2020/08/21━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆★☆ TEN's magazine 第933号 ☆★☆

━━━━━━━━━━━━━ http://www.office-ten.net
残暑お見舞い申し上げます。天川 彩です。

いや~。ここのところ猛暑が続いておりますね。
コロナ対策でのマスクは必要だと思いますが、人がいない場
所では外して新鮮な空気を吸わないと、苦しすぎますね。

今年は本当に誰にとっても試練の年ですよね。

さてさて。昨日は『ハミングバード』にコロンビア在住のカ
カオハンター、小方真弓さんという方がスタッフの方と一緒
にお越しくださいました。
カカオを見つけ現地の方と共に、チョコレートにするまでを
一貫して行っている方でお店に並べているその名も「CAC
AO HUNTERS」というブランド名のチョコレートシ
リーズを展開している会社のオーナーさんです。

「CACAO HUNTERS」シリーズの中でも、特に代
表的なものが「アルアコ」という名前のものなのですが、な
んとこのチョコレートは、コロンビアの先住民族・アルアコ
族の方々と、古代種ホワイトカカオを見つけ共に作り上げた
貴重なもの。

彼らは5000mの聖山を眺める標高高いところに住む部族で、
麓から、なんと山を登って8時間。そんなところでカカオを
採取している部族だというので驚きです。

全ては神様から与えられたモノである、という考え方や、
必要なことはメッセージとして下りてくること等々…。小
方さんのお話を聞き各地の先住民に共通する、深いスピリ
ットに久しぶりに触れることが出来て、楽しくて仕方があ
りませんでした。

さてさて。
私がなぜ、このコロナ禍の中でオーガニックチョコレート
屋さん、そしてギャラリーを作ろうと思ったのか。
そして、どの様な流れと動きでその二つの場を作り上げて
いったのか。ようやく書こうと思えるようになりました。

先日noteというサイトに書いたものですが、メルマガ読者
の皆様にも知っていただきたく綴っていこうと思います。

人々の幸せの為にワタシに出来ることは何なのか。Hopiの
精神と繋がっている…そう思えることがワタシの背中を後
押ししてくれるようです。

この数ヶ月のことを詳細に書こうと思っているので、かな
り長い話しです。連載にしますが第一話もとても長いです
(笑)。今、第2話を書いている最中なのですが、ちょっ
と…いや、かなりセンセーショナル?なお話しかもです。

明日か明後日には、noteにアップします。もちろん、来週
にはメルマガで第2話としてお届けします。

そんな話も全て第一話から。連載を書くのも久しぶりです
ね~♪

とにかく長いので、お時間あります際にお読みいただけま
したら幸いです。

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◇◆ 連載 ◆◇
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■『コロナ時代を生きる』第1話


新型コロナウィルス。未だ人間の手に負えない、このウィ
ルスの影響が想像以上に長引いている。いつの頃からかコ
ロナ禍と言われるようにもなったが、世界中をこれほど激
変させていることを思えば、これはもう一つの時代と捉え
てもよいのかもしれない。

外に出る時には要マスク。家では手洗い。外ではアルコー
ル消毒液やジェルが当たり前。リモートワーク、オンライ
ンでの活動…。表面上で言えば不自由なことだらけ。一見
不安と不満が渦巻く様にも見える。

でもそれ以上に、実は一人ひとりの精神の奥深くが揺るが
され、新たな時代に適応出来るか否かが問われている様に
も感じている。

ワタシの仕事も大きく激変した。これまで20年以上続けて
きた仕事は全てストップ。どうしたら良いか八方塞がりか
と思った。が、全てが閉ざされた訳では無かった。

ワタシはこの夏、オーガニックチョコレートと珈琲豆の店
とギャラリーをオープンさせた。

ワタシがなぜこの時期に、そしてどの様な経緯で2つの場所
を開いたのか。あまりにも目まぐるしい数ヶ月だったが、
自分自身の記録の為にもここにこれから綴っていきたいと
思う。


私が運営する企画事務所『オフィスTEN』は1998年兵庫県芦
屋で誕生し、東京に事務所を移してからも20年の歳月が流れ
ている。自然の叡智と命の尊厳をテーマとした事務所では、
これまでも国内外の古層文化を今に伝える様々なイベントを
行い、旅行会社とコラボしての旅企画も沢山行ってきた。

2014年には、不思議な流れから長年付き合いがある平和の民
ホピ族の日本唯一の専門店『HopiショップSun&Rain』をオー
プンさせた。私の肩書は作家・プロデューサーなのだが、こ
の数年はプロデューサーとしての仕事に邁進してきたことも
あり、今年は20年に渡り取材を重ねてきたあるテーマを基に
したファンタジー小説を本腰入れて書こうと思っていた。

年が明け、今年2020年はオリンピックイヤーだとワクワクす
る思いで正月を迎えた。子どもの頃からのオリンピック大好
き人間であるワタシは、年賀状もオリンピック仕様に、新た
なカレンダーにはオリンピックの日程に印も入れていた。

そんな正月ムードが残る中、中国武漢で謎のウイルス感染発
生というニュースが流れてきた。その時には大変だなぁ、と
いうくらいにしか思っていなかったのだが、ウィルスは直ぐ
に私たちの国までやって来て、その後、瞬く間に全世界を覆
い尽くした。

2月、春に開催予定だった大型企画はこの時点ではまだ行う
つもりだった。現地へ打ち合わせに行ったり、数年ぶりに弊
社スタッフでありアーティストあさい享子の個展も3月に行
う予定でDMも作っていた。

しかし徐々に事は重大なことになっていると気がついた。

決断を先延ばしにすると大変な状況になると判断し、それま
で企画していた全てのイベント、旅企画も中止にした。既に
振り込んでいたものもあった為、損失した部分もあったが、
そんなことは言っていられない状況となっていた。

そんな折、政府が推進している無担保無金利の事業者用の融
資のニュースが流れ始めていた。ワタシは取り急ぎ事務所と
Hopiショップを存続する為に、一日で全ての書類を整え手続
きを行うことにした。

まだ始まったばかりだったこともあり、待ち時間もなくスム
ーズに事は運び、3月末には取り敢えずの繋ぎ融資が銀行口
座に振り込まれた。

ワタシはそれで2〜3ヶ月は耐え忍んで、時が過ぎゆくのを待
とうと思った。その間にファンタジー小説を書き始めようと
思っていた。しかし、パソコンの前に座ってもどうにもこう
にも気持ちが進まない。

そうこうしているうちに4月に入り緊急事態宣言が発令され、
事務所も店も閉めた。そして事務所のスタッフとのミーティ
ングはzoomを使う様になり、それは5月になっても続いた。

Hopiショップは、現地ホピ族のもとに年に数回、直接仕入れ
に行っていたのだが、アメリカでのコロナ感染状況が尋常で
はないというニュースが連日流れて、当面アメリカに行くこ
とも不可能だということもわかった。

全ての企画、店の運営も厳しい状況となっていたが、せめて、
あさい享子の個展だけでも秋に開催しようと思い、3月に借り
る予定だったギャラリーに連絡をした。しかし秋の日程は既
に埋まっていた。他のギャラリーも探したが、何処も良い返
信はもらえなかった。

その時、ふとワタシの頭に自分たちでギャラリーを運営して
はどうか?という思いがよぎった。コロナの時期、表現者た
ちは「場」そのものを失った。しかし、何かしらこの期間中
作っている表現者は沢山いるだろう。

ならば、表現者たちの作品を表に出せる場を作れば良いでは
ないか。そうだ!借りたお金でギャラリーを作ろう!

そう思ったワタシは、ネットで直ぐに調べ信じられない程よ
い場所に手頃な家賃の場所を見つけた。運良く知り合いの不
動産屋でも取り扱っていたので、直ぐに案内してもらった。

そこはネットで見るより綺麗な物件だった。しかしギャラリ
ーにするには少し狭く、更には床が斜めになっているように
感じる。聞くと、もともと大型ランドクルーザーが入る駐車
場として作られたスペースだったので、車が入りやすいよう、
床に傾斜がついているということだった。

ただ立地も家賃も申し分ない。こんな物件はなかなか出てこ
ないだろうから、あっと言う間に誰かが借りることは間違い
ないだろう。どうしようか数日考え、結局ワタシは借りるこ
とにした。

ところが契約した日、もう一度その場所に行った時、ワタシ
の目には、そこがギャラリーではなくチョコレート屋に見え
たのだ。

自分でも驚くほど瞬間的なことだったが、ここで免疫力を
あげる良質なカカオを使ったオーガニックチョコレートと、
本当に良質な珈琲豆を売る店にしよう!ワタシはその場所
で即決した。

実は、ちょうど昨年ホピ族などのプエブロインディアンと
呼ばれる人々の遺跡に行き、そこがかつてチョコレートを
儀式で使っていた場所であったことを知ったばかりだった。

チョコレートの材料であるカカオが古代から高価なものだ
ったことや、神様と人を繋ぐ食べ物であったことなども知
りチョコレートを特別なものとして何処かで認識していた。

更に以前何度かボリビアに行き、そこで食べたオーガニッ
クチョコレートの美味しさが忘れられずにいたこともあっ
た。

そして、縁あり、農園まで行きその人間性の素晴らしさも
知っているオーガニック珈琲農園の極上の珈琲豆もここで
販売しよう!その場の名前は『ハミングバード』にしよう
ということもその場で決めた。世界一小さな鳥だが、ネイ
ティブの人々の間では幸せを運ぶ鳥として知られている。

私たちの会社のシンボルマークでもあるハミングバード。

この名前以外考えられないと思った。ワタシはその場で
次々とアイデアが湧きワクワクした。

そして、その日の夕方、改めて別の場所でギャラリーを再
度探すことにした。たまたまネットでそれなりに良い条件
の物件を見つけ、取り扱う不動産屋に連絡したのだが夕方
だったこともあり閉まるところだった。

ただ「自分で外観だけでも確かめに行ってみては?」とい
うことでその物件と更にもう一枚。近隣に新たに出たとい
う物件の案内も送ってもらえた。

私たちは、そのファックスを頼りに2つの物件に行ってみ
た。最初の物件は直ぐに場所はわかった。
ただ想像以上に立地も悪く狭くお世辞にも良い物件とは言
えないものだった。せっかくだから、もう一枚送ってくれ
た物件も探そうとしたのだがそれがなかなか見つからず…。

何故かというと、あまりにも好立地過ぎて目の前の物件が、
その物件だととても思えずその周囲の場所をウロウロして
いたのだ。

そこは、東京の人気観光地、谷中のど真ん中。ツーリスト
センターの隣の建物だった。
ただ、観光地としては立地は最高だが、ある程度の静寂さ
が求められるギャラリーには不向きにも思えたのだ。
しかし、この物件も奇跡の様な素晴らしい立地にあり更に
家賃もその場としては考えられないほど手軽に借りること
ができる料金だ。

そこで今後何をするかは後で決めたら良い。とにかくこん
な場所は二度と借りることはできない。まずは直ぐに借り
て、年内は予定通りギャラリーとして運営しよう!

こうして私たちは、あっと言う間に2つの場所と出合い、
2日連続で別々の物件の契約をしていた。

                   …続く

……………………………………………………………………
長い長いお話しの、第1話でしたがお付き合いいただき、
ありがとうございます。

8月も残すところ1週間。どうぞ皆様コロナと熱中症、Wで
気を付けながら、素敵な週末をお過ごしくださいね。

                 aya
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発行者   天川 彩

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