2006/07/21━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   ☆★☆ TEN's magazine  第225号  ☆★☆ 
  
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.office-ten.net

こんにちは!天川 彩です。

もうすぐ梅雨明けなのでしょうが、ここのところの大雨の影響で、各地
で被害が相次いでいるようですね。皆様のところは、大丈夫ですか?
今朝、TVを観ていて、あるコメンテイターの方が「どうして、一度被
災しないと、防災に目が向けられないのでしょうかね。被災する前に、
もっと、学べばいいと思うのですが…」と言っていました。
確かにそうなのですが、きっと多くの人は、自分がまさか被災して、体
育館で毛布に包まるということは、想像もできないと思うんですよね。
病気にしても然り。自分の身に起こって、初めて気が付くこと、学ぶこ
とも多いように思います。

さて、いよいよ明日は映画「久高オデッセイ」の完成披露上映会です。
実は、3年前の2003年7月。大重監督が久高でカメラを廻し出して1年過
ぎた頃、いつか監督がこの映画に託す思いを、私なりに文章でまとめた
いと思い、久高のご自宅へ伺いました。その時、カセットテープ代わり
に、家庭用ビデオテープで監督のお話を簡易的に録画しました。
監督の久高島への思いや、親友、故比嘉康夫さん(久高島での祭事の写
真を唯一撮ることが許された写真家)への思い、そして人類への希望な
どの思いを、2時間近くに渡り力強く話してくださったのです。
しかし、その翌年の秋、脳内出血で倒れられてしまいました。緊急手術
を受け、長期入院、リハビリ生活という期間を乗り越えられ、未完成だ
った映像も、車椅子に乗りながら完成させました。しかしお疲れが出た
のか、再び体調を崩され、現在は休養を要する状況です。

そこで、私たちは、この完成披露上映会に向けて、簡易的なものではあ
りますが、監督にインタビューをした映像を20分に編集し、本編上映前
にスペシャルプログラムとしてお届けすることにしました。

本当でしたら、監督にお越し頂き、皆様に映画に対する思いなどをお話
して頂きたいところでしたが、この映像をご覧いただくことで、監督の
久高島の映画を撮る思いを受けとっていただけるのではないだろうかと
思っています。

まだ、当日券はご用意できます。
ご都合つきましたら、是非お越しください。

また今後、映画「久高オデッセイ」自主上映の配給もオフィスTENで
行わせていただくことになりました。
各地で、この映画が自主上映されることを、監督も私たちも望んでいま
す。この映画の上映を、何処かで考えてくださる方がいらっしゃいまし
たら、是非宜しくお願いいたします。

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◇◇今日の目次◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇
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1・コラム・風の文様===「一隅を照らす」
2・TEN占い======今週は「メディスンカード占い」
3・天河太々神楽講====「天の川に祈る・2006」締め切り間近
4・明日です=======映画「久高オデッセイ」完成披露上映会!
5・編集後記=======ひとりごと
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【1】◆◇コラム・風の文様◆◇
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■「一隅を照らす」 

何処でどんな人と出会うかなど、最初からはわかりはしない。まして、
その出会いが後々どうなっていくかどうかなど、もっとわからない。
しかし、素晴らしい人と出会い、よい縁が繋がっていく先には、必ず素
敵な時間が待っていることだけは知っている。

私は、外に出かけていくよりも、中で静かに過ごす方が好きなタイプだ。
年中、何処かへ飛び廻っているので、嘘だと思うかもしれないが、家で
家事をしたり家族と過ごしたり、事務所で書き物をしている時間の方が
外を出歩くよりも遥かに好きだ。しかし、私の仕事は一言でいうならば
繋ぎ伝える仕事。中に籠もっていては、仕事にならない。
21世紀に入った日、天河神社の宮司様が私のご朱印帳の最初の頁に『結
びの業、益々栄えし』と書いてくださった。この言葉は、私の仕事が集
約されているように思う。
太古からの脈々と続いている人の祈りや営み、守ってきた場所などを、
今を生きる人に結んでいくこと、そして人と人を繋ぎ、想いと想いとを
繋いでいくことこそが私の生業。だから、必然的に動くことになる。

以前は、休日になると何処かの繁華街に出かけたり、仕事帰りに誰かと
飲みに行ったり、これといった用でなくとも外出したが、今はよほどの
用事が無い限り、繁華街を出歩くことも、飲みに出かけることもなくな
った。不用意に外出すると、酷く疲れてしまう。疲れた状態では、動け
ない。いつでも出番が来た時?に動けるよう、外出は控えている。

そのかわり「!」ときたものには、躊躇なく動く。いつも、まるで用意
されていたかのように、不思議とスケジュールが空いているのだ。

先日も、インド仏跡巡礼の際にお世話になった方から、急に天台宗開宗
1200年記念行事「至高の華」という催しに招かれた。
梅若六郎の能と野村萬斎の狂言を、比叡山・根本中堂で観賞するという
有難すぎるようなお誘いだ。
インドのお釈迦様からの繋がりで、比叡山・延暦寺に伺えるのなら、是
非、行かせていただこうと思った。

小学生の頃、親に連れられて、比叡山にも高野山にも行ったことがある。
それが影響してなのか幼心に私の心の二大スターは「空海」と「最澄」
だった。
しかし中学生の頃、社会科の教科書で比叡山の僧兵たちが、僧侶として
の役割を忘れ、権力と抗争と色に溺れ、仕舞いに信長に焼き討ちに遭う
という歴史に触れた時、仏教というものに、かなり幻滅した記憶がある。
それから長い間、私は仏教はもとより宗教そのものに関心が無くなった。

今から十年前、封印していた何かが解かれたかのように、様々なことが
動き出した。
天河とのご縁から「空海」への思いが再び蘇り、高野山へ足繁く通った
のもその頃からだ。そして薬師寺とのご縁から、インドのお釈迦様のも
とへ道が通じ、またそこから比叡山へ。

その日、天気予報では、大雨洪水警報が出ていた。しかし、比叡山まで
登った頃には、嘘のように晴れていた。
夕刻の開演時間まで、まだしばらく時間があったので、まずは坂道に幾
枚にも分けてパネル展示してあった「最澄」の歴史をゆっくり読んでい
った。読み終わった頃には、小学生の頃、最澄に抱いた尊敬の念が蘇っ
てきていた。大講堂に入ると、法然や親鸞、栄西や道元、日蓮といった
日本の宗祖たちが一同に祀られていた。
比叡山は日本仏教の母山と呼ばれているということが、一目でわかる。
それぞれの宗祖たちも、一度は比叡山に入っていたのだ。
空海は、カリスマ性を貫いた僧侶だったのだと思うが、最澄は人材育成
の場を築いた僧侶だったのではないかと改めて思った。


根本中堂に行くと、「能と狂言」のリハーサル中だったので、回廊を静
かに歩いてみた。天台宗のお寺に行くと、何処でも『一隅を照す』とい
う文字が書かれているのだが、回廊の途中にも二箇所『一隅を照す』の
長文が掲げられていた。幸いにして、他に回廊を歩く人もいなかったの
で、廊下に座りメモを取ることにした。以下がその文である。


国宝とは何ものぞ
宝とは道心なり
道心ある人 名づけて国宝となす

一隅を照す
此れ則ち国宝なり


真の国宝とは 物質的価値あるものを言うのではない。
国家社会の平和 人類の幸福になることを
能く行い能く言ふ
道心ある人を国宝と言ふ
社会の一隅に在って 世のため国のためになる
好い事や利益になる事を 
利己的な心を忘れて尽すことこそ国の宝である


最澄が提唱した「一隅を照らす」。
すべての人間は平等であるが、それぞれに持てる能力と特性とを用いて
謙虚に、その能力を社会のため、人のために役立てる努力をするように
説いたのだ。

メモを書き写している時、まるで写経をしているような清々しい気持ち
になった。根本中堂を出た後、苔むした急階段と、その上に建つ小さな
お堂が目に入った。まるで導かれるように足が自然と動き出し、一気に
昇りきると、そこは文殊楼という建物だった。高校生だろうか、賑やか
にゾロゾロとその建物から出てきた。彼らを見送った後、建物の中に入
ると、二階に続く鋭角な急階段があった。そこを昇らななければ、御仏
を拝むことはできない。
私は、またしても迷うことなく昇った。そして、小さな文殊菩薩像の前
でお参りしていると、職員らしき人が昇ってきて、お堂の扉をガタガタ
動かし始めた。何をしているのか聞くと、これから、文殊菩薩の法要が
始まるのだという。有難いことに参列しても構わないということだった。
ややしばらくすると、黄土色の袈裟をつけた若いお坊様が一人上がって
来られ、お経を何巻も挙げての丁寧な丁寧な法要をされていった。
その時間は、不思議なほど柔らかな暖かい空気に包まれたかのようで
「お前も一隅を照しなさいよ」と文殊菩薩に優しく頭を撫でていただい
たような気がした。

夕刻になり、根本中堂の中に入ると、最前の椅子席が用意されていた。
演者や囃子の息遣いまで聞こえるような、そんな席だった。
能の演目は、石橋というものだった。ある法師が文殊菩薩が生まれると
いわれている山まで向うのだが渡るのが困難といわれている石の橋のた
もとに、文殊菩薩の乗っている霊獣獅子が現れ…というもので、梅若六
郎演じる大獅子の迫力たるや言葉で言い表せないほどのものだった。
この演目直前に、文殊菩薩の法要に立ち合わせていただいていたことが
奇遇とは思えなく、こんな有難すぎる時間に、ただ手を合わせるばかり
だった。そして次に野村萬斎演じる名取川という狂言は、とても愉快で
面白く皆で大笑いした。その狂言は比叡山で受戒したお坊さんの話とい
うこともあり、御仏も一緒に大笑いしていたようだった。

比叡山・延暦寺。

時代の移り変わりと共に、歴史の表舞台で様々なことが起こった寺。
しかし1200年過ぎた今、最澄が当初、小さな庵をこの山で結んだ時から
変わらぬ「想い」が、そこには連綿と流れているような気がする。

今回、結んでいただいたこの縁が、これからどのように繋がっていくの
か、それはまだ全くわからない。

しかし、私も一隅を照らす人の一人でありたいと強く思い、かつて小学
生の頃に、心に抱いていた最澄への尊敬の念がしっかり蘇った日だった。


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【2】◇◆TEN占い◆◇
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所詮、天川 彩が占っているものですので、あまり深刻にとらえず、気
楽に楽しんでくださいね。
                          
今週は[メデイスンカード]で1週間の運勢を占ってみました

2006年7月22日(土)〜7月28日(金)あなたの運勢

<1月生まれ>
アイディアを実行に移す週です。躊躇していないで動いてみましょう。
また、仲間を信頼する事を忘れずにね。

<2月生まれ>
いま少しズルをしようとはしていませんか。今一度本当は何をしなけれ
ばいけないのか思い返してみてください。あなたらしい誠実さを見失わ
ないようにね。

<3月生まれ>
うまい話やあなたに都合のいい話が転がり込むかもしれませんが、心の
深いところでなんといっているか、もう一度耳を澄ませてみてください。
信頼を失わないようにね。

<4月生まれ>
人の意見に左右されず、自分の目で見たものや感じた事に忠実になって
ください。きっと正しい判断ができるはずですよ。

<5月生まれ>
今週は一人の時間を大切にしてください。周りの人に合わせすぎて少し
乱れぎみだったあなたのペースをしっかりと取り戻せそうですよ。

<6月生まれ>
今週は未来のビジョンをしっかりと描きながら、同時にたゆまぬ努力も
積めそうです。目標に大きく前進しそうですよ。

<7月生まれ>
何かがうまくいかず、人を責めたり、自分を責めたりしていませんか。
現実を静かに受け入れ新たなる対処法を冷静に探してみてね。

<8月生まれ>
ぬかるみが心地よくなってはいませんか。勇気を持って外に出る努力も
してみてください。新たな世界に行くことは勇気がいりますが、その先
には、清々しい世界が待っていますよ。

<9月生まれ>
あなた自身の時間が取れず、いらいらしてはいませんか。今週はあなた
だけの時間を少しでもとるように努力してみてください。きっと深呼吸
できるはずですよ。

<10月生まれ>
今週はものごとの表面的なことに目を奪われず、本質的なことに注意を
払ってください。気配りがキーワードですよ。

<11月生まれ>
考え方が現実離れしてはいませんか。スピリチュアルもどきに気をとら
れていると大切なものを見失ってしまいますよ。しっかりと心の目を開
き、大地に足をつけてね。

<12月生まれ>
個人的な喜びに意識が向き、人類の幸せから目が離れてしまっているか
もしれません。今週はそれを取り戻す週です。肩の力を抜いてしばらく
瞑想してみてね。



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【3】◆◇天河太々神楽講 2006◆◇  
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*:・'゜☆。.:*:・'゜.:*:・'゜☆。.:*:・'゜.:*:・'゜☆。.:*:・'゜
  
    締め切り間近!最終締め切りは7月24日(月)です    


   静かに祖先と万霊と自分自身に向き合う、心の禊
                 
         天河太々神楽講2006
          『天の川に祈る』
    万物の「いのち」尊ぶ・旧暦七夕祭

   ★奈良・天河神社七夕祭 お手伝いワーク
   http://www.office-ten.net/tatakagura/2006.htm

    *今年は、特別に馬弓御神事も開催されます。


世界遺産にも登録された太古からの聖地、天河。
その聖域において、私たちが自然界、そして大宇宙の中で生かされてい
る「命」に感謝をしながら、それぞれのご先祖様に思いを馳せる、天河
神社の旧暦七夕祭。ご神殿でのご神事、仏式による万霊の御霊供養、天
の川に於いての灯篭流し・・・。

全てが幻想的で美しい、旧暦七夕祭で前日準備から始まり、ご神事当日、
そして翌日の後片付けまでと、全てにおいてお手伝いをさせていただく、
特別なワークは、魂心の再生そのものに繋がることでしょう。神社から
白作務衣をお借りして、神社に奉職されている方々のご指導のもと、お
祭りに参列される方々を、静かにお迎えいたします。
聖地での祈りの時、是非ご一緒したしましょう。


■平成18年7月30日(日)〜8月1日(火)
      (今年の旧暦七夕は7月31日(月)です。)
■参加費 36,000円
     2泊3日お食事つき  宿泊 神社正面『本家 柿坂』
■現地集合(14:00)・現地解散(12:00)

*お申し込み頂いた方には交通機関などの詳しい資料を送付いたします


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【4】◆◇当日券あります◆◇  
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        いよいよ明日です!!

     沖縄「神の島」久高島の真髄に触れる
 ドキュメンタリー長編映画が4年の月日を経て完成です!
 この貴重な機会をどうぞ、お見逃しなく。


       映画『久高オデッセイ』
          完成披露上映会 
        <大重潤一郎監督作品>

  〜沖縄「神の島」久高島と島人の魂再生の記録〜
 
     *この完成披露上映会だけのスペシャル
    サプライズプログラムをご用意致しております。

   2006年7月22日(土) 昼・夜2回上映
   会場:江東区森下文化センター 多目的ホール
  (都営地下鉄新宿線・大江戸線 森下駅
                 A6番出口 徒歩8分)

   当日券の販売は、昼の部 12:45〜
           夜の部 17:45〜

           当日券 2000円
       (*当日の学生チケットはございません)

現代社会に生きる人々の精神や魂は、思いのほか速いスピードで次々と
荒廃しているようです。
久高島の人々が、日々欠かさず、天と地と海、そして祖霊に感謝の祈り
を捧げながら生きている姿は、私たちに忘れかけてしまった大切な感覚
を思い出させてくれることでしょう。

そして、島人が自らの力で、伝統や祭の魂を再生していく映像は、私た
ちの魂そのものを、強く揺さぶりかけくるかもしれません。

生命の根っこに繋がる映画、それが「久高オデッセイ」です。


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【6】◆◇編集後記◆◇
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真夏のような暑さが続いていたかと思ったら、ここ数日急に冷え込んで
肌寒いくらいだ。近所の甘味どころに「大判焼き」を買いに行ったら、
今の季節はアイスモナカしかないようで…がっかり。仕方がないので、
少し離れた「たい焼き屋」まで行ってみたが、定休日。
神様は甘いものは食べるな、といっているのね…とトボトボ帰った。
                           aya