類は類』

類は類を呼ぶ。
あたりまえのことだが、最近特にそう実感する。

ここのところ、事務所には以前に増して、多くのお客様が訪ねてくる。
あるイベントがきっかけで、本来の企画以外に、マスコミ芸能関連の取
次ぎ業務も、しばらくの間だが請け負うことになったからだ。
だから、その関係で事務所にやって来られる方々は、オフィスTENの
本来の業務内容も天川 彩も知らずに訪ねてくる。

行政の広報担当者から、広告代理店のプランナー、雑誌の編集者、テレ
ビ番組の制作者…ほかにも、数え上げればキリがないほど、それはそれ
はいっぱい…。

だが、そんな中にも、オフィスTENと縁があってやって来る人も多々
いることに最近気がついた。
アシスタントのキョウちゃんは、最近、事務所の階段を昇って、玄関を
開けた時の第一印象で「縁がありそうな人」が見分けられるようになっ
てきた、という。

当たり前だが、仕事で来られた方とは最初は仕事の打ち合わせをする。
しかし、打ち合わせが終わったらさっさと帰る人と、根っこが生えたよ
うに、事務所に長く居る人とに分かれるのだ。
たいてい、後者の場合は事務所に置いてあるものをキョロキョロ見回し
はじめる。確かに通常の会社には置いていないような物が、事務所の壁
や本棚の上などにはある。
ホピ族の友人、ロアーナが作ったカチーナやアイヌのレラさんが作って
くれたアイヌ文様のテーブルクロス、クリンギット族のナイナからもら
った部族の文様が入った大きなブランケット、巨大な「縄文」と書かれ
た書や流木などなど…。
到底、通常の仕事に使うような物ではない。

しかし、オフィスTENにとっては、それら一つひとつがスピリットそ
のもので欠かせない物なのだ。それらのスピリットと実際の仕事が融合
しているのが、オフィスTENなのだから。

そして、どんな業界・業種にあっても、それらに反応する人たちも数多
くいるらしい。

ある広告代理店の担当者は、実は長い間バックパッカーだったそうで、
思いをいっぱい話してくれた上、イベントにもお客さんとして来てくれ
るようになった。
また、国土交通省がらみのある大きな催しに携わっている行政担当者は、
土木事業の関係から、人類学に興味を持ち始めたらしい。仕事の話がい
つしか、巨石信仰の話で大いに盛り上がり、今度案内してもらうことに
なった。
あるテレビ局の制作者とは意気投合し、いつか一緒に先住民関連のドキ
ュメンタリーを作ろうという話になった。

類は類を呼ぶ。

ビジネスライクに見える出会いも、やっぱり、あなどれないぞぉ。