■『脈』 | |
脈脈と繋がる。
そんな「脈」という文字が急にきになって辞書をひいてみた。
血液が巡る管、血管が真っ先に出てきたが、それ以後は、前途の望み。
生命があると続いていた。脈々とは長く続いて耐えない様とある。
幾度も書いてくどいようだが、私は決して金持ちではない。
だから、自腹で豪華旅行など行けるはずもないのだが、何故かありがた
いことに、行きたい場所へ行くことができる。
そして、そこで私にとって最も大切な人脈が広がるのだ。
人との出会いは、まさに天が授けてくれたもの。
ジャック・マイヨールの追悼会がきっかけで知り合った女優でダイバー
の高樹沙耶さんが以前、話してくれたことがある。
「私は自分で、あの53Mもの深海に潜れたのではないと思う。きっと
目に見えない海の神様が、私に海のことを伝えるメッセンジャーとして
役割を果たせるようにと潜らせてくれたもの。だから、それを全うしな
きゃね」。
私も同様だ。
自分でも驚くほど、多種多様な人との出会いに恵まれている。そして様
々な場所へ行かせてもらい、そこで暮らす人々との深い出会いをもらう。
20世紀から21世紀に変わる時、私は奈良の天河神社にいた。
大晦日、宗教哲学者の鎌田東二さん等と共に、ワークショップをさせて
もらい、私はその中で童話詩の語りを奉納させてもらうことができた。
21世紀が明けた元旦、真新しい御朱印帳に宮司さまからお言葉を書い
て頂いた。
そこには「結びの業、いよいよ栄えし」と書かれていた。
結びの業…。
人と人、人と大地、人と自然を結ぶのが、きっと私の役割なのだろう。
先日も仕事で行った奄美大島で、多くの出会いをいただいた。
沖縄文化と薩摩文化の合流地点。
あまり観光地化されていないので、海は限りなく澄み、島に暮らす人々
はとても純朴で暖かい。
余すところなく、大自然が満喫できる島。
いつか、天と大地に感謝する旅で、この島の魅力を存分に多くの人に知
らせたいと思う。
そして今年もまた7月に屋久島ツアーを行う。
世界遺産に登録されている屋久島の魅力は、今更ここで書くまでもない
のかもしれない。しかし、わざわざ時間とお金をかけて、屋久島まで行
き、ありきたりの観光旅行(ヤクスギランドと縄文水工場見学+お土産
屋さん巡り)で帰ってくる人が、あまりに多く島ときちんと出会っても
らえていないのが残念で仕方がない。
あまり大きな声ではいえないが、3月まで放送していた朝の連ドラの「
まんてん」では、屋久島の魅力が全くといっていいほど伝わって来なか
った。
私が屋久島の魅力を伝える番組をどこかで書かせてもらえるのなら、も
っともっといい作品が書けるのになぁ。。。なんて。
余談はさておき、人と屋久島とを結ぶ役割も、微力ながら担っていると
勝手に思っている私としては、やはり屋久島の魅力を存分に知ってもら
いたいと思う。
やはり屋久島では、悠久の時を感じる苔森をゆっくりと、時間を忘れる
ほど歩いてほしいし、島の料理に舌鼓を打ってほしい。
強烈な水しぶきをあげる、オオコノタキでマイナスイオンを体感してほ
しいし、縄文杉にも一度はお目にかかって欲しい。
極ウマのペイタのパンも食べてもらいたいし、勇気があれば海中温泉に
も入ってもらいたい。
できることなら、海流がぶつかる海にも潜ってもらいたいし、巨石が点
在する山々にも登ってもらいたい。
そして、何より屋久島の森の番人のような藤村さんと出会ってほしい。
映画「もののけ姫」製作時には、あの宮崎駿監督をはじめ、スタジオジ
ブリの方々を森に案内した森の案内人だ。
書き始めたら止まらない。
私は、きっとこれからも脈々と人と人、人と大地、人と自然とを結んで
いくことだろう。
ツアー、イベント、コラム、童話詩、脚本…。
それは、どんな方法であれ、きっと伝わると信じている。
繋げること、それこそが私が担った役割なのだから。