」
「だって、子どもとかいないわけだし、恋人だったら浮気していたら別
れれば済む問題だし。でも結婚していたら、浮気は不倫になって、結局
ゴタゴタして家族が崩壊して…」
「崩壊…」
「さっき私、父親は死んだって言いましたけれど…父の不倫で家族が崩
壊したんです。だから、私の中では死んだんです。さっきのおじさん、
どんなに偉い人なのか知らないですけれど、あんなに鼻の下伸ばして最
低だと思います。奥さんが知ったら、どうするつもりなんでしょうね」
「あ…。吉田部長。奥さんいないんだよ」
「え?」
「もう、随分前に、癌でなくされているって聞いたことがあるから」
「そ、そうなんですか?」
「だからさ、見た目とか、なんだとかで人は判断できないんだよ」
「いやだ…私。勝手に最低な浮気オヤジだと思っていた」
「でも、どうやら君の友達…じゃなかった、あの派手な女の子は、吉田
部長の社会的な肩書きしか興味ないようだから、吉田部長、あの子に
食事をご馳走して、ついでに僕らにもご馳走する羽目になって、それで
今回は終わりだろうな」
「なんだか、ちょっと気の毒ですね」
「ま、今日はありがたく、ご馳走になっておこうよ」
「ですね」

二人は、とっくに冷めてしまったサイコロステーキを再び頬張りはじめ
た。

  
                          つづく…


……………………………………………………………………………………
【6】◆◇最新情報◆◇
……………………………………………………………………………………

● 『ザ・熊野DAY』in東京

 大自然と祈りの聖域『熊野大権現』上映会
         &
 熊野の魅力と撮影秘話の監督トーク   

日 程:2007年2月24日(土)

時 間:昼の部…14:30〜16:00 (開場14:00)
   :夜の部…19:00〜20:30 (開場18:30)
会 場:ムーブ町屋 ハイビジョンルーム
    (東京メトロ・京成「町屋駅」下車すぐ)
料 金:前売り1500円/ 当 日1800円
定 員:各回 50名限定
 
東京会場は少人数の会場の為、前売りで定員に達した場合、当日券の販
売はいたしません。予めご了承ください。


● 『ザ・熊野DAY』in大阪

 大自然と祈りの聖域『熊野大権現』上映会
         &
 熊野の魅力と撮影秘話の監督トーク   

日 程:2007年3月2日(金)

時 間:昼の部…14:30〜16:00 (開場14:00)
   :夜の部…19:00〜20:30 (開場18:30)
会 場:トレピエホール
    (阪急神戸線「武庫之荘」南口下車すぐ)
    厳密には大阪ではありませんが、梅田(大阪)から15分です
料 金:前売1500円
   :当日1800円

定 員:各回250名

申込み:http://www.office-ten.net/DVD/day.htm


2004年に世界遺産となった紀伊半島、熊野。人が太古の昔より惹か
れ続けたこの土地に焦点を絞り、1年かけて、撮影・取材したものを美
しい映像と音楽、ナレーションでまとめあげた『熊野大権現』。
人が太古の昔より大切にしてきた感覚を、この「熊野」の映像より感じ
ていただければ幸いです。また、当日は取材するに当たり取りそろえた
豊富な熊野の資料も閲覧できます。監督のトークでは、映像にまつわる
撮影秘話や、熊野の知られざる魅力など、たっぷり皆様にお届けいたし
ます。熊野に一度行ってみたかった方、行ってみたけれど、あまりよく
わからなかった方など、熊野に少しでも興味がある方ならどなたでも遊
びにいらして下さい。音楽家、細野晴臣さん絶賛の美しい映像ですよ。
既にDVDをお持ちの方もよろしければ是非大画面でご覧下さい。

監督・脚本:天川 彩/ナレーション:高樹沙耶/
映像62分

● 「TENの集い in関西」

上映会翌日、3月3日(土)10:30〜13:30 夙川

阪急夙川にある趣のある和室にて「TENの集いin関西」を開催いたします。
メルマガ読者はもとより、オフィスTENのことを知っている方々の交流会。
この日だけの参加の方は、1500円(お茶・お菓子つき)ですが、上映会
にもお越しいただく方は、500円割引の1000円で参加いただけます。
こちらは、小さな会場ですので、先着20名様までとさせていただきま
す。ご参加希望の方は、早めにお申し込みください。

ザ・熊野DAYin大阪にも同時にお申し込みの方は、イベント申し込
みフォームに「TENの集い参加希望」と追記してお申し込みください。

「TENの集いin関西」のみお申し込みの方は住所・氏名・TEL・
FAXをお書きの上、ten@office-ten.net までお申し込みください。

尚、参加者の方に会場までの地図など詳しい案内を後日お知らせいたし
ます。

……………………………………………………………………………………
【7】◆◇編集後記◆◇
……………………………………………………………………………………
今週は、あっという間の一週間だった。また、嬉しい仕事の話は私にだ
けではなく、絵や書を描いているキョウちゃんにも続々舞い込んできた。
神様はみているんだねぇと、幸せ満開、笑顔満開!
メルマガ読者の皆さんにも、いいことが沢山ありますように。。。
                        aya



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━