2007/01/12━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆★☆ TEN's
magazine 第250号 ☆★☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.office-ten.net
こんにちは!天川 彩です。
新しい年、皆様どのようなスタートを切られていますか?
我が家では、長女が成人式を迎えたので、年が明けてからずっとハレの
日が続いていたような状態でした。更に関西で二十年近く生活していた
為か、十日戎が終わるまでは、例年正月気分が残っているので、やっと
昨日から平常に戻ってきた感じです。
最初から、堅い話で恐縮ですが、今日のニュースで、カエルなどの両生
類が絶滅の危機にあるということを知りました。原因はカエル・ツボカ
ビ症という真菌の一種だそうですが、両生類が感染すると、九割は死ん
でしまうそうです。鳥インフルエンザや狂牛病もそうですが、人間の都
合で、多くの他の生き物たちは改良され、新たな病原菌を誘発させられ
たり、乱獲や汚染などで絶滅の危機に追いやっています。人間の一人と
本当に胸が痛みます。
日本の中で、絶滅の危機に瀕している動植物の状況を、わかりやすく紹
介してくれているサイトがありますので、ご紹介します。
http://www.sizenken.biodic.go.jp/rdb/index.html
(RDB図鑑 希少な生きものたち)というサイトです。
海も森も川も大地も、みんな全ての生き物(勿論人間も)にとって、大
切な大自然。未来を託す子どもたちは、学校で環境教育を学んでいるよ
うですが、肝心の私たち大人が…もっと現実を知らないといけないです
よね。自分にできる範囲の中で構わないと思います。極端に目くじら立
てて、エコがエゴに変わらない程度に、笑顔でほんの少しだけ、自分に
出来ることを、それぞれが考えていけるといいですね。
堅い話はこのくらいにして、今週はお正月号で少し触れましたが、今年
前半に予定しているツアーの大まかなスケジュールもお知らせしたいと
思います。また昨年、イベントゲストとしてお越し頂いた香瑠鼓さんが
築地本願寺でバリアフリーのワークなどを行うそうです。障害を持った
方も、高齢の方も、全く何の垣根もない、即興ダンスを行いながら、一
つの舞台を皆でつくりあげていくそうですよ。
詳しい内容は http://www.m-of-b.com/info/index.html
さて、オフィスTENを始めてから、もうすぐ七年。このメルマガも五
年目に突入です。今年からは、思い切って小説の連載も始めることにし
ました。ドキドキ…。
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◇◇今日の目次◇◇
◇◇ ◇◇ ◇◇
◇◇
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1・コラム・風の文様===「大人ラプソディ」
2・TEN占い======今週は「タロットカード」占い
3・イベント=======『自然のリズムに合わせる力」』
4・天と大地に感謝する旅=「旧正月を久高島で迎える沖縄の旅」ほか
5・新・連載小説=====『雨弓のとき』(1)
6・編集後記=======ひとりごと
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【1】◆◇コラム・風の文様◆◇
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□「大人ラプソディ」
先日、娘を成人式の会場へ送っていった。
二千人近く入る区民ホールのロビーの前には、華やかな晴れ着姿の女の
子たちが、美を競うように立ち、まさに百花繚乱。
成人を迎え、大人になることの喜びよりも、着飾って久しぶりに友達と
会えることが嬉しいのだろう。
確かに振り返ると、私も成人式を迎えた時にはそうだったと思う。
ただ、式典の時には、静かに祝辞を聞き、誰もが大人の仲間入りをさせ
てもらうのだ、という気持ちで参列していた。
式典から戻ってきた娘の話によると、やはりテレビで見るような呆れた
若者が大勢いたそうだ。裸で壇上に上がった男の子は、係りの人に即座
につまみ出されたそうだが、式典中、他の多くの人たちもずっと携帯メ
ールを打っていたり喋っていたりと、かなり情けない状況だったようだ。
なぜ、成人になっても大人になっていないのか…それは、世の中の大人
の見本が悪すぎるからに他ならないと思う。
「あなたは、大人だと思いますか」と成人式当日、あるラジオ番組でア
ンケートを取っていた。リスナーは、二十代から三十代の人たちだった
ようだが大半の人は「まだまだ子どもだと思う」と返答していた。年齢
的、肉体的には立派な大人だが精神や感情が幼いのかもしれない。
先日、新聞記事に、ある高校の入試では「お箸の使い方」も試験科目に
入っていると書いてあった。お箸の使い方など、小学校入学前に親から
教わることで、高校入試に出すような問題ではないと思うのだが…。
包丁が無い家庭もあったり、無洗米が流通している世の中なので、母親
や父親そのものが、お箸を使えないのかもしれない。
しかし今若い世代を中心に「和物ブーム」が起こっている。近所にも着
物リサイクルショップがちらほら出来ている。私が住む町は、東京のレ
トロな下町なので、着物姿でそぞろ歩きをしている若者も多くみかける。
今はまだ、自己流に着くずし過ぎて、本来の「和の美」からは程遠い人
たちもいるが、和の世界からおのずと箸使いや、立ち居振る舞いも美し
くなっていくような気がする。また、スローだのロハスだのと、ブーム
の仕掛け人たちに乗せられてしまっている若い層の人たちも、確かに意
識は少しずつ変化してきているようだ。
私が思う、格好イイ大人とは…
自己責任において行動し、社会生活の秩序を守り、思慮深く、他者に常
に気配りが出来て、社会的経済的に自立しながら、ユーモアのセンスも
持ち合わせている人。
しかし、なかなかそんな格好イイ大人など巡りあえない。勿論、私もま
だまだ、ほど遠い。
そう考えると、人生はいい大人になる為の修行なのではないかと思う。
しかし、私は子どもではない。
次の世代の人たちに、背中を見せていかなければならない大人の世代だ。
娘の成人というよりも、自分自身が大人としてどう生きるべきなのかを
改めて考えさせられた、気が引き締まるような思いの、今年の成人の日
だった。
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【2】◇◆TEN占い◆◇
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所詮、天川 彩が占っているものですので、あまり深刻にとらえず、気
楽に楽しんでくださいね。
今週は[タロットカード]で1週間の運勢を占ってみました。
2007年1月13日(土)〜1月19日(金)あなたの運勢
〈1月生まれ〉
縁の下の力持ちになりそうな一週間です。それはあなた自身にとっても
素晴らしい未来に繋がっていそうです。今は損得勘定抜きに動いてみて
ね。
〈2月生まれ〉
フットワークが軽く、いろいろなところに顔を出すかもしれません。た
だ人の噂話に首を突っ込んだりすることには禁物です。あまり意味がな
いと思ったところには、行かない勇気も持ってね。
〈3月生まれ〉
重荷を背負い込んではいませんか。少し疲れが出ているかもしれません。
手放して、楽になることも選択技の一つですよ。
〈4月生まれ〉
今ある幸せが、当たり前だと思ってはいませんか。今週は今一度、あな
たの周りにいる人に感謝の気持ちを声に出して言ってみましょう。きっ
と気がつかなかった自分の気持ちに出逢えるはずですよ。
〈5月生まれ〉
人に影響されやすい一週間です。また他者の失敗で優越感をおぼえたり
していたならば、対人関係にきっと問題が出てきてしまいますよ。今週
はあなた自身を振り返ってみてください。
〈6月生まれ〉
目標達成のために、こつこつと努力を重ねる一週間となりそうです。今
の念入りな準備が、着実に成功へと近づいていますよ。
〈7月生まれ〉
変化が少なくて、つまらないと感じる一週間となるかもしれません。た
だ今はアクションを起こす時期ではないので、衝動的に動かない方が賢
明ですよ。
〈8月生まれ〉
いろいろなことにこだわりすぎてはいませんか。あれもこれもと、持っ
ているうちに両手が一杯にふさがってしまっているかもしれません。今
週はひとつひとつ、手放してみる勇気ももってね。
〈9月生まれ〉
言いたいことを、はっきり言えず心の中で文句ばかり言ってはいません
か。もしも心の中が不満で一杯だったとしたら、それはあなた自身が作
りあげているもので、他者の責任ではありません。今週は意識改革の努
力をしてみて。
〈10月生まれ〉
なかなか前に事が進まず、いらいらしてはいませんか。今週はいったん
休憩の一週間です。心身ともにゆっくりリフレッシュして、次なる時を
待ってね。
〈11月生まれ〉
今週はあなたが思い描いたとおりの一週間となりそう。素晴らしいこと
を思い描いていると、ハッピーな一週間が、不安なことを思い描いてい
ると苦しい一週間が待っています。
〈12月生まれ〉
少し余裕がなくて、怒りっぽくなってしまいそう。また無計画で物事を
始めてしまうので、途中で意見がころころ変わり周りを振り回してしま
うかも。まずは今週はリフレッシュ。怒りの心を取り去って何事も感謝
の気持ちで過ごしてね。
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【3】◆◇おすすめイベント◆◇
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いよいよ、後一週間です!!
高樹沙耶さんのHPに、ご本人がこのように今度のイベントのことを
紹介してくださっていました。嬉しいです♪
沙耶さんと私は大の仲良し。だから、ちょっと…いやかなりかなぁ…
ディープな話にもなりそうな予感。
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映画やドラマ化された小説「タイヨウのうた」の著者であり、
自然の叡智と命の尊厳をテーマとした会社の代表でも
いらっしゃる、天川彩さんとトークショーをやります。
トークテーマは、「自然のリズムに合わせる力」。
そして、特別ワークショップとして、
高樹の呼吸法指導もありますよ。
高樹と同じように、自然を愛し、感謝する気持ちを
大切にする天川さんとのトークショー&ボディワークで、
自分自身の心と身体、精神を見つめ直し、感じてください。
ぜひ、皆様のご参加お待ちしています。
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『自然のリズムに合わせる力』
〜トーク&特別ワーク〜
◇対談 高樹沙耶 (女優・フリーダイバー)
×
天川 彩 (作家・プロデューサー)
◇特別ワーク『直伝!沙耶流 呼吸法』
日時 2007年1月21日(日)
場所 東京都庭園美術館大ホール(港区 白金台)
開場14:00 開演14:30
料 金 前売3000円 当日3500円
マップ:http://www.office-ten.net/bridge/vol3-map.htm
◇お申し込みなど詳しくは・・・
http://www.office-ten.net
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【4】◆◇天と大地に感謝する旅◆◇
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@ただいま好評募集中!!
天と大地に感謝する旅 walk24
『めでためでたの 沖縄・かりゆしツアー』
〜旧正月を久高島で迎え、沖縄の神々と楽しむ旅〜
2007年2月17日(土)〜2月19日(月) 2泊3日
(2007年旧暦元旦は2月18日(日)です)
東京・大阪発着 88、000円(税込み)
(地方発着希望の方は別途ご相談ください)
最少施行人数 8名
*宿泊の関係上 限定15名で締め切らせていただきます。
<ツアー代金に含まれているもの>
・往復航空運賃・宿泊代・フェリー代・貸切バス代・宿泊代・朝夕食代
・保険料(昼食代は各自でご負担ください)
・波之上宮で正式参拝をしたいと思います。
初穂料として各自1000円程度現地でご用意ください。
旧暦。それは明治以前まで日本人が大切にしてきた暦です。
沖縄では、今もこの旧暦をもとに多くの方が生活を営んでいるようです
が、とりわけ神の島と呼ばれている『久高島』では、この旧暦お正月は
一年のうちで一番のハレの日。
今回のツアーは旧暦大晦日から久高島に泊まり、新年を神の島で迎える
というスペシャルバージョン。朝日を浜辺で拝み、島の人々と共に、拝
庭で旧正月の祝いをした後は、船に乗り本島へ。ニライカナイ信仰と熊
野権現信仰とが合わさった沖縄一宮である神社『波之上宮』で参拝しま
しょう。更にこのツアーでは、開闢神話が残る『浜比嘉島』へも海中道
路を使って参ります。
旧正月の福巡りを済ませた後は、国際通りで今の沖縄を堪能してくださ
い。
2007年の始まりのツアーにふさわしい、沖縄かりゆしツアー、
是非ご一緒いたしましょう。
*かりゆし…「嘉例吉」と書き「かり」は縁起「ゆし」は「良し」。一
言でいうと「めでたい」という意味です。旧正月を神の島で迎えるなん
て、このうえなくメデタイです!!
●2007年 前半TEN’sツアーカレンダー (予定)
<3月21日〜24日>
ツアー3泊4日 秘境・熊野ツアー
<5月18日〜20日>
ツアー2泊3日 富士山ツアー 幻の滝と苔森を歩くツアー
<6月20日〜27日>
ツアー5泊7日 アメリカ先住の大地と大自然体感ツアー
●オフィスTEN主催ではありませんが私を講師に招いてくださっての
『恋愛力を磨くコミュニケーション講座』3月10日〜11日一泊二日
仙台・秋保温泉 なるものも予定されているようです。
参加資格は、30〜50才までの独身男女だそうで、講座の途中には、
運命鑑定や、女性にはメイクアップ講座、更にプロカメラマン撮影によ
る撮影会などもあるようで、なんだか面白そうですよ!私も独身なら行
ってみたい内容です♪詳しい情報が分かり次第、またメルマガでお知ら
せしますね。
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【5】◆◇新・連載小説◆◇
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『雨弓のとき』 (1) 天川 彩
序章
朝方、祥子は突然目が覚めてベッドから半身を起こした。カーテン越
しに映る外は、まだ夜の気配を呑み込んだままだ。隣で夫の静かな寝息
が聞こえる。ベッドの上に置いてある目覚まし時計の針は、午前四時を
指している。この夫や娘を起こすまで後三時間。なぜ、こんなに早く目
が覚めたのだろう。祥子は少し痺れた頭の中で、何かをぼんやり考えて
いた。
「!」
あの砂混じりの風の匂いが祥子の鼻先をくすぐった。深い呼吸のよう
な遠いさざ波音が、何処からか聞こえる。懐かしい感覚…。あの日の記
憶が、ゆっくりゆっくり蘇る。
祥子は軽く眩暈がして、ベッドに倒れこんだ。
再び目が覚めた時、高梨祥子は寝坊していた。慌てて寝室を飛び出し
てリビングの扉を開けると、食卓テーブルの上に乗せたランドセルから、
小学2年生の娘、真由子がプリントを取り出しているところだった。
「あ、お母さん起きた?」
「ごめん、真由子。今、パン焼くから待っていてね」
「朝ご飯なら、もうお父さんと食べたよ」
「うそっ。お父さんは?」
「とっくに出て行った。『お母さん、疲れてよく眠っているようだけど、
学校へ行く前に、真由子が必ず起こしてあげなさいよ』って。だからも
うすぐ起こさなきゃ、って思っていたの」
「ほんと、ごめん」
「いいって。お仕事で疲れているんでしょ。それより、これ来週までに
提出のプリントだから、忘れないでね」
「はいはい」
「お母さん、はいは一回だけ。本当にもう…」
「そうだ。今日は残業無いから、今晩は久しぶりに一緒にオムライス作
ろうか」
「やった〜!じゃ楽しみに帰ってくる。約束だよ。絶対遅くならないで
ね」
「わかっているって」
「あっ!!真由子が遅刻しちゃう」
「ホントだ。じゃ、気をつけて行ってくるのよ」
「は〜い」
跳ねるようにして玄関を残し飛び出して行った真由子を見送ると、祥
子は熱いシャワーで体の細胞と薄ぼんやりとした意識を起こした。朝の
身支度を手早く済ませた後、再び寝室に戻り、隅のドレッサーの前に座
る。手慣れた手つきで、いつもの様に世間仕様の顔に塗り替えていきな
がら、あっという間に出来上がった外出用の顔。それを鏡越しに入念に
チェックしながら、ふとさっき見送った真由子の顔が自分の顔と似てき
ていると思った。同時に、祥子自身も自分の母親である敏子に、やはり
よく似ていると思った。親と子。その目に見えぬ糸は、どこから繋がっ
ているのだろう。しかし真由子でも敏子でもなく祥子自身の黒い瞳が、
鏡の向こうから力強く見つめ返している。今朝、久しぶりに思い出した
あの記憶がそうさせるのだろうか。祥子は、その自分の黒い瞳に頷くと、
ドレッサーの椅子から力強く立ち上がった。
第一章
祥子の運命を変えたのは、大学ニ年の秋の日。その日は展示会コンパ
ニオンという不慣れな短期バイトの最終日だった。同じブース担当にな
っていた三浦朋美が、バイト終了後、更衣室で妙な猫なで声を出して祥
子を誘ってきた。
「ねぇ祥子ちゃん、今日この後、暇?」
「えっ?」
祥子は予想もしていなかった突然の誘いに戸惑った。
「何か用事あるの?」
「別に用事はないですけれど…」
「じゃ、他に何か予定とか?」
「いえ、予定は無いんですけれど」
「それなら暇じゃない。私たち今日でお別れでしょ。もうちょっと話し
しようよ。就職の話とか」
「はぁ」
「それに、ちょっと理由あってレストランに付き合って欲しいいなぁ…
って」
「でも」
「勿論、お金のことは気にしないで。お金はいらないから」
朋美は、モデル張りの風貌だった。更にそれを強調するかのような豊
満な谷間が見えるブラウスを着て、太股をあらわに出した超ミニスカー
ト姿。まるでメス臭を振りまいているかのようで好きになれなかった。
しかしそんな容貌以上に一方的な物言いが嫌だった。
「いや…そういうことではなく」
「やっぱり、何かあるの?」
朋美に限らず、展示会のコンパニオンバイトに来ていた女性達はあき
らかに祥子と違うオーラを発していた。その違和感からやっと開放され
た安堵で、祥子は一刻も早く帰りたかった。
「ごめんなさい。足がちょっと…。今日、新しいパンプス履いてきちゃ
ったので、靴擦れで今日はあまり歩けなくて…」
「なんだ、それならタクシーで行きましょう。よし、決まり!」
「…」
靴擦れで、足が痛くなっていたのは事実だったが、薄めの言い訳など、
強引な朋美の前では意味がなかった。祥子は、朋美の傲慢さより、はっ
きり断りの言葉が言えない自分の気の弱さが情けなくて、小さく一つ溜
息をついた。
「いらっしゃいませ」
店の扉が開くと、イギリス伯爵家に長年勤めている執事のような老紳
士が立っていた。朋美は、背筋を反らして胸を突き出し、女であること
を強調しながらゆっくりと歩み寄り、待ち合わせであることを告げた。
「こちらへどうぞ」
老紳士に先導されて店の奥に進む途中、朋美は祥子の方を振り返って
ニヤリと笑い小声で言った。
「なかなかの店よね」
祥子は居心地が悪かった。高級そうな家具、紳士風のボーイ、広々と
した空間で静かに語りあっている大人たち。何もかもが自分とは不釣合
いだと思った。救いがあるとしたら、この日はお気に入りのワンピース
と、靴擦れになりながらも真新しいパンプスを履いていたことぐらいだ
った。
つづく…
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【6】◆◇編集後記◆◇
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元旦のメルマガ効果だったのか…福袋が予想以上の大反響で、今週は発
送作業に追われた。用意した袋がちょっと大きかったので、前もって準
備していた中味だけだとスカスカしてしまい、結局、あれもこれもと大
盤振る舞い。きっと今日か明日あたりに、全員の方に届くと思うのだが、
買ってくださった皆さん、大当たりでしょ♪早速、来年の福袋用に、ど
こかに行くたび、少しずつ準備しなきゃ…などと早くも思っている、バ
カな私。
aya
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発行者
天川 彩
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情報の転載は大歓迎です。
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