頑張らなくていいんだよ』

普段、私たちは挨拶代わりに「頑張って」という言葉をよく使う。
それは、もちろん相手を応援するという意思表示の現れでもある。自分
がやる気満々の時には、この応援を受けて更に張り切ることもできる。
しかし状況によっては、どう努力しても頑張れないこともあるわけで…。

かつて、私は傷ついている人が目の前にいた時、「頑張って」と励まし
ていた(つもりだった)。しかし、傷つき苦しんでいる最中に、この「
頑張って」という言葉が相手を更に傷つけるということに気付いたのは、
自分自身の体験からだ。
ダメな時には、どう頑張ってもダメなのだ。

かつて、お釈迦様は全てのものは「空」であると説いた。
形あるものや現象が真実だと思うから、そこにまどわされ苦しいのだと。
しかし、凡人である私は、やはりその現象に苦しみ傷くこともある。

数年前、離婚上京に伴いしばらく子ども達と離れて暮らしていた時期が
あった。
自分で選択したことではあったが、辛く悲しくて、しばらく毎日泣いて
いた。
事情を知っているまわりの人は「頑張って」と励ましてくれた。が、頑
張れないのだ。
頑張れない時に「頑張って」と言われても、困ってしまう。何より自分
自身がそんな状態が辛くて仕方が無い。だから人と会うことが嫌になっ
ていた。
そんな時、友人が「頑張らなくていいんだよ」と言ってくれた。私は、
このままでいいのだと救われる思いだった。

人それぞれ、立ち直るきっかけは違うだろうが、必ず再び自らが頑張れ
る時が訪れる。
だから、それまで頑張らない、頑張らない。
もしもダメな状態ならば、頑張らなくていいんだよ。