■『地元巡り』 | |
ここは、谷根千エリア。
谷根千といっても、大方の人は何のことか、わからないだろう。
谷とは、谷中。根とは、根津。千とは、千駄木。
東京下町にある3つの町の名前を合わせて、谷根千(やねせん)と呼ぶ。
実は、今週はあることを調べるために、週の半分はこのエリアを歩きま
わっていた。
そして今まで、3年間住みながらこの辺りのことをあまりにも知らなか
ったことに、改めて気付いた。
先日、お台場にオープンしたばかりの、昭和30〜40年代の商店街を
復元したようなテーマパークへ行ってきた。
ノスタルジックな看板が並び、懐かしい雰囲気の洋品店や駄菓子屋が軒
を連ねている。そこに、老若男女繰り出して、レトロな雰囲気を楽しん
でいるのだ。しかし、それはやはり作り物。
しかし谷根千エリアは、時が止まったような町並みが、そのまま残り実
際にそこで生活が営まれているのだ。
中でも、寺町の谷中は普段、あまり歩いていなかった為、発見がいっぱ
いだった。
辻灯篭を作っている錻力店。御香屋さんに、伝統工芸竹細工屋さん。
数え上げればきりがない。
今日、昭和初期に建てられたであろう、かなり老朽化が進んだ古民家を、
たった一人で、黙々と片付けている東大生の男の子に会った。
その建物は、かなりいたみは激しいものの、造りそのものは、上野にあ
る風俗博物館(下町の風俗を再現した町並み)で見たことがあるような
造りだった。
もともとは、文房具屋だったというその建物は、入り口全てが引き戸に
なっており、店の横には、3畳ほどの小さなスペースがあり、コタツが
そのまま置かれている。
様々なものが散乱していたし、二階には荷物が山ほど置かれたままだっ
たが、これを丹念に掃除し、棟梁に柱や畳を補強してらったら、きっと
人も羨むオシャレな住居になることだろう。
きっと、このエリアにはもっともっと、同じような時が置き忘れた贈り
ものが、沢山ある。
さらに地元を歩きたくなった。