白作務衣を着るということ』

天河神社にご縁を頂いてから、天河太々神楽講の講元もさせていただい
ている。
太々神楽とは神人合一の境地に至ることを目指し、講とは集まりのこと
をいう。
講元とは、神と神社と集う人とのお世話役といったらいいのだろうか。

人間は、その奥底で神と繋がっているのだが、そのことに体験的、実践
的に気付く為、古代から様々な修行法や浄化法が生み出されてきたとい
う。神楽とは「神あそび」であり、感性の深いところで神を味わい楽し
むという意味だ。

その神遊びとして、今年は天河の数あるご神事の中でも、取り分け幻想
的な七夕ご神事に、祭りをつくる神社側、村側の手伝いとして体験させ
て頂く「天の川に祈る」と題した講をすることにした。

お祭りの前後含めて3日間、私たちは「白作務衣」を身に付けていた。
とにかく、私たちの一番の役割はお掃除すること。
宮司さんが「無心でただただ掃除をしていると、そのうち瞑想状態に
なる」と言われた言葉が体験できた、貴重な時間だった。

最終日、全てのスケシュールを終えた私たちは、宮司さんから貴重な話
を伺うことが出来た。

なぜ、白作務衣を着て作業するのか…
作務衣は、最も作業しやすい服装であるのだが、白という色がとても重
要なのだそうだ。

白は何色にも染まる色で、また染まりやすい色でもある。
世の中には、色々な色を持った人が、他人を自分の色に染めようとする
ことがある。
また、人は他人が決めた色に染まっている方が楽なことが多いから、つ
い自分を他人の色に染めることで、依存しようとする。
しかし、人間本来は、無垢な状態で生まれ、何色にも染まっていない。
つまりは神の光をまっすぐに受けられる存在であるのだ。
肝心なことは、何色にも染まらない自分を常に保つことだそう。

白作務衣を着て掃除をするということは、正に神人合一の境地に至るこ
とだったようだ。