『馬到成功・マータオチェンフン』

実は今、複数の企画が同時進行している。

構想から2年以上経っても、まだほとんど進まないものや、あっと間に準備が
整っていくものなど、動きは様々だ。
縄文スピリットなどは、信じられないほどの速さで進んでいる。

そんな中で、ある企画は、発案から1年半も動かないままだった。動かない(
動けない)最大の問題は、イメージしている内容が今までのイベントの比では
ないほど大きくて、政治力もお金も全く無い私がどう実現できるのか、とても
難題だったからだ。
更に、昨年大病を患い、動くに動けなくなった。

その企画とは「いのち」そのものをテーマにしているものだ。
癌という病気を通して、更にその意識が深まりながら、どうこの企画を実現さ
せていけばよいのか、正直なところ出口が見つからず、ずっと悩んでいた。

数日前、国連の外郭団体で親善大使をしている友人と、久しぶりに会った。
親善大使という役割から、彼は海外に出ていることが多い。
この日も、前々日、テレビの仕事で中国から戻って来たばかりという忙しい身
であるにもかかわらず、約束の時間にやって来てくれた。

久しぶりの再会だったので、互いに近況をしばらく話した後で、私はころあい
をみて、この企画の相談をしてみた。

直感的に、突破口を持っているのは、彼しかいないような気がしていた。

彼は内容をじっと聞いてから、私の顔を真っ直ぐ見て「この企画は、みんなが
共鳴できるものだから、とにかくいいかたちでアウトプットしていきましょう」
と後押ししてくれた。

そして、私の狭い頭では到底考えが及ばない提案を次々としてくれた上に、自
身も親善大使として協力してくれるという。

「今回、中国の山間部へ2週間ほど行っていたのですが、その時、様々ところ
でキーワードとして目に入ってきた言葉があるんですよ。マータオチェンフン。
まさに今、マータオチェンフンですよ、天川さん」

「マータオチェンフン??」

「馬到成功と書きます。今年は馬年ということもあるのかもしれませんが、様
々な場所でこの文字を目にしました。時がくるまで、じたばたしても仕方が無
い。来るべき時が来たら、きちんと全ては整い成功する、という意味らしいで
すよ」

そして、優しい笑顔で彼は続けた。

「真実の道を天川さんが歩んでいるのなら、苦しい時にも必ずネイチャーサポ
ートが入りますから、何の心配もしないで進んでください。今まさに、その時
かもしれませんね」

ネイチャーサポート…。
そういえば、今までにも幾度かあった。

その言葉に勇気付けられて、このプロジェクトがいよいよ始まりそうだ。